みやビズ

2019年7月18日(木)
キーパーソン

SUNAO製薬(宮崎市)社長  廣澤直也さん

2014/12/08
「宮崎をはじめ九州産食材の魅力をサプリメントや食品を通じて多くの人に知ってほしい」と話す広澤社長

九州産食材にほれ込む

社員とネット通販の売れ行きについて意見を交わす広澤社長(右から2人目)

社員とネット通販の売れ行きについて意見を交わす廣澤社長(右から2人目)

 「宮崎をはじめ九州の素材はおいしいし、豊富。それをもっと知ってもらいたい」。日向夏ミカンや茶など本県産素材の持つ力を生かし、健康食品や化粧品のOEM(相手先ブランドによる生産)やネット通販を手掛けるSUNAO製薬(宮崎市)を熱い思いを胸に引っ張る。県外出身者だが、本県食材への思い入れは誰よりも強い。「いつか会社をやりたい」と、中学校の卒業文集につづった思いを実現させて4年。「まだまだ未熟だが、新しいことに常にチャレンジし続けたい」と、市場開拓にも熱心に取り組む。

 広島県三原市出身。高校時代は化学が得意だったため、宮崎大工学部に進学し、化学を専攻。大学院進学を目指していた大学4年の11月、大学内の求人案内で目に留まった県内のサプリメントのOEM会社に応募した。「働いてみて、もし勉強したくなったら大学院に行けばいい」と就職を決めた。

 任されたのは研究・開発。ローヤルゼリーやラカンカなど体に良いとされる素材の成分分析や製品開発に携わった。高い抗菌性があるプロポリスを使ったのどスプレーを開発し、商品化するなど充実していた。

 入社して2年がたった頃、同僚がサプリメント会社を立ち上げ、行動を共にすることを決心。中学時代に抱いた起業の夢は、大学で学ぶうちに「研究者が起業するなんてイメージが湧かない」と薄れかけていたが、2年間社会人として働く中で再び思いが芽生えた。「将来は独立します」と宣言して入社した。

「宮崎をはじめ九州産食材の魅力をサプリメントや食品を通じて多くの人に知ってほしい」と話す広澤社長

「宮崎をはじめ九州産食材の魅力をサプリメントや食品を通じて多くの人に知ってほしい」と話す廣澤社長

 任されたのは営業。製品の説明をしてもあまり聞いてもらえない上に売れない。研究開発に携わっていたときには「自分が良いと思って作ったものはきっと売れる」と信じていた。営業する際も「製品に対する知識があるからなんとかなる」と思っていただけに「大きな壁にぶち当たり、毎日悩んでいた」。ある日、社長の営業に同行する機会があった。自分が売るのに苦戦していた製品が売れていた。それは客のニーズを的確に捉えた製品説明ができていたから。社長の営業スタイルと自分のスタイルを冷静に分析し、改善を加えると売り上げは3倍に。「この挫折がなければ今の自分はなかった」と振り返る。

 「30歳までに独立」が目標だったため、29歳で退社し、2011年1月にSUNAO製薬を設立。「自分がいいと思ったものとお客さんのニーズに合うものがイコールになるものを生み出していこう」と前職で得た経験を胸に刻んだ。独立はしたものの、製品開発するための設備がない。そこで頼ったのは母校の研究施設。大学側も快諾し、現在も商品化に向けて共同研究を重ねている。

 中でも最も商品化が近いという日向夏ミカンの搾りかすを使った精油の抽出では、大学設備をフルに活用。従来の抽出方法は、大量の水が必要で時間もかかる水蒸気蒸留法。そこで、マイクロ波を使って最低限のエネルギーで加熱できる「マイクロ液加熱法」を採用したことで、短時間で効果的な抽出に成功。化粧品用の香料としての販売も目指す。

 通販事業にも力を入れている。以前の勤務先では東国原前知事による空前の宮崎ブームのまっただ中。ラジオショッピングなどで地鶏や宮崎牛など本県の有名な食材を販売し、売れ行きは好調だったが、会社を始めた時にはブームも薄れていた。そこで着目したのは、野菜や果物など素朴な素材だった。「都市部のお客さんと話すと、有名な食材でなくても興味を持ってくれている」。そう確信し、本県をはじめ南九州の食材を広めようと、楽天市場とぐるなび食市場に「すなお食堂」をオープン。切り干し大根の漬物や粉末茶などこだわりの商品を販売し、昨年はリピート率の高い店舗に贈られる「2013年上半期ぐるなび食市場特別賞金賞」を受賞した。

 ことし11月には九州産オーガニックに特化した通販サイト「九州オーガニックメイド」を立ち上げた。有機栽培や添加物を極力使っていないものなど、すなお食堂よりも厳選した商品を展開している。食の安全への意識が高まる中でますます市場規模が拡大することが予想されるオーガニック市場の中で「九州産オーガニックの良さを知ってもらい、広めていきたい」。とことんほれ込んだ九州産素材のPRに汗を流す毎日だ。

ここが聞きたい

 -宮崎大との共同開発の現状は。

 珍しい素材で試してみようと、マンゴーの種とお茶の種でも開発ができないか研究している。マンゴーの種からオイルを抽出してシアバター(ボディークリームなどに配合される植物性脂肪)にできるかもしれないが、量の確保が課題。日向夏ミカンの搾りかすにしてもそうだが、捨てられてしまうものを有効活用したいという思いは強い。

 -今後の販路拡大策は。

 ネット通販は好調だが、新たな販売媒体として来年からラジオショッピングを始める予定。前の会社では県内のラジオに出演していたが、今後は県外が中心となる。都市部の消費者に直接訴えかけていきたい。

プロフィル

 ひろざわ・なおや 広島県三原市出身。宮崎大工学部卒業後、サプリメント製造会社勤務を経て2011年1月にSUNAO製薬を設立。本県は「戦時中に祖父が飛行隊員としていたことがあり縁を感じるし、温暖で過ごしやすい」と笑顔で話す。1981(昭和56)年7月生まれの33歳。

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