みやビズ

2018年5月22日(火)
海外事情 定期便 ~ジェトロ宮崎より~

五大陸食品バイヤーから得た、県産品輸出拡大のヒント

2017/08/16
 「品質の高さに驚かされた。クオリティーに関しては十分世界で戦えるものが多い。ただし海外市場のトレンドをよく知ることが必要。パッケージのデザインは大いに改善すべし」。海外食品バイヤーが発したこのコメントに、県内企業の課題とさらなる飛躍のヒントが隠れていると感じた。

中国のバイヤーへ調味料を提案する県内企業

中国のバイヤーへ調味料を提案する県内企業

 「品質の高さに驚かされた。クオリティーに関しては十分世界で戦えるものが多い。ただし海外市場のトレンドをよく知ることが必要。パッケージのデザインは大いに改善すべし」。海外食品バイヤーが発したこのコメントに、県内企業の課題とさらなる飛躍のヒントが隠れていると感じた。

▽五大陸食品バイヤー商談会を開催
 ジェトロ宮崎は7月25日、宮崎市内で「五大陸食品バイヤー商談会」を開催。アメリカ、イギリス、オーストラリア、中国、ブラジルの五カ国から食品バイヤーを招聘(しょうへい)し、シーガイアで商談会を実施した。招聘バイヤーの選定にあたり、ジェトロ宮崎からジェトロの各海外事務所へバイヤー推薦を依頼。「ローカル系企業で、現地の高級食材スーパーやレストランに卸しているディストリビューター(卸売業者)」とリクエストしたところ、まさにそのような販路を持つ強力バイヤーが宮崎に集結。県内からは25社が参加し、目と舌の肥えた海外バイヤーと商談を行った。

▽欧米では「No-MSG」が当たり前
 商談会終了後、バイヤーに県内企業との商談を終えての感想を尋ねたところ、冒頭のコメントがあった。商談会を開く事務局としては県産品を高く評価いただきうれしく思う一方で、何とも耳の痛い、厳しいコメントである。前半部分の「県産品の質の高さ」については全バイヤーが異口同音に語っていた。その点は自信を持って良いのだろう。問題は後半部分。まず「海外市場のトレンドをよく知ること」について詳しく聞いてみた。

 アメリカやオーストラリアのバイヤーによると「先進国では健康志向が強く、ナチュラルなものが好まれる。『No-MSG(化学調味料不使用)』が当たり前の中、世界の流れに遅れている」とのこと。日本ではそこまで意識されていないが、欧米やオーストラリアでは、客は商品を手に取るとすぐに裏面の原材料表示を確認。もしMSG(化学調味料)が入っていると、商品をそっと棚に戻すという。No-MSG、Non-GMO(遺伝子組み換えでない)、オーガニック、グルテンフリーといった言葉は世界のトレンドであり、海外市場をターゲットにするうえでは欠かせないキーワードだ。

▽デザインは、国によって評価が異なる
 「パッケージのデザイン」については各国によって評価が異なるため、「何を」「どの国の」「どの層をターゲットとするか」によって変わってくる。中国のバイヤーは「日本語のパッケージの上に中国語のラベルを貼り付けるのがよい。その方が日本製とわかるから」とアドバイスしていた。一方でオーストラリアのバイヤーは「英語メインのパッケージでないと、ローカルの人をターゲットとして売ることは難しい」と中国のバイヤーとは異なる意見であった。デザインに関しては国によって評価が全く異なる場合もあるため、その国のバイヤーの声をよく聞き慎重に検討を重ねる必要があるだろう。

▽賞味期限が半年では短い
商談会後の交流レセプションであいさつするバイヤーたち

商談会後の交流レセプションであいさつするバイヤーたち

 ほかにも商談の行方を左右する見逃せない要素がある。中国のバイヤーに話を聞いたところ「加工食品の場合、賞味期限は最低でも1年必要。1年未満では世界のバイヤーは商談してくれない」と語っていた。同氏は上海の食品輸入業者で日本の大手しょうゆメーカーの代理店をしているほか、アメリカの老舗調味料メーカーやスペイン大手のオリーブオイルメーカーとも取引があり、世界のトレンドを熟知したバイヤーである。

 さらに詳しく聞くと、輸入した食材を上海のスーパーに卸しても賞味期限が残り半分を切るとすべて返品され、自社のコストとなってしまうとのこと。日本から輸送して輸入通関を経て最終的にスーパーの棚に並ぶまで、場合によっては1カ月程度かかってしまう。賞味期限が半年だと、その時点で期限切れまで残り5カ月。賞味期限が残り半分を切ると返品となるので、実質スーパーの棚に置かれるのは1~2カ月程度となり、これでは厳しい。賞味期限は最低1年が望ましく、半年ではリスクが高く手を出しづらいとのこと。宮崎から物理的に近い上海でもこのような状況であり、地球の裏側のブラジルへ輸出となると、さらにこの点が厳しく求められる。賞味期限も大きな課題の一つである。

▽商談後のバイヤーとのコミュニケーションが成約への道を分ける
 厳しい意見も聞こえた一方で、海外バイヤーの眼鏡にかなった県産品も多々あったようだ。商談後の海外バイヤーへのアンケートでは「高品質な商品で、商談に大変満足している」「一緒に仕事できるのが非常に楽しみ」といったコメントも寄せられた。商談成約のためには商談後もバイヤーと密に連絡を取り、しっかりとコミュニケーションを図ることが肝要。商談後のお礼メールをすぐに送り、サンプル送付や見積もり作成依頼のメールが先方から来たら、すぐに返信する。対応に時間がかかる場合でも、まずはすぐに返信することが重要。素早い反応がバイヤーとの信頼関係を築いていく。勘違いや誤解から成約間近まで行った商談が、直前で破断となることも少なくない。県産品が五大陸に広がる日を目指し、ジェトロ宮崎も引き続き県内企業をサポートしていきたい。
(ジェトロ宮崎貿易情報センター・中山裕貴)

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