みやビズ

2018年10月23日(火)
キーパーソン

マーケティングセバスチャン社長 久積正道さん

2015/03/23
資料に目を通す久積さん。「何が崇高なのか考えて今の仕事を決めた」=東京都目黒区

首都圏で宮崎の食をPR

資料に目を通す久積さん。「何が崇高なのか考えて今の仕事を決めた」=東京都目黒区

資料に目を通す久積さん。「何が崇高なのか考えて今の仕事を決めた」=東京都目黒区

 食品をブランディングし、首都圏をはじめ国内外に広める仕事のアウトソーシングを請け負う。イベントからマーケティング、販売ルートの確保までさまざまなニーズに対応。首都圏で従業員を雇えないような地方の会社にとって心強い存在となっている。「宮崎キャビア1983」、宮崎牛など本県産の商品で特に実績がある。

 「マーケットは大きくなっていないのに同業他社は減っていない。そんな中で地方の会社が大手と戦うには、一緒になって頭も足も使う会社にアウトソーシングするのがいい。その受け皿となる」。経営内容をそう説明する。

 地方の会社は首都圏での販路拡大のため、東京の国際展示場での商談会に出展したりするが、そこで百貨店など大手のバイヤーと交渉をしても「その後のフォローがないと戦えるわけがない」と感じている。展示会が終わればまた地元に戻らないといけないため、相手に電話してサンプルを送ってそれで終わり-というケースもあるという。

 「そうならないために、われわれが地に足を着けて販売ルートを確保し、ギャップを埋めないといけない。相手は毎日何社もの商品の提案を受ける世界にいる。東京に支社を置いて従業員を雇えるぐらいまでのめどを付けたい」

 力を入れている食材の一つが「宮崎キャビア1983」。昨年12月には、国内外で高い人気を誇る日本酒「獺祭(だっさい)」と一緒に味わえるキャンペーンを都内の獺祭専門バーで開くのに携わった。また、ウエスティンホテル東京など都内三つの有名ホテルでの取り扱い、伊勢丹新宿本店での販売にも汗をかいた。

 こうした有名な商品やホテルとのコラボレーションには「一流商品としての説得力がある」と力説する。「『生産者がこだわって育てて、地元の消費者には認められている商品で…』などと売り込んでも話が長い。『◯◯と組んでいる』とブランド力のある相手の名前を挙げれば、一撃」。宮崎キャビアについては次の展開も考えているという。

 みやPEC推進機構(理事長・戸敷正宮崎市長)、都城圏域地場産業振興センター、食品関係の加工を手掛けるアズーロ(高千穂町)など取引先には本県関係の団体や企業が目立つ。

 母が日南市出身で、妻が関連会社のK・Pクリエイションズ(宮崎市)の小柳英子社長という縁もあるが、それだけではない。宮崎の食品の潜在能力の高さ、県全体でフードビジネスに力を入れている感じが伝わってくるのも大きな理由に挙げる。

 「周りの盛り上がりがなければ進みづらい。宮崎の食品は女性に例えればとても美人。きれいな服を着せたりガラスの靴を履かせたりしてもっと認められるようにしたい」

従業員とブランディングの構想を練る久積さん(中央)。さまざまな状況をふかんして判断する

従業員とブランディングの構想を練る久積さん(中央)。さまざまな状況をふかんして判断する

 ブランディング力を高めるセミナーの講師を各地で務めることも多いが、「要は高く売ること」と述べている。「実務の世界でバイヤーから評価を受けるのはそこ。どんなに商品に価値があっても伝わらなければうまくいかない。パッケージを良くしたりメディアに取り上げられたりすることが大事」

 一方で、相手に合わせた交渉の大切さも感じている。えびの市の養鶏場の甘くてコクがある卵を都内の大手百貨店に1パック500円で売り込んだ時は「1個500円にできないか。それぐらい付加価値を付けたら面白い」と逆提案された。スーパーではあり得ない反応に驚いた。

 地方の会社が首都圏の大手になかなか入り込めない課題については、複数の会社による共通の銀行口座を設けて、そこを通じて大手と取引をするビジネスを練る。「個別にやろうとすると取引口座を開設するまでにかなりの労力がかかる。その時間を短縮できる」と訴える。

 身に付けた力をより社会に広めようと、NPO法人「フードブランディング協会」を立ち上げる準備も進める。教科書を作り、資格認定もする。ブランディングができる人材を育成し、全国各地に散って貢献してもらう。「こちらはビジネスではない。現在の役員、従業員12人体制の枠を超えたことができる」と期待を寄せる。

ここが聞きたい

 -現在の仕事の原点は。

 立ち食いそば屋を経営していた父の影響を受けている。全国でもはしりの時期に全国展開して売り上げを伸ばした。勢いに乗ってボウリング場にも手を出したら、そっちの方がもうかるのでそば屋がどうでもよくなった。しかしボウリングブームは去り、破たんに追い込まれた。私が小学校1年のころの話で、それから、お年玉をもらった記憶がない。そのトラウマ(心的外傷)が原動力になっている。

 -モットーを教えて。

 「行動する知性」。すごく行動的でも考えていないとダメ。反対に考えただけで行動が伴わないと戯(ざ)れ事になる。似て非なる新しい価値を作るにはどちらも必要。

プロフィル

 ひさづみ・まさみち 中央大大学院卒。同大学3年のころ、仕出屋を創業し、3年後に譲渡。2000年伊藤忠商事系の食品ベンチャー企業に入社。営業やマーケティング、企画力を身に付ける。07年、マーケティングセバスチャン設立。東京都世田谷区在住。1977(昭和52)年生まれの38歳。

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