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2014年夏の課題(上)/JR九州宮崎総合鉄道事業部長・川原淳一さん

2014/07/11

「連携と競争」、利用客のために


 2014年の夏、東九州自動車道延岡-宮崎の開通に伴い本県の経済や社会的な環境は大きく変わった。また、消費税増税、値上がりし続けるガソリン価格の影響は、消費者の動きにも及んでいる。公共交通機関の一つとして県民の生活を支えるJR九州に対して、これらはどう影響したのか。影響を乗り切るために新たな挑戦はあるのか。JR九州宮崎総合鉄道事業部長・川原淳一さんに聞いた。
(聞き手・経済部次長 鬼束功一)

 -東九州自動車延岡-宮崎が開通しました。鉄道利用への影響はありましたか。

「他の公共交通機関との連携と競争の中で、常に新しいことに挑戦していきたい」と話す川原さん

「他の公共交通機関との連携と競争の中で、常に新しいことに挑戦していきたい」と話す川原さん

 マイカーでの高速道利用者が増えた影響で、日豊線宮崎駅-延岡駅は若干、利用の落ち込みはありましたが、限定的と考えます。宮崎空港まで乗り入れる空港線にはほとんど影響はありません。7月から高速道路の自動料金収受システム(ETC)の休日割引率が引き下げられますし、ガソリン価格の高騰は依然続くことが予想されるため、公共交通機関への回帰の動きがあるのではないでしょうか。公共交通の中でも、鉄道は「安全」で「時間の正確性」が強みですので、この強みをアピールして利用を促していきたいですね。

 -4月の消費税増税の影響は。

 3月までに定期券(3カ月、6カ月)や、1カ月間有効で割引のある「2枚・4枚きっぷ」などで駆け込み需要がありました。その分、4月の売上は全国的に多少落ち込みましたが、駆け込み需要との平準化でカバーできる範囲です。ただ、限定的とは言っても楽観視はできません。これまでと同じように、他の公共交通機関と連携、競争を続け、新しいことに挑戦し続けなければなりません。

 -連携と競争とは具体的にどういったことですか。

 県内に拠点を置く交通関連5社で「陸海空交通連携懇談会」をつくり、宮崎の交通及び観光の発展を目的に連携していろいろな取り組みを行っております。また子供たちに公共交通機関に興味を持ってもらうために今月、昨年に引き続き「みやざきのりもの探検隊」を宮崎市で開催。宮崎港フェリーターミナルで宮崎カーフェリーの操舵(そうだ)室を見学したり、ソラシドエアのパイロットらによる航空教室や特急列車の体験乗車も実施します。マイカーでの移動が多い宮崎の子供たちに、公共交通機関の便利さ、快適さを感じてもらうことで将来の利用につなげたいと考えます。これも連携の一つです。

 一方で、馴れ合いの関係になってはいけないと考えます。馴れ合いになってしまうと、お互いの発展がなくなる。安全、運行の正確さ、サービス、快適さ、価格(運賃)、災害対策などにおいて、各交通機関が競争することで、利用客の利便性や快適性の向上につながります。企業は、競争原理がなくなれば努力しなくなってしまいます。行き過ぎた価格競争は安全面からみてもよくありませんが、競うところは競う姿勢が企業には必要です。競争は「切磋琢磨(せっさたくま)」と言い換えてもいいでしょう。

観光特急「海幸山幸」。2013年の乗車効率は九州九つの観光列車の中でナンバーワンだった

観光特急「海幸山幸」。2013年の乗車効率は九州九つの観光列車の中でナンバーワンだった

 -九州新幹線とバスで本県と福岡をつなぐ「B&Sみやざき」でも連携が見られます。

 2011年3月から宮崎交通、九州産交と共同運行しております。運行初年度からみて50%ほどお客さまが増え、宮崎から福岡地区への陸路最速の交通機関として定着しています。バスから新幹線、新幹線からバスも、乗り継ぎの際の待ち時間をストレスを感じないように設定し、お客さまからの評判も上々です。早朝出発から深夜到着まで16往復運行しておりビジネスマンは使い勝手がいい。早朝、深夜の利用はあまり多くありませんが、そういった時間帯も運行しないと公共交通機関の役割は果たせません。

 課題は認知度を上げること。「B&Sみやざき」で博多まで2時間20分で行くことができる都城、2時間で行ける小林などでもっとPRしていきます。片道単位で予約でき、6分前まで何度でも予約変更ができる「B&Sみやざきネットきっぷ」(6月から利用開始)をはじめとした割引きっぷも、もっとアピールしていきます。

 -観光特急「海幸山幸」も好調です。

 運行開始から5年間、乗車効率は毎年80%を超え、昨年は86%になりました。九つある九州の観光列車の中でナンバーワンの数字です。沿線の自治体や皆様のおもてなしのお陰でもあり、感謝しています。通常運転日(土、日、祝日等)以外の団体貸切は年間70本走らせています。日南線だけでなく、予約に応じて日豊線や吉都線などを走らせることも。観光だけでなく、結婚式の会場になったり、コンサート会場になったりもします。この夏は、ジャズの生演奏が楽しめる「ジャズトレイン」として宮崎-延岡を走ります。

 -今年の夏をどう捉えますか。

 東九州自動車道延岡-宮崎が開通し、他の公共交通機関と本格的な「連携と競争」ができる時期がきたと考えます。また宮崎〜日向市でも7月に新しく割安で使い道が色々ある「4枚きっぷ」を設定し好評です(宮崎〜延岡については昨年より発売)。南宮崎駅や都城駅にエレベータ等のバリアフリー化を行い、ハード面の整備も進んだことや、クルーズトレイン「ななつ星in九州」効果で九州に注目が集まっていることを追い風に、さらに新しいことに挑戦していきたいですね。例えば、「B&Sみやざき」の主な目的地は福岡ですが、広島や岡山など中国地方への利用も浸透を図っていきたいと思います。
(経済同友会会員)


【プロフィル】かわはら・じゅんいち 三股町出身。1977年、日本国有鉄道入社。JR発足後は総務部人事課副課長、旅行事業本部企画課長、北部九州地域本社次長などを歴任。「海幸山幸」の運行を手掛け、同列車を「わが子」と愛する。2009年6月から現職。1956(昭和31)年8月生まれの57歳。

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