みやビズ

2019年10月17日(木)
キーパーソン

谷田経営法律事務所長 谷田寿人さん

2015/08/03
予防法務の必要性について語る谷田さん

経営から法務まで中小企業を支援

中小企業診断士の資格を取得したことで谷田さんは「企業会計から訴訟まで幅広く企業支援ができる」と話す=宮崎市の谷田経営法律事務所

中小企業診断士の資格を取得したことで谷田さんは「企業会計から訴訟まで幅広く企業支援ができる」と話す=宮崎市の谷田経営法律事務所

 経営者の多くが60歳を超え、事業承継を課題に抱える中小企業が県内でも少なくない。顧問弁護士として企業の合併・買収(M&A)、事業承継を取り扱う上で「計算書の分析や簿外債務の洗い出しができる能力は必須」と言い切る。中小企業の支援に特化した県内では数少ない弁護士事務所を7月に立ち上げたばかり。実直な人柄から顧客の評価も高い。

 兵庫県伊丹市出身で京都大法学部卒。弁護士を目指した理由はシンプル。「特別な理由はないが、社会の役に立つ仕事に就きたかった」。中高生のころにぼんやりと思いが芽生え、突き詰めた結果が最難関の弁護士だった。大学卒業後4回目の挑戦で司法試験に合格。27歳だった。当時は関西地方での開業を目指した。

 しかし、2006年5月、司法修習生として本県配属が決まったことで、運命は変わった。配属希望地を4カ所選んだうち、「実は宮崎は第4希望だった」と明かす。縁もゆかりもなかったが「下宿探しにJR宮崎駅から街に出た瞬間、ここで開業したい」と直感が働いたという。「初夏の日差しとワシントニアパームにいちころだった」と笑う。実際に生活を始めるとその思いはさらに強まった。「殺伐とした関西と比べると人も優しく住みやすい」

予防法務の必要性について語る谷田さん

予防法務の必要性について語る谷田さん

 司法修習が終わると、すぐに本県で弁護士登録し、07年に宮崎市内の弁護士事務所に入所。10年に「弁護士法人みやざき」(宮崎市、松岡茂行弁護士・宮崎事務所代表)の設立に参画した。企業法務を担当する中で、「会計が分からなければ企業の力にはならない。そして計算書や会計書類が面白いと感じた」という。「弁護士の業務は分野ごとに奥が深いが、広く構えると中途半端になる。凝り性で器用ではない」という思いも専門性を深掘りする動機となった。

 そして独立前のことし3月に中小企業診断士の資格を取得した。「経営から法務まで一貫して支援することができる。裁判のときだけではなく、日ごろから役に立つことを伝えたい」と力を込める。

 高度経済成長期に創業した企業が世代交代の時期に入り、事業承継、M&Aなど契約に関しても弁護士の出番は多い。それだけではない。労務関連の問題もかつてのような“話し合い”で解決できない時代になった。「書面不備や表記不足で訴訟となることも多い。古き良き時代ではない」と言い切る。「経営者が世代交代するタイミングこそ企業法務を見直すタイミングになる」

 7月1日、宮崎市橘通東1丁目に開業し、8社の顧問弁護士を引き受ける。「中小企業に特化した弁護士が少ない宮崎でこそ力の振るいがいがある。宮崎の企業を盛り上げる一助になりたい」と意気込んでいる。

ここが聞きたい

-予防法務の考え方は

 1000万円の純利益を出すより1000万円の特別損失を出さない方が確実に計算できる。裁判となると、費用、労力、精神面で大きな負担になる。それだけでなく、企業イメージの損失になり、数字以上のマイナス面が大きい。被害を最小限に食い止めるために予防法務は必要。問題が起きてからではなく、普段から経営者と面談した方が企業の抱える課題や問題点を洗い出しやすく、未然に対応できる。

-弁護士と中小企業診断士のダブルライセンスはどう生きるか。

 経営に関する相談でも中小企業診断士のスキルが役に立つ。一般的に弁護士は会計などに弱く、中小企業診断士は法律知識が限定的で、訴訟の代理もできない。お互いの弱みをカバーすることができる。経営から一貫して支援できることは強みになる。

プロフィル

 たにだ・よしと 債権回収や事業の再建(私的整理・法的整理両方)、研修セミナー、クレーマー対策なども企業側の弁護士として対応する。1979(昭和54)年5月生の36歳。家族は宮崎市出身の妻と子ども2人。http://www.tanida-lawyer.jp/

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