みやビズ

2020年2月25日(火)
侃侃諤諤

物流の現状と課題/八興運輸社長・三輪純司さん

2014/04/18

世界を見据えて港の活用を


 大量の荷を効率的に目的地まで届けることができる海上輸送。物流システムに組み入れることで、コスト削減などの効果が見込まれる。首都圏から遠い本県にとって、海上輸送の有効活用が今後の発展の鍵を握ると言っても過言ではない。東九州道延岡-宮崎が開通して使い勝手の上がった細島港を中心に、八興運輸(日向市)の三輪純司社長に海上輸送の現状と課題を聞いた。
(聞き手・経済部次長 鬼束功一)


 -海上輸送のメリットについて、あらためてお聞きします。

八興運輸のRORO船「はっこう21」と三輪さん

八興運輸のRORO船「はっこう21」と三輪さん

 物流の大部分を占めているトラック輸送には、ドライバーの労務問題や後継者不足、燃油高騰などの課題があります。フェリーやRORO船を活用することで、ドライバーの休息やシャシー輸送でのコスト削減へとつながり、これらの課題を少しでも緩和することができると考えます。日本は、世界的にみても賃金(人件費)が高い。海外へ荷を運ぶにしても、少しでも国内輸送にかける時間を少なくすることが、収益性を確保することとなります。例えば、県北の企業が博多港へ陸送してそこから荷を出すより、細島港へ運んで荷を出した方が国内での輸送時間は短くなります。時間をかけないとともに、1人当たりが“背負う”荷物を増やす努力も要ります。船であれば、わずか十数人で何千トンという荷物を運べるのでトラックと比べて効率的です。

 -燃油高騰は海運業にも影響しています。

 為替が円安に振れていますが、12、13年前と比べると3倍近くに膨れあがりました。一方で運賃は上がっていないので、燃油高騰は確実に経営を圧迫しています。荷の量を確保することで乗り切るしかありません。物流も「薄利多売」の時代です。本県に限らず、船舶の大型化が進んでおり、港の対応も必要となってきます。現在、細島港は水深13メートルの岸壁を整備していますが、将来的には15メートルは欲しいですね。海外の大型クルーズ船にも対応でき、地域活性化にもなります。

 -大量の荷を集めて一度に運ぶために、港と船以外に必要な設備は。

 本県は食の宝庫。県はフードビジネス推進構想に取り組んでいますが、出口戦略と併せて輸送手段も考えておくべきだと思います。保冷技術が進んだ今、港に保冷庫などの施設を備えたストックヤードを整備することも一つの手です。昨年10月、悲願だった中国向けの便が細島港に就航しました。今の経済は、中国抜きでは良くも悪くも語れません。将来的に本県の農産物を中国などへ売り込み、アジアの食糧基地としての役割まで見据えれば、今のうちに運ぶ手段から考えておいても無駄ではないはずです。

 -東九州道延岡-宮崎開通で期待することはありますか。

細島港に到着した45フィートコンテナ。特区認定を生かし、県内の港の利用増に期待がかかる=2013年9月

細島港に到着した45フィートコンテナ。特区認定を生かし、県内の港の利用増に期待がかかる=2013年9月

 “地産地港”の推進。地元でつくったものは最寄りの港から出してほしい、という思いを込めた言葉です。県は「45フィートコンテナ物流特区」の認定を国から受けており、高速道路整備と合わせて、県内企業が県内の港の利用を増やす追い風になってくれれば、と期待します。“地産地港”から一歩進めて、“他産地港”として他の地域、例えば熊本でつくったものを細島港から出せないかとも考えます。そのためには、東九州自動車道の2車線化や九州中央横断道整備など、まだまだクリアしなければならない課題は山積します。“九州は一つ”と考え、周回できるインフラを整えるべきです。

 -港を拠点とすると、海外は随分と近くなります。

 仮に行こうとすれば、夕方に出港して翌朝には韓国・釜山に着きます。大阪の泉大津までと変わりません。貨客船の就航という夢も広がります。弊社の関連会社・八興商事はシンガポールへ県産野菜などを輸出し、さらにそこからの業務規模の拡大も目指しています。これからは国内にとどまらず仕事のあるところへ向かうべきで、自然と物流も海外へと向いていきます。「フロム・ホソシマ・トゥ・ザ・ワールド(細島発世界行き)」。そのくらいのことを考えて、細島港の発展を目指していきたいと思います。
(宮崎経済同友会常任幹事)


【プロフィル】みわ・じゅんじ 1970(昭和45)年10月、八興運輸入社。2006年、同社副社長に就任し、08年から現職。12年10月から日向商工会議所会頭も務める。日向圏域のテーマを「海と山の融合」とし、木材と港の活用に尽力。「木材と港を生かし切るか、細島だけでなく宮崎県の大きな使命」と強調する。日向市出身。1949(昭和24)年12月生まれの64歳。

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