みやビズ

2018年5月20日(日)
海外事情 定期便 ~ジェトロ宮崎より~

米国の食後酒市場を目指す

2017/05/17

宮崎の本格焼酎

 海外で息の長い日本食ブームが続く中、酒類の輸出額も5年連続で過去最高を記録している。その一方で焼酎は対2012年比で約15パーセント減少しており、海外での認知度向上が課題となっている。そのような中、ここ宮崎では若手の酒蔵経営者を中心に海外のプレミアム酒市場を開拓しようとする新たな動きがみられる。今回は地元酒蔵と海外バイヤーとの商談風景の一端をご紹介したい。

宮崎の本格焼酎


米国でバーやレストランで現地のプロに焼酎を紹介する、七つの焼酎蔵の代表

米国でバーやレストランで現地のプロに焼酎を紹介する、七つの焼酎蔵の代表

 海外で息の長い日本食ブームが続く中、酒類の輸出額も5年連続で過去最高を記録している。その一方で焼酎は対2012年比で約15パーセント減少しており、海外での認知度向上が課題となっている。そのような中、ここ宮崎では若手の酒蔵経営者を中心に海外のプレミアム酒市場を開拓しようとする新たな動きがみられる。今回は地元酒蔵と海外バイヤーとの商談風景の一端をご紹介したい。

 ここ宮崎では七つの焼酎蔵が「7人の焼酎侍」を結成して米国市場への輸出を目指しており、2年前から米国でのプロモーションに着手している。今年2月にニューヨークのバーやレストランで現地のプロ向けに試飲イベントを開催したところ、意外にもアルコール度数が高いプレミアムな焼酎が来場者に好評であった。実はここに焼酎が、これから海外に普及していく大きな可能性が秘められている。

 今年3月にジェトロでは、酒類の九州地域貢献プロジェクトの一環として米国からバイヤーを招いた。同バイヤーが所属する会社は売上高が30億ドルを超える西海岸最大級の酒類卸売企業であるが、今回はあくまでも隠れた一品を探し当てるためにはるばる九州を訪れたものだ。同バイヤーは宮崎を訪問し、7人の焼酎侍と顔を合わせることとなった。

 まず初めにバイヤーが目をつけたのは、国際的にも評価の高い北海道のミズナラを地元宮崎の樽(たる)職人が仕上げた柳田酒造の貯蔵樽であった。一つの樽が40万円以上もするだけに、オーク樽とは違った繊細な風味を醸し出すという。バイヤーは、この樽で熟成させた希少な焼酎をあえて日本人が行かないバー向けに提案したいとのことだった。この焼酎はアルコール度数が高く、あくまでも食後酒として楽しんでもらうためのものだという。度数の高いプレミアム焼酎を食後酒として提供するという新たな提案である。

米国から招いたバイヤーにプレミアム焼酎の味わいを説く本県の蔵元

米国から招いたバイヤーにプレミアム焼酎の味わいを説く本県の蔵元

 そして、バイヤーはそれぞれの土地にこだわった製法も見逃さない。宮崎市田野町にある渡邊酒造場では、自社農地で栽培した原料を使用したり、自生する酵母を採り入れたりする点に着目、そのオンリーワン度合いを丹念に精査していた。あえて近所の食品工場から風で運ばれてくる酵母をもシャットアウトしないこだわりを、「これぞ世界中でここでしか造れない一品!」と高く評価した。ボトルごとに醸し出される微妙な味の違いを、あえてオンリーワンの希少価値として認めるということである。

 最近、米国ではフランスからのコニャックの輸入が急増したり、はたまた高級なテキーラが出回ったり、さらには日本産ウイスキーが手に入りにくかったりと、度数と希少価値の高いお酒が流行(はや)っているようだ。これは宮崎の本格焼酎にとっても追い風であろう。宮崎には、度数が高く、こだわりの製法で造られた希少な一品もまだまだ存在している。それら宮崎が誇る個性的な本格焼酎が米国の新たな市場を切り開く日も近いのかもしれない。
(ジェトロ宮崎貿易情報センター・宮内安成)

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