みやビズ

2018年5月20日(日)
海外事情 定期便 ~ジェトロ宮崎より~

米国トランプ政権、保護主義の行方は?

2017/02/15
 トランプ大統領が次々と公約を実現させる中、米国に進出する日系企業や米国市場に輸出する日本企業は、固唾(かたず)をのんで情勢を見守っているところである。この調子でアメリカ・ファーストの通商政策が続くと、果たして米国の産業界はどのように変貌していくのか、その動向が気になるところである。
米国トランプ政権の保護主義は、本県経済にどのような影響を及ぼすのだろうか(米ニューヨーク)

米国トランプ政権の保護主義は、本県経済にどのような影響を及ぼすのだろうか(米ニューヨーク)

 トランプ大統領が次々と公約を実現させる中、米国に進出する日系企業や米国市場に輸出する日本企業は、固唾(かたず)をのんで情勢を見守っているところである。この調子でアメリカ・ファーストの通商政策が続くと、果たして米国の産業界はどのように変貌していくのか、その動向が気になるところである。

 実際に、宮崎から海外への輸出額(2014年)において、国別では米国向けは中国に次いで第2位(215億円、シェア14.2パーセント)、輸入額に至っては第1位(155億円、シェア16.0パーセント)と、ここ宮崎にとっても米国は経済面において切っても切れない関係にある。また、宮崎から米国には2社が法人を設立しているほか、複数の企業が業務提携を行っており、これら宮崎のビジネス関係者にとっても、保護主義への転換は人ごとでは済まされない状況である。

 それでは、これから保護政策が強化されていくとして、それらを享受していく米国の産業界は長期的に見た場合、その競争力を増加させるのか、それとも低下させるのだろうか。実は、これまで米国がグローバリズムを拡大する陰で、保護政策の恩恵を享受してきた産業がある。「繊維産業」がその一つである。

米ニューヨークのトランプタワー

米ニューヨークのトランプタワー

 米国の繊維産業は、過去には国外に生産拠点を移す中で従事者数も大きく減少した時期もあったが、2009年を境にその生産量は反転、従事者数の減少にも歯止めがかかっている。その要因の一つが戦略的な保護主義の活用である。最高税率41パーセントの壁に守られることに決して安堵(あんど)せず、業界団体の巧みなロビー活動で通商協定に自分たちの希望を盛り込ませることに成功してきている。さらに、最近では保護主義とはベクトルが真逆の自由貿易協定においても戦略的に立ち回っており、万が一TPP(環太平洋連携協定)が発効されても大丈夫な程度にまでに、その耐性を強めてきている。

 つまり、保護主義によって米国産業界は長期的にその競争力を低下させるとは一概に言えず、その盾に守られながら、着々と競争優位性を高める可能性も否定できないのである。宮崎のビジネス関係者におかれては、今後、米国市場でビジネスを展開するにあたって、このような視点も頭の片隅に置いていただければ幸いである。そのためにも、今後の米国の他産業の動向を占う上で、これまでの繊維産業の動きについて以下の調査レポートをぜひとも参考にしていただきたい。

【米国】保護主義の行方(2017年1月)
https://www.jetro.go.jp/world/reports/2017/01/0413b2d7bde1f724.html
ジェトロセンサー(2017年2月号) エリアリポート

(ジェトロ宮崎貿易情報センター所長・宮内安成)

ジェトロ宮崎所長の宮内さん
 みやうち・やすなり 1991年、日本貿易振興機構(ジェトロ)入構。福岡事務所、シドニー事務所、トロント事務所、ものづくり産業部などでの勤務を経て、2015年10月から現職。食品関係では、トロント事務所勤務時に日本からの食品の輸出促進事業を担当した。

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