みやビズ

2019年8月26日(月)
キーパーソン

ソラシドエア社長 髙橋洋さん

2011/11/24

九州で支持基盤拡大

ソラシドエアはボーイング737-800型機を導入するなど新ブランドを展開。2013年の羽田空港発着枠拡大へ向け、さらなる飛躍を図る

ソラシドエアはボーイング737-800型機を導入するなど新ブランドを展開。2013年の羽田空港発着枠拡大へ向け、さらなる飛躍を図る

 高校時代、歴史が好きで手当たり次第にその分野の本を読みあさった。中でも特に衝撃を受けたのが歴史学者の網野義彦が著した歴史本。「史料を客観的に見ることによって実証し、それまでの伝統的歴史観をガラッと変えた。鎌倉から室町時代の世の中を再叙述した人」と興奮気味に語るが、進んだのは東大法学部だった。「歴史で生きていくのは大変。とりあえずは法学部に入った」と笑う。歴史熱は冷めたわけではなく、日本法制史や法哲学など歴史に近いものを勉強した。

 就職活動は4年生の夏から。どこを受けようかなど考えてもいなかった。たまたま、友人に連れられて受けに行った日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)に就職した。そこで、この銀行に思わぬ魅力を感じる。同銀行は政府系金融機関だが、民間と同じ目線で個別企業に融資するという“半官半民”の様相。「公的な仕事はしたいが、役人は好きじゃない。企業への融資は好きだが、利益優先の民間金融機関はちょっと…みたいな、自分と同じようなどっちつかずの人間がたくさんいた」と、引かれた理由を言う。

 また、銀行という仕事とは別に、それぞれがライフワークを持っていた。仕事をやりながら研究を続け、大学教員に転身する人が大勢いた。ヨーロッパ都市の研究、エネルギー、経済研究…。いろんな人間を輩出する企業風土が自分のキャラクターに合っていた。25歳から3年間、大蔵省(現・財務省)に出向。政府の経済見通しを作成する業務に携わる。「役所のプロパーと民間から出向した人を合わせ20人ぐらいで、ほとんど休みなしで好きなだけ仕事ができた」。このときに仕事のやり方や人との付き合い方が培われたという。

「九州固有の支持基盤を広げる」と強調する髙橋社長

「九州固有の支持基盤を広げる」と強調する髙橋社長

 ありがたかったのが、38歳から3年間、統合直後のドイツのフランクフルト駐在員となったこと。「ドイツの東西統一は1990年。自分が行ったのが92年だから、まだ余熱冷めやらないころ」。旧西ドイツ企業による旧東ドイツ企業の買収やマーケット構築、経済混乱…。革命が人々にもたらした東西のジレンマなどをじかに見て、肌で感じた。帰国してからは、プロジェクトファイナンス部長、環境・エネルギー部長、人事部長、政投銀取締役常務執行役員などを務める。

 スカイネットアジア航空の社長にと声が掛かったのが2011年4月下旬。「まさか社長になるとは思わなかったが、考えてみると自分がこれまで金融機関でやってきたことと一本つながっている。違和感はなかった」と、腑(ふ)に落ちる人事だったという。

 友人たちは土地勘のない宮崎でやっていけるか心配したが、「気候が素晴らしいし食べ物もおいしく、想像以上にいい。こんなにいい所をどうして見落としていたんだろう」と絶賛する。同社に関しても、「(会社は)10年の歴史しかないが若い人が多く、みんな裏表がない」。

 航空業界の経営環境は格安航空会社(LCC)参入などで激変。13年には羽田空港の発着枠も再び拡大される。「2年先には値下げ圧力がくるだろう。これから2年で、いざとなったら価格を下げられる収益体制を築き、九州固有の支持基盤をいかに広げられるか。有形無形のサービスを強固にしていきたい」と気を引き締める。

ここが聞きたい

 -新型機のボーイング737―800型機の評判は。

 2機導入したおかげで飛躍的に欠航、遅延率が改善された。乗っていただいたお客さまには非常に評価してもらっている。発光ダイオード(LED)を使った柔らかい照明や静かさが特徴のボーイングスカイインテリアが既存の航空機とは全然違う。時間帯で照明の色も変え、落ち着いた雰囲気を醸し出している。

 -LCC参入への対応策は。

 早晩入ってくることを想定して一刻も早く機材導入や、コスト削減を実施し、いつでも価格の引き下げができるよう備えておきたい。引き下げもずるずるやるのではなくて、弊社らしく付加価値を付けた価格設定を行っていく。

私のオススメ

 宮崎には素晴らしい場所がたくさんある。都城島津家や高鍋の舞鶴公園、日南の飫肥城などちょっと気軽に出掛けても、歴史好きにとっては非常に興味をそそられる。究極のリゾートは歴史のあるところだと思っている。そういう意味で言えば、これまで訪れたフランスの田舎やイタリアの古い町は素晴らしかった。ツアーのパックなど使わず全部自分で手配して行った。人間の豊かさとは何かを考えるには絶好の場所だと思う。(談)

プロフィル

たかはし・ひろし 東大法学部卒業後、日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)入行。人事部長、政投銀取締役常務執行役員などを経て、2011年6月から現職。岐阜県郡上市出身、57歳。

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