みやビズ

2019年10月14日(月)
キーパーソン

宮崎活魚センター社長 築地加代子さん

2014/03/31

地元魚の良さ売り込み

 4人の子供を育てていた専業主婦から4年前、実家の水産卸会社の社長に就いた。養殖魚を中心に、現在人気を集める本県特有のブランド魚なども幅広く取り扱い、飲食店などに積極的に売り込んで販路を開拓する。養殖業者の苦労にも思いを寄せ、地域を盛り上げようと奮闘している。

魚のさばき方などについて冗談を交えて社員と話し、笑顔をみせる築地社長(右)

魚のさばき方などについて冗談を交えて社員と話し、笑顔をみせる築地社長(右)

 社長になってから睡眠4時間余りの毎日が続く。「気が張っているから日中は大丈夫だけど、午後にゆっくりした時間が5分、10分あると眠くなる」と笑う。水産卸会社の朝は早い。午前3時に起床して出社。注文を受けて県内外の養殖場から運ばれた魚介類を社内にある大型活魚槽(200トン)に放し、加工してホテルや飲食店などの取引先に配達する。現在、養殖魚を中心に約500種、年間380トンの魚介類を取り扱う。

 取引している魚種の中には最近話題を集める県内のブランド魚も少なくない。平兵衛酢(へべす)の搾りかすを餌に加えたフルーツ魚「へべすぶり」、ヤマメを海で養殖して巨大化させた「みやざきサクラマス」、県が完全養殖に成功した「シロチョウザメ」「西米良サーモン」「しまうら真鯛」…。そこには「地元の養殖業者を潤わせたい」との思いがある。

 もともと祖父が80年前、国富町で魚屋を始めた。その後、宮崎市内で「丸一水産」の屋号で株式会社化し、父親の時代に新別府町の市中央卸売市場隣に移転。1997年、新会社の宮崎活魚センターを設立した。現在は姉夫婦が経営する丸一水産が冷凍魚や加工品、宮崎活魚センターは鮮魚、活魚を扱う。

 幼いころから魚は身近にあった。毎日、午前5時に起きて祖父と競りを見に行くのが何より楽しみ。だが忙しい両親で子供ながらに寂しさもあったため、「自分は結婚したら専業主婦になろうと思っていた」。大学を中退して結婚し、20歳で長女を出産。その後も2男1女をもうけ、子育てに専念した。活魚センターは夫が社長を務め、忙しい時だけ事務を手伝う程度だったが、42歳で離婚。2010年、専業主婦から一転、会社を経営することになった。

 「自信はなかったが、祖父や父から受け継いだ思いを残したいと思った」。既に父は6年前に他界しており、生前も自分が経営者になるとは想像もしていなかったため「経営や魚の知識など、全く教えてもらったことはなかった」。ただ、商売の基本となる、人への接し方や客への気配りなどは自然に父の姿から学んでいた。

「地元の養殖魚者さんたちを応援したい」と語る築地さん

「地元の養殖魚者さんたちを応援したい」と語る築地さん

 会長である母親、姉夫婦、何より従業員に支えられながら経営者として少しずつ経験を積んできた。一方、家庭では中学、高校生になる子供の食事、弁当などの準備をこなすが、仕事上の付き合いで夜に自宅を空けることもしばしば。「今になって自分の両親の気持ちも分かる」

 幼いころからお世話になっていた業界関係者との人脈を仕事にも生かし、「最近は魚について勉強するのが面白い。自分の中に眠っていた祖父、父から受け継いだDNAが目覚めてきたような気がする」。

 祖父、父の時代から鹿児島の錦江湾でブリやカンパチの養殖も手掛けてきた。管理者の高齢化などもあり昨年で事業はやめたが、養殖業者の苦労は痛いほど分かる。だから「少しでも安定した収入を得てほしい」との思いは強い。現場を知るために養殖場に足を運び、飲食店などにも積極的に売り込む。取引先は230社にのぼり「今後も宮崎、そして九州に着目して養殖業者と飲食店などと一体になって地元を盛り上げていきたい」。祖父、父から受け継いだ魚屋の血が騒いでいる。

ここが聞きたい

 ―養殖業の今後について。

 世界銀行の試算では2030年には世界に流通する魚の3分の2が養殖が占める、とされている。現在、国内でも流通しているブリやタイは3分の2が養殖魚。天然物が取れなくなくなっている中で、養殖業者を応援していくことが必要になってくる。さらに今後は養殖できる魚の種類もどんどん増えてくるのではないか。

 ―魚を普及させる活動もしている。

 NPO法人びびりん宮崎をつくって、出前講座を開いている。先日は幼稚園を訪問して魚に関するクイズや魚の解体などをした。園児たちは興味津々で、さばいた時は「きれい」「すごい」などと声を上げて喜んでくれた。最後に魚を刺し身で出すと、80人の園児のほとんどが完食してくれた。魚離れといわれているが、子供の頃から魚に触れていくことが大切だと改めて感じている。

わたしのオススメ

 一人になれる時間は移動時間くらいだが、そんな時には車内などでCDを聴く。お気に入りはアイルランド出身の女性4人の音楽グループ「ケルティックウーマン」。好きな曲は「When You Believe」「The Prayer」など。英語だけど歌詞も良くて歌声も美しい。歌を聴きながら自分を癒やしている。(談)

プロフィル

 つきじ・かよこ 宮崎市出身。宮崎大宮高卒。仕事で大切にしているのは誠実さ。座右の銘は「人間万事塞翁が馬」。成功しても有頂天にならず、失敗してもその原因の本質を追究して対応をすることが大事-と心掛ける。社員として勤務する長女(25)と高校3年生の次女(17)、中学3年生の次男(14)と暮らす。大学生の長男(21)は東京在住。1968年2月生まれの46歳。

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