みやビズ

2018年4月23日(月)
キーパーソン

KIGURUMI.BIZ(キグルミビズ)工場長 加納ひろみさん

2013/06/20

愛にあふれた会社が理想

 「社員一人一人が、自分の会社を誇りに思い自社製品への愛にあふれている」。理想の会社像をこう語る。iPhone(アイフォーン)で世界を席巻する米アップル社がモデルだ。同社で仕事した経験があり、当時を「毎日わくわくしていた」と振り返る。ゆるキャラブームで追い風に乗るKIGURUMI.BIZ(キグルミビズ、宮崎市、加納雄一社長)が目指している職場だ。

スタッフと着ぐるみについて打ち合わせる加納さん(中央)

スタッフと着ぐるみについて打ち合わせる加納さん(中央)

 現在の仕事に携わるまでは“波瀾(はらん)万丈”の人生だったという。子供時代から大好きだった英語を専門的に学ぼうと、大学を中退して東京の英語専門学校に入学。卒業後は米国に行きたい一心で、日本に支店を持つ米旅行会社に22歳で就職した。

 研修を受けて念願のニューヨークに渡り旅行予約、添乗などのエージェント業務を担当した。数人の小さな会社で午前まで働き、夜中の地下鉄で帰る日々。「行き当たりばったりで怖いもの知らずだった」が、約3年働いたころに現地で知り合った友人を事件で亡くしたことにショックを受け、帰国を決心した。

 東京に戻っても英語力を生かす職には困らず、レンタカー会社に就職。1988(昭和63)年に結婚、子供2人を出産した。ただ子供の頃から「忙しいことに快感を覚えるたち」で、専業主婦だけでは物足りず、在宅で翻訳の仕事などもしたが、働いていた時のような満足感は得られなかった。そんなある日、夫が別な女性の元に去った。33歳の専業主婦で子供2人を抱え、「人生最悪の時。数カ月はぼろぼろだった」。

 だが数カ月たった時、相談した友達に「カウンセラーを紹介しようか」と言われ、ふとわれに返る。「友達にも迷惑を掛け、これでは友達まで失ってしまう」。建築会社の仕事に就きながら、登録していた人材派遣会社から紹介されたのが米アップルの日本支社だった。

「愛あふれる会社を目指したい」と話す加納さん

「愛あふれる会社を目指したい」と話す加納さん

 派遣社員から正社員に引き上げられ、テクニカルサポート、コールセンターなどのカスタマーサービスを統括する部署などを経験。外資系企業の厳しい評価制度の中で、毎週のように職場を去る同僚を横目で見つつも、「結果を出せば、新人であっても自分の考えで物事を進められる。そんなクリエーティブな職場が楽しかった」という。

 数年勤めたが、支店の移転とともに退職。その後、福島でまちおこし関係の仕事をしている時、造形美術制作をしていた加納社長と知り合い、宮崎に戻って結婚した。事業を軌道に乗せるため、2人で九州、中国地域まで営業に走り回ったものの、受注にはつながらなかった。打開のきっかけは暇な時間を使って作り直した専用ホームページ。次第に着ぐるみ制作の依頼が増え始め、口コミでも評判が浸透。全国から注文が舞い込むようになった。

 2009年1月、KIGURUMI.BIZに社名を変更。全国の自治体などがPR用に作る着ぐるみが増え、ゆるキャラがブームに。現在は年間200〜250体を制作しており、アイドル的な人気を誇る九州新幹線全線開通記念で誕生した熊本県の「くまモン」も同社出身だ。

 順調に業績を伸ばし、スタッフは約30人にまで増加。今は管理者として社員の働きやすい環境、雰囲気づくりにも心を砕く。数々の人生経験を経た今、仕事も充実し「とても幸せ」という。「いろんなことがあったが、それも現在に至るまでの過程として必要だったと思う。過去に感謝したい」と笑う。
 

ここが聞きたい

 -今のゆるキャラブームをどう見ているか。

 ゆるキャラも急に人気が出てきて、また人気がなくなると思われているが、そうは思っていない。着ぐるみは私が小さい頃からあって、緩やかに人気が上がってきて、ひこにゃん(滋賀県彦根市のキャラクター)あたりから少しぐんと人気が出てきた。キャラクターも文化として認められつつあるので、すぐすぐなくなるとは思わない。ただ、今ほどではなくなるとは思うので、最後の1社として生き残れるようにブランドイメージを売り、新しいことにもチャレンジしていきたい。

 -どんなブランドイメージを目指しているか。

 うちのブランドイメージは「LOVE(愛)」。仕事をやるにも、キャラクターの向こう側にいる人に笑ってもらうために今の仕事に愛を注入するように社員に言い聞かせている。営業も相手に押しつけるのではなく、相手が買いたいと思ってもらえるようにしていきたい。そんなキグルミビズのファンを増やしていきたい。

わたしのオススメ

 スペイン発のファッションブランド「Desiqual(デジグアル)」の洋服が大好きです。福岡のキャナルシティ博多の中に第1号店があり偶然、1年くらい前に見つけた。アートっぽい派手な柄が特徴。お店に入るとたくさん派手な洋服が並んでいて、店ごと持って帰りたくなる。スカートをたくさん持っていて、無地の物と合わせてきれいな柄のスカートを着るのが好き。(談)

プロフィル

 かのう・ひろみ 宮崎市出身。宮崎小、宮崎中、宮崎南高卒業。父親は会社員を経て事務機器の会社を起業。そろばんや電卓も普及しない時代に「OA機器に触って育った」という。1960(昭和35)年6月生まれの53歳。

アクセスランキング

ピックアップ