みやビズ

2018年8月20日(月)
上々企業

大和フロンティア(都城市)

2018/03/20
20180319-1admin_image_1521449153.jpg 放置された竹林が、田畑や家を侵食する「竹害」が大きな問題となっている。竹林所有者の高齢化が進んでおり、管理できない竹林が増えてくることも懸念される。大和フロンティア(都城市、田中浩一郎社長)はこれらの問題を解決するため、県畜産試験場の研究結果を基に、竹を伐採・加工して家畜用発酵粗飼料「笹(ささ)サイレージ」を量産・出荷する体制を全国で初めて整備した。

放置竹林を解消し、飼料化に成功


笹サイレージの生産工程。ロールして発酵させる

笹サイレージの生産工程。ロールして発酵させる

 放置された竹林が、田畑や家を侵食する「竹害」が大きな問題となっている。竹林所有者の高齢化が進んでおり、管理できない竹林が増えてくることも懸念される。大和フロンティア(都城市、田中浩一郎社長)はこれらの問題を解決するため、県畜産試験場の研究結果を基に、竹を伐採・加工して家畜用発酵粗飼料「笹(ささ)サイレージ」を量産・出荷する体制を全国で初めて整備した。

 笹サイレージの完成までには糖蜜でカビが生えたほか、乳酸菌が活性化しないなどの苦労があった。しかし、密閉やpH(水素イオン濃度)の研究などを各機関と協議、解消してきた。そして、生産方法や名称は2016年に特許を取得。17年2月には新工場を都城市高城町に完成させ、量産に臨んでいる。

 従来、竹林伐採は有償で他社に依頼するが、竹林は3年後には自然再生するため、有効な竹害対策にはなっていないのが現状だ。大和フロンティアでは、笹サイレージの原料として竹が必要であるため、無償で伐採する。3年後には成長した竹を刈り取る一連の流れが構築、竹林管理が徹底されることになる。

 笹サイレージの生産方法は、竹を粗めに粉砕した粉末に糖蜜や乳酸菌を加え、機械で圧縮する。重さ350キロのロールをラップに包んで約40日間発酵させ出荷する。本年度は5000ロール、5年後には2万4000ロールの生産を見込む。

原料の竹に糖蜜や乳酸菌を加えてかき混ぜ、発酵させて飼料とする

原料の竹に糖蜜や乳酸菌を加えてかき混ぜ、発酵させて飼料とする

 この一連の取り組みが、県企業成長促進プラットフォームの「成長期待企業」や、中小企業整備機構の「地域資源活用事業」に認定され、研究開発や販路拡大などの費用として年間500万円、最長5年間の補助金を受けられることとなった。

 豚や牛の肥育で笹サイレージを利用すると、畜産農家が飼料に利用する稲わらに比べ、養分総量や粗繊維などが上回り、タンパク質の消化性が高い。給餌試験では、嗜好(しこう)性や健康状態、栄養状態も良好であった。しかも、肉質分析ではオレイン酸の割合が増加して、風味がよく柔らかい肉となった。都城市高城町の「観音池ポーク」は笹サイレージを利用したブランド豚として販売し、安心安全の豚肉販売の強化に取り組んでいる。育成する豚舎では、周辺の臭い軽減にも効果が出てきている。

 笹サイレージの可能性は高く、農業分野での利用も進んでいる。乳酸発酵しているため、土中の雑菌の繁殖を抑制し、善玉菌の活性を促すほか、根張りの良い、おいしい野菜が作られるという。

 田中社長は「地元の畜産農家はもとより、農業での利用も進んでいる。環境保全と農業発展に寄与できる、笹サイレージの生産は地域貢献に少しは役立っているのでは」と話す。

 今後はフランチャイズとして全国を見据えた展開を検討している。国内ばかりではなく、台湾からの視察などもあり、全国から注目されている事業であり、発展性が期待できる。

商 号:大和フロンティア株式会社
設 立:2005年2月
本 社:都城市上長飯町2416の5
資本金:1000万円
電 話:0986(21)0151
 林野庁の「森林・林業統計要覧」によると都道府県別の竹林面積は上位5位の大半を九州が占める。畜産や農業の盛んな九州にあって、竹害対策と肥育・農業の両方が喜ぶシステムだからこそ、伸びる要素が高い。また、今年3月に社名を大和検査鉱業から大和フロンティアへと変更したことには「最前線を進んでいきたい!」という意気込みを感じる。
(帝国データバンク宮崎支店・小倉 祐一)

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