みやビズ

2019年6月16日(日)
キーパーソン

ジェイエイフーズみやざき(西都市)専務取締役 内野宮由康さん

2016/04/11
消費ニーズと生産現場を結び付けて需要に応えていく必要性を語る内野宮由康さん=西都市・ジェイエイフーズ宮崎

農産物市場のニーズつかむ

ニンジンの選別を見守る内野宮さん。「いつも笑顔でみんなが働きやすい環境を心掛けている」=西都市・ジェイエイフーズみやざき

ニンジンの選別を見守る内野宮さん。「いつも笑顔でみんなが働きやすい環境を心掛けている」=西都市・ジェイエイフーズみやざき

 JA宮崎経済連の大阪事務所と東京事務所という、営業の最前線で過ごした10年間に経営の基礎を学んだ。「どうすれば安定的に県産農作物が売れるか」。向き合い続けて導いた答えは、市場と生産現場の双方向性だった。経済連の関連会社である冷凍野菜加工会社の経営を任された今も市場ニーズを的確につかみ、生産現場と結び付けるプロとして汗を流す。

 宮崎大学農学部を卒業後、研究室の同期が次々と九州各県の県庁へ入る中、迷わず経済連を選択した。根っからの営業志望だったが、スイートピー、バラ、キクの営農指導員を2年間務めた後、県産農作物ブランドの礎となった「みやざきブランド戦略構想」を策定する推進本部に配属された。

 当時は販売宣伝などを品目ごとに展開。「県産ブランド」という概念がまだなかった。県などと一体となり生産、物流、販路、選果場整備など、すべてのプロセスを新たに構築する取り組みは注目を集めた。「チーム最年少だったが、県産品の将来をつくるやりがいのある仕事だった」

 念願の営業職に就いたのは1991年。県産農作物の出荷量が最も多かった大阪事務所への異動だった。「大阪で商売を学んだ」と言うほど多くの経験を積んだ。

 ピーマンやキュウリなど収穫時期が早い、はしりの県産野菜は放っておいても高値が付く。しかし、収穫がピークを迎えて大量出荷体制に入ると値下がりを始め、収穫後半になると品質も落ち、価格はさらに下がる。東海や関東地区で収穫が始まると県産野菜のニーズは急落し、売れ残る不安さえ生まれる。そこに商売のやりがいを見つけた。

消費ニーズと生産現場を結び付けて需要に応えていく必要性を語る内野宮由康さん=西都市・ジェイエイフーズ宮崎

消費ニーズと生産現場を結び付けて需要に応えていく必要性を語る内野宮由康さん=西都市・ジェイエイフーズ宮崎

 どうすれば収穫した野菜すべてを売れるのか。悩んだ末に打った手は年間取引数量を決めた売買契約。相手は大手スーパーなど。産地の営農指導員とはこれまで以上に細かに連絡を取り合った。例えばピーマンの場合、着果から収穫まで約20日間で、契約を結ぶのは取引の3週間前。収穫量を見越した契約が必要となるからだった。

 営農指導員の報告は重要な“取引材料”となった。出荷量を見越した契約をすることで「出荷しすぎて価格を下げたり、出荷量が足りなくて取引先の信頼をなくしたりすることを避けることができた」。

 2004年には東京事務所長となり、営業力にさらに磨きがかかった。都内のスーパーは産地の出荷状況を把握せずに特売を企画するなど、小売りと産地のミスマッチがあった。産地からの情報はここでも生きた。「予想生産量を確実に把握することで、小売り側へ売り方の提案までできるようになった」

 その後、園芸販売課長、営農振興課長を経て11年7月、ジェイエイフーズみやざきに常務取締役として出向した。担当は原料生産と営業。上司からのはなむけの言葉は「売ってこい」だった。

 同社は経済連にとって施設を核に産地を形成する6次産業化の新たな挑戦だ。最新の衛生管理と全量契約栽培による安定供給体制は、県産加工野菜の販路拡大や生産者の所得向上にもつながる取り組み。営業活動では東京、大阪の人脈をフル活用する。

 「これまでの経験が凝縮されるような仕事。好循環を生むスタートラインはものづくり。生産現場を大切にすれば結果はうまくいく」。自信にあふれた笑顔を見せた。
(巣山貴行)

ここが聞きたい

 -主力の冷凍ホウレンソウの市場評価は。

 大手スーパーや生協などから高い評価を得ており、売上高も事業計画通りに伸びている。国内に流通している冷凍野菜の約9割が主に中国産だが、いずれ国内産の志向が強まると予想している。味、香り、食の安全性などいずれも輸入品に勝っているのは間違いない。

 -冷凍野菜市場の成長性は。

 農林水産省が食事に占める「生鮮食品」「加工食品」「外食」の割合を調査している。2010年に冷凍野菜を含む加工食品が初めて5割を超えた。20年には54パーセント、30年には57.3パーセントと推計している。冷凍野菜を使う外食も含めると20年は75.3パーセント、30年は78.3パーセントにも上る予想だ。こうなると物流にも変化が表れるだろう。鮮度を冷凍して封じ込めることができるため、本県の地理的不利性は大きく改善される。本県農業にとっても冷凍野菜は将来性の高い分野だ。

プロフィル

 うちのみや・よしやす 1967(昭和42)年5月、川南町生まれ。高鍋高から宮崎大農学部へ。2014年2月から現職。好きな言葉は「前進」。

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