みやビズ

2018年6月19日(火)
キーパーソン

水研テック(延岡市)社長 松本幸三さん

2016/02/15
漏水調査のための高性能機器と松本さん。発見率100パーセントを目指して新しい技術を積極的に取り入れる

“水守人”の使命感に燃える

漏水調査のための高性能機器と松本さん。発見率100パーセントを目指して新しい技術を積極的に取り入れる

漏水調査のための高性能機器と松本さん。発見率100パーセントを目指して新しい技術を積極的に取り入れる

 地中の水道菅の漏水調査などを手掛ける水研テック(延岡市)を設立して30年。地域の貴重な水資源を守るとともに、漏水を原因とする道路陥没事故などの未然防止に寄与してきた。新しい技術や機器を積極的に導入し、目指すのは地中深くに埋まった水道管の漏水発見率100パーセント。戦後70年が経過し水道インフラの老朽化が看過できない社会問題となる中、“水守人”としての使命感に燃えている。

 「この機器は騒音があるような場所でも漏水の音だけを拾い集め、データ化できるんです」。県内企業で初めて導入した管路音圧診断システムを頼もしそうに説明する。地中の漏水箇所を特定することは難しく、漏水を探知する技術を持たない水道業者の場合、地表のコンクリートを何カ所も掘削してしまうケースもある。水研テックでは同システム以外にも、水素ガスを水道管に注入することで漏水発生箇所をデジタル表示できる探索機械を導入。さらに自社開発のエア加圧工法(特許申請中)などと組み合わせ、機材を有効に使うために社員教育や技術研さんにも力を注ぐことで、原因が多様化する漏水箇所の迅速な特定に努めている。

 持ち前のプラス思考で苦難を乗り越えてきた。中学時代に目標としていた公立高校の受験に失敗し、三日三晩落ち込んだ経験がある。油断が原因。浪人も考えたが中学校の担任の助言もあって私立高校へ進学したが、このとき「自分を変えよう」と誓った。自分の生き方、考え方を変え、モチベーションを高め、何事も前向きに捉えるようにした。2010年、本県で発生した口蹄疫の間接的影響で、5カ月間も開店休業状態を強いられたときにはつらかった。しかし、その期間を人材育成のために使い、ピンチをチャンスに変える努力を続けた。「いま半生を振り返ると、つらく苦しいときこそ前を向くことの大切さを学んだように思う」と話す。

「水道インフラの健全化に貢献したい」と話す松本さん

「水道インフラの健全化に貢献したい」と話す松本さん

 高校卒業後、幾多の仕事を経験したが、父親の影響で水道に興味を持ち、地元の水道設備会社で関連する技術を体得。1975(昭和50)年に九州電工延岡営業所に就職した。九州電工では水道配管工事責任者として在籍し、水道技術などに関する国家資格を存分に生かした。

 在職中の出来事がいまの仕事に結び付いた。ある施工現場でのこと。漏水が発生しているのに、場所を特定できない。当時は配管が壊れることは想定しておらず、漏水対策は重要視されていなかったためで、3日たっても特定できなかった。ところが、たまたま漏水調査の仕事で滞在していた県外の専門業者に調査を依頼したところ、ものの数十分で発見。このときに水道管の漏水調査事業の将来的な伸びを直感。家族のバックアップを受けながら、85(同60)年に独立した。

 水道事業体(市町村)を中心に地道に営業活動を続け、最初は門川町や高千穂町などから仕事を請けた。そこでの丁寧な仕事ぶりが評価され、宮崎県央と県北地区を中心に得意先を増やした。入札や随意契約が中心だが、仕事の安定化を図って年間委託業務も請け負う。年間契約だと「おおよそ漏水の多発地区が分かってきて、迅速な対応ができるという強みが出てくる」と強調する。2001年には宮崎市に支社を設立。霧島や県南地区へも業務エリアを広げていきたい考えだ。自分たちの技術とサービスの向上が、顧客の満足度や安心・安全の確保につながると確信する。「水道は『命の水』を運ぶ重要なライフライン。これからもこの健全化に貢献していきたい」と言葉に力を込めた。


ここが聞きたい

 -全国的に漏水が原因で発生する道路陥没の例が数多く報告されるようになった。

 昭和20年代には「ザル給水」と言われていたほど、水漏れは気にされていなかった。いまは事故への懸念、水に対する価値観の変化もあって、水漏れには敏感になっている。戦後70年がたち、水道インフラの老朽化が深刻化する中、更新率の低さも問題となっている。水漏れが発生した場合の迅速な対応は、いままで以上に求められるだろう。

 -“人財”づくりにも力を入れる。

 社員教育だけでなく、2003年に母校の中学校のPTA会長時代に始まった「読み聞かせ」の奉仕活動に行った折にも、自分の仕事や体験談を話して聞かせている。そのとき強調するのは、プラス思考でいることの大切さ。「『プラス思考の習慣』で道は開ける」(PHP文庫)の著書で有名な阿奈靖雄氏の「できる。できる。できる。私の願望はかならず達成できる。私にはそれだけの底ぢからがある-」という言葉を伝えている。人財育成の重要さは、社員も未来を担う子供たちも同じ。社長業は「教育者」と同じと思う。

プロフィル

 まつもと・こうぞう 延岡市出身。延岡学園高卒。1985(昭和60)年に個人事業所としてウオーターリサーチ水研社を設立し、漏水調査を本業とする。翌年に有限会社へ、98年に水研テック株式会社へ組織改正した。水道関係の資格取得数は25種に及ぶ。50(同25)年1月生まれの66歳。

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