わが社の成長戦略2(上)/WASHハウス社長・児玉康孝さん
出店攻勢、海外も視野に
今、勢いのある県内企業の一つだ。5月に広島支店を開設するなど、県外への出店攻勢を強めているコインランドリーのWASHハウス(宮崎市)。店内カメラと遠隔操作を組み合わせた効率的な管理システムと、清掃やメンテナンス、集金などを自社で行うことでフランチャイズ(FC)オーナーの厚い信頼を獲得している。九州屈指の規模になりながら、さらなる高みを目指す児玉康孝社長に今後の成長戦略を聞いた。
-現在の事業規模は。

2020年の東京五輪を見据え、「わが社の事業を海外のお客様に知っていただける絶好の機会。海外進出も視野に、何らかの仕掛けをしたい」と語る児玉社長
※13年12月期の売上高は10億5000万円。
-5月に開設した広島支店の手応えは。
知名度の全くない地域でどれだけ事業拡大できるかのテストケースだったが、売り上げは想定を上回っている。本州の既存店舗は従来のイメージ(古い、汚い、怖い)のものばかり。駐車場もない。そこに清潔で明るい店舗が建ち、圧倒的な支持を得ている。
九州はコインランドリーの数が多く、1店舗あたりの世帯数は宮崎が1581.71世帯で全国3位。1位は鹿児島、2位は沖縄。本県は日照時間も全国トップクラス。コインランドリー事業を展開するのが国内で最も難しい地域でスタートしたのだから、九州外への進出はさほど難しくはないと考えている。
-広報戦略を重視している。
イメージ戦略として店舗数の一番多い福岡(68店舗)で、毎日正午直前にある天気予報番組のスポンサーとなっている。PM2.5の情報も流し、本県でもおなじみのTVCMを流している。出店戦略については、テレビ局の放送網をベースに計画を立てているほど、広報戦略を重視している。エリア戦略としては新聞の折り込みチラシを活用している。特定の地域で、各家庭に直接ものを届けられる新聞というのは、ものすごいビジネスモデルだ。
-積極的な出店攻勢だが、少子高齢化で国内市場は縮小傾向だ。
現在の利用率は低くても事業として成り立っていて、これから伸ばせる余地のあるものに取り組まないといけない-。起業当初から人口が減っていく中でのビジネスモデルを考えなくてはいけないという発想があった。

九州を中心に177店舗を展開するWASHハウスの児玉社長。「ことしは50店舗以上の出店を計画している」と話す
コインランドリーが最初に流行したのは1970年代。独身者らが部屋に洗濯機を置くには(金銭的にも、物理的にも)余裕がなくて利用した。第2次ブームは80年代。共働きの家庭が増えたことによる家事の省力化が目的だった。第3次ブームが現在のアレルギーへの対応。昨年からは中国からの飛来が懸念されているPM2.5が大きな問題になり、これまで一部だった利用者層が一気に拡大。弊社にとって追い風となっている。
-原材料費の高騰や消費税増税、節電にはどう取り組んでいるか。
例えば、布団4枚を一度に洗うのに今は大型の機械ならば約1000円かかる。1枚あたり250円。これを将来的に1枚あたり100円で洗えるようにしたいと最初から考えて、毎年コストダウンを図っている。同時に事業規模の拡大で仕入れ単価は下がっている。消費税増税に関しても、われわれは値上げしづらい業界だが、自分たちのコストダウンが進んでいれば問題はない。大きな影響はなかった。
-長期的な戦略を教えてほしい。
FCオーナーがコストダウンを図れるように、関連資材を自社で生産、供給できるようにならないかと考えている。また2020年には東京五輪が開催される。海外からのお客さまに、わが社のコインランドリーの良さを知っていただける絶好の機会だと思っている。海外進出も視野に入れ、何らかの仕掛けをしたいと思う。
【プロフィル】こだま・やすたか 宮崎大宮高-国士舘大法学部卒。証券会社、外食産業、不動産業を経て2001年11月に「ケーディーエム」設立。05年12月に「WASHハウス」に社名変更。全国コインランドリー管理業協会会長。1965(昭和40)年10月生まれの48歳。