みやビズ

2020年2月24日(月)
キーパーソン

県信用金庫協会会長 池部文仁さん

2015/01/05
県内5信金のさらなる連携強化に向けて意気込みを語る池部会長

県内5信金で連携深め地域を元気に

入庫当時の理事長・尾崎一男さんの胸像を前に「時間を惜しまずお客さまのところを回るなど、基本を徹底的に教わった恩師」と振り返る池部さん

入庫当時の理事長・尾崎一男さんの胸像を前に「時間を惜しまずお客さまのところを回るなど、基本を徹底的に教わった恩師」と振り返る池部さん

 高鍋信用金庫に入庫し47年目。上向く景気の波に乗って事業拡大に奮闘する企業の姿や、児湯地区を中心に暗い影を落とした口蹄疫発生で疲弊する飲食業など、児湯地区の時代の移り変わりを見つめ、地域密着で支援してきた。昨年7月からは県信用金庫協会の会長にも就任。「5信金62店舗が同じ目線でお客さまと向き合い、愛される金融サービスを提供していくことが私たちの使命」との思いを胸に、県内5信金が手を携えて激化する金融競争の荒波に立ち向かう。

 高鍋高では野球部で汗を流したスポーツマン。2年春には同部がセンバツに出場し、出場機会はなかったもののベンチ入りした経験を持つ。同部を引退した高校3年の夏、高鍋信用金庫から内定をもらった。東京の金融機関にも応募書類を送っていたが、病弱だった母を残して上京するわけにはいかず、地元での就職を決めた。

 入庫した1968(昭和43)年は、GNPが世界第2位に躍り出るような高度経済成長期のまっただ中。同信金をはじめ各金融機関は支店新設が相次ぎ、入行する若手はまさに「金の卵」で、即戦力としての教育を受けた。入庫後しばらくは得意先を回り、預金を集める渉外を担当。給与振り込みシステムはなく、企業の資金力は出向かないと把握できなかったため、当時の理事長・尾崎一男氏は「時間を惜しまず、お客さまのところにどんどん出かけなさい」と職員に事あるごとに伝えていた。ハッパを掛けられた職員たちは朝も夜も必死で得意先を駆け回って企業を知り、預金を集めた。「その言葉がなければ私が理事長になるまで働けなかったかもしれないし、2250億円という県内5信金最多の預金残高を誇る基盤づくりができなかっただろう」。金融マンとしての基礎をたたきこんでくれた尾崎氏の言葉の偉大さを、理事長となった今もかみしめている。

 監査部長になるまでの約30年のうち、半分程度は融資業務も担当した。取引先が希望した額を適切な時期に融資できるのがベストだが、意に沿えず融資を断ることもあった。「きちんと説明をしないと『信金さんは地元のためなら協力すると言ったのに。雨が降っても傘を貸してくれないじゃないか』と言われてしまう」。融資ができない旨をいかに丁寧に説明し、納得してもらうか。地場企業の事業拡大に伴う設備投資が旺盛で融資量も多かった高度経済成長期からずっと考え続けている課題だという。

県内5信金のさらなる連携強化に向けて意気込みを語る池部会長

県内5信金のさらなる連携強化に向けて意気込みを語る池部会長

 預貸率が低下する中で、ターゲットと捉えるのは若い世代だ。収入が比較的少ない世代でも借りやすい低金利にしたマイカーローンを11年に発売。取引先以外に門戸を広げ、契約者はぐんと伸びた。「借りやすい金利を提示することで信金への信頼が厚くなる。この時の好印象をきっかけにゆくゆくは退職金を預けたり、経営者として事業資金の融資を申し込んだりしてくれればいい」と将来を見据える。低金利マイカーローンの取り組みは12年から県内5信金すべてで取り扱いを始めるなど、先験的な取り組みで他信金をリードする。

 県信用金庫協会では県内5信金の連携を深め、地域での存在感を発揮する動きが活発化している。前会長時代の12年6月に新設した県内信用金庫グループ化事業では、高額案件の協調融資や南九州税理士会と提携した統一商品を販売。会長就任後の昨年7月には、県中小企業家同友会と業務支援や企業情報の交換に関する業務協力を締結した。信用金庫法で事業者の会員資格が「従業員300人以下または資本金9億円以下の事業者」と定められているため、取引先企業はすべて中小企業。「メーンとなるお客さまである中小企業と情報を共有することで、地域活性化のお手伝いができる」。アベノミクス効果がいまひとつ感じられない地方において、一枚岩となって地域経済を支えていく覚悟だ。

ここが聞きたい

 -肥後銀行、鹿児島銀行の経営統合をどう見る。

 統合した新銀行が本県を新たな市場として捉えるのならば、さらなる金利競争の激化で信金は苦境に立たされる。どうしようもなくなれば各信金内での支店統合や、信金同士の統合という話も出てくるかもしれない。しかし、信金は毎日お客さまのもとに通って会うことで長い時間をかけて地域の中での信頼を集めてきた。「今日は顔色が良くない」など小さな変化に気付けるような付き合いは、ある意味では大きなところにはできない特異性で勝負していきたい。

 -人口減少が進む中で、信金ができることは。

 信金の取引先は中小企業か個人に限定される。地元の小さな企業が踏ん張っていれば、働く場を求めて若者が県外に流出することはない。地場企業が黒字経営できるだけの基盤整備を手伝うことが使命だと思っている。

プロフィル

 いけべ・ふみひと 木城町出身。高鍋高卒。1968(昭和43)年に高鍋信用金庫に入庫し、2011年から同信金理事長。木城町のシニアソフトボールチーム「木城青鳩」に所属し、ポジションはショート。「同世代とのプレーは童心に帰れていい」と笑う。49(同24)年5月生まれの65歳。

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