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2018年6月19日(火)
海外事情 定期便 ~ジェトロ宮崎より~

中国の介護保険導入で広がる商機

2017/09/20
 急速な高齢化によって日本の人口を上回る1億4000万人の高齢者を抱える中国。長年続いた「一人っ子政策」の影響もあり、これまでのように家庭ではなく、施設で老後を過ごす高齢者が増えているという。
介護関連製品を展開する県内企業を視察する外国政府高官ら

介護関連製品を展開する県内企業を視察する外国政府高官ら

 急速な高齢化によって日本の人口を上回る1億4000万人の高齢者を抱える中国。長年続いた「一人っ子政策」の影響もあり、これまでのように家庭ではなく、施設で老後を過ごす高齢者が増えているという。このような中、中国政府は2020年までに介護保険制度を導入することを計画。上海市などで試験運用が始まった。今、中国では介護施設の運営やベッドのレンタル事業等、豊富な経験やノウハウを持つ日本の介護サービスのニーズが高まっている。

 中国の健康法の一つとして朝から太極拳にいそしむ人々の姿が目に浮かぶが、最近では「広場ダンス」を楽しむ高齢者の姿もよく見られる。急速な高齢化を受け、中国政府は昨年6月に上海市をはじめとする15都市で介護保険制度の試験導入を発表した。各都市での実施結果等を踏まえ、20年までに全国での介護保険制度の導入が予定されている。仮に新制度が導入され、保険の適用で施設の利用料や介護ベッドのレンタル料金等の利用者負担が軽減されれば、商機の拡大が見込める。

 このような中、30年前から高齢化社会に突入した日本において、その技術や管理システムで豊富な経験を積んできた日本企業には一日の長があろう。例えば上海市で介護施設の運営を行う日本企業もみられる。もともと、親の老後の面倒は自宅でみるのが一般的であった中国であるが、長年続いた一人っ子政策の影響で自宅での介護も難しくなってきており、施設で老後を過ごす高齢者の割合が増えている。介護保険制度の導入は、これに拍車をかけることになり、この企業でも施設の利用者の増加につながるとみている。

上海市内で広場ダンスを楽しむ高齢者たち

上海市内で広場ダンスを楽しむ高齢者たち

 また、中国で介護ベッドのレンタルサービスの普及に力を注ぐ日本企業の姿もみられる。介護保険の適用で介護用ベッドの利用者負担がわずか10%の日本に比べ、中国ではレンタルそのものへの抵抗感がまだ根強いという。価格もさることながら、他人が使ったものを敬遠する傾向があるという。最近は消費者の意識に変化がみられ、退院した高齢者が病院で使用していたベッドと同等の品質を求める声も聞かれるようになり、レンタル品への需要も高まっている。この企業にとって、安全性や耐久性で優れた日本製のベッドを手頃な料金で利用してもらえれば、レンタル事業での展望が開けることになる。

 ここ宮崎は日本で最もロコモ(運動器症候群=ロコモティブシンドロームの略称)が認知されている県と言われるだけあって、県民の健康増進への関心度合いは高い。また、県がスマホ用ウオーキングアプリ「SALKO」を運用したり、都城市と同市内の各地域包括支援センターが「こけないからだづくり講座」を開催したりといった行政の取り組みもユニークだ。さらには、東九州メディカルバレー構想を進めるだけあって、介護分野の製品・サービスを展開する企業もみられる。今後、商機が広がる中国市場は県内企業にとってもひとごとではないかもしれない。

 なお、上述した中国で介護分野のビジネスに取り組む日本企業については、ぜひとも以下の動画で詳細をご覧いただきたい。

「介護保険の導入で広がる商機 -日本の経験を中国の高齢者に-」(9分32秒)
https://www.jetro.go.jp/tv/internet/2017/07/e843e9a1f389bd0b.html
ジェトロウェブサイト テレビ番組「世界は今」(動画視聴無料)

(ジェトロ宮崎貿易情報センター・宮内安成)

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