みやビズ

2018年7月19日(木)
キーパーソン

私の台所社長 森下直行さん

2011/10/06

新たな挑戦に意欲

私の台所が扱う製菓材料のアイテムは約500種類。本物志向の商品づくりへ意欲を膨らませる森下社長

私の台所が扱う製菓材料のアイテムは約500種類。本物志向の商品づくりへ意欲を膨らませる森下社長

 12月のクリスマス、2月のバレンタインと2大イベントが控えるこれからは、製菓材料メーカーにとって1年間でも慌ただしい時期だ。7月に父親でもある現会長の勝彦さんから「私の台所」(宮崎市)の社長職を引き継いだ。「インターネットなどが進み情報革新という意味で会長の時代と今は違う。ゼロからのスタート。今年から大々的にプロモーションを仕掛けていきたい」。早くも新トップとして独自性を打ち出す意欲をみなぎらせる。

 高校まで宮崎市で育ち、福岡市の専門学校で2年間、経営を学んだ。1996年、福岡で広告代理店を起業し、宮崎や長崎を含めた3県でチラシのポスティングや宣伝カーによる広告事業を展開。ただ、以前から勝彦さんに後継話を打診されていたこともあり、「経営者として次のステップを目指したい」と、2009年6月に地元に戻り、営業本部長として私の台所に入社し、常務取締役を経て社長に就いた。

 勝彦さんが1976(昭和51)年に宮崎市内で個人創業した私の台所は、製菓材料の小分け、ミックス原料のパッケージ商品の製造、販売などで全国展開し、年商約15億円にまで成長した。「製菓材料という業界自体が、全然認知されていない所からビジネス展開するのは非常に難しかったはず」。小分けの手作業から始めた両親の苦労を間近に見てきただけに、ビジネスの厳しさは身に染みている。

 現在、扱っている手作りお菓子の原料は約500アイテム。生活雑貨大手の「東急ハンズ」(東京都)や「ロフト」(同)、大手スーパーの「ユニー」(愛知県稲沢市)などを含め約千数百店舗で商品を販売している。店舗販売と並行してOEM生産(相手先ブランドによる生産)、自社ホームページでの直販、外食産業にも力を入れる。

 一般の消費者もインターネットで豊富な情報を得られる時代になり、客が商品に求めるレベルも高まっている。そんな中で、率先して商品のパッケージや中身を東京のデザイナー、フードコーディネーターら専門家と組んで開発。「本物志向で、よりおいしいものを作っていかなければニーズに合わない」と時代の変化に敏感に対応する。

「今年から大々的なプロモーションを仕掛けていく」と新たな展開を語る森下社長

「今年から大々的なプロモーションを仕掛けていく」と新たな展開を語る森下社長

 今年に入り、都市部の大型店などで大々的なプロモーションも展開している。売り場づくりからプロデュースし、クリスマスやバレンタインなどの時期には、マネキン(販売員)を使った試食販売、プレゼントイベントなども構想している。「若い人にも受けるようにマネキンのコスチュームなど、売り方にもこだわっていきたい」と新たなチャレンジに意気込む。

 今後に可能性を見いだしているのが海外での販売だ。昨年、仕入れ業者の仲介で香港のスーパーなどに初めて商品を陳列したのを足掛かりに、今年は香港の百貨店に売り場を新設。韓国では食品展示会に出品する計画だ。香港や韓国では家庭でお菓子を作る習慣は一般的でないというものの、「韓国は日本の音楽がリアルタイムで入ってくるなど、文化が似ている。日本で人気があるデコレーションのトッピングも必ず流行する、と現地のバイヤーから聞いている。日本の文化を広めることができたらいい」と新市場に期待を膨らませる。

 昨年、社内に経営戦略室を立ち上げた。「ビジネスは基本的にうまくいかないと思っているから、常にいろんな仕掛けを考え可能性を探っている。新たなビジネスを考えるワクワク感が何より楽しい」

ここが聞きたい

 -製菓材料業界の現状と見通しは。

 製菓業界を取り巻く状況は以前とは随分変わった。スポンジからケーキを作る人が減りっているので簡易に手作りできる商品を用意しているし、バレンタインも異性にチョコレートを贈るのではなく、友達と交換する「友チョコ」用に容量を増やした商品を提供している。人口も減っているので、市場は縮小していくだろう。だからこそ、専門家が作った本物志向の味やレシピに改良し、より専門的でおいしいものを作っていかないといけない。

 -どのような企業を目指しているか。

 新規事業を始める場合、能力がある人間がいないと任せられない。そのためにも人材育成には力を入れている。社員にはちゃんと自己主張するよう指導している。そうでなければ県外では通用しない。一言も意見を言わない人間は会議に参加しなくていいと厳しく言っている。社長といえども本音でぶつかってほしいと。そんな活気がある会社にしていきたい。

私のオススメ

 最近はサイクリングに凝っている。休みの週末に自転車で約80キロメートル走って、高鍋くらいまでは行く。始めたのは宮崎に戻った3年ほど前から。一人で飲み物を積んで音楽を聴きながらマウンテンバイクで走ると気持ちがいい。日ごろのストレス、重圧から解放される。山や田んぼ、川などいろんな風景を見ることができる。例えば、橋でアスファルトの下から雑草が生えているのを見ると、生命力やハングリー精神を感じたりする。(談)

プロフィル

もりした・なおゆき 宮崎市出身。九州スクールオブビジネス(福岡市)の経営学科卒。1996年2月に福岡市で広告代理店を創業。09年6月、「私の台所」に営業本部長として入社。常務取締役を経て11年7月に社長就任。妻、長女1人と宮崎市で3人暮らし。37歳。

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