みやビズ

2018年10月15日(月)
上々企業

宮防(宮崎市)

2018/02/06
 2017年12月、地域の経済成長を力強くけん引する事業を展開する企業として全国で2148社、県内では38社が選ばれた「地域未来牽引(けんいん)企業」。選定に当たっては企業として高い付加価値を創出している点や、経済波及効果、事業の継続性などがポイントとなった。防水工事を展開する宮防(宮崎市)もその1社で、大手メーカーと共同開発した遮熱塗料「ファームバリア」が評価された。村社英秋社長は周囲の支えに対する強い感謝の気持ちを抱いている。

新規事業を通じて初心を忘れず


「ファームバリア」の屋根塗装

「ファームバリア」の屋根塗装

 2017年12月、地域の経済成長を力強くけん引する事業を展開する企業として全国で2148社、県内では38社が選ばれた「地域未来牽引(けんいん)企業」。選定に当たっては企業として高い付加価値を創出している点や、経済波及効果、事業の継続性などがポイントとなった。防水工事を展開する宮防(宮崎市)もその1社で、大手メーカーと共同開発した遮熱塗料「ファームバリア」が評価された。村社英秋社長は周囲の支えに対する強い感謝の気持ちを抱いている。

畜舎の温暖化対策として

 「ファームバリア」は熱作用の高い近赤外線を効率よく反射、散乱させる熱反射性顔料と、熱を放射する特殊セラミックを配合。太陽熱の吸収を抑制するとともに、表面に吸収された熱を放射する二つの作用で、透過熱量を減らして温度の上昇を防ぐ。

 畜産県である宮崎の畜舎屋根はスレートぶきが多く、熱を吸収しやすい。夏場は家畜の体調悪化や生産性の低下が課題だった一方、スプリンクラーや送風機を導入すればランニングコストがかかる。「塗ればOK」という「ファームバリア」は畜舎の温暖化対策に持ってこいだ。

 08年に県から経営革新計画の承認を受け、宮崎大と産学連携して「ファームバリア」の実証実験を重ねた結果、夏場の畜舎の温度は塗装する前と比べて屋根表面で25〜35度、畜舎内でも2.5〜4.5度程度下がった。

遮熱需要は畜産以外にも

消波ブロックの鋼製型枠にも効果抜群だ

消波ブロックの鋼製型枠にも効果抜群だ

 暑さ対策が必要な業界は他にもあった。夏場の生コンは高温になると品質が安定しないため、「輸送中の生コンの温度上昇を緩和できるはず」と生コン車のドラムにも塗装した。これは国内8社の代理店を通じて全国の生コン会社が利用するまでになり、全国トップのシェアを誇るようになった。その経緯から優れた効果が認められる新技術を推奨する「国土交通省NETIS」にも登録され、最高評価のVE評価を得た。

 生コン会社からは、海岸で消波ブロックを作る作業員が暑さに苦しんでいると聞いた。消波ブロックは工場で製造して運ぶのではなく、設置する現場に型枠を持ち込み、生コンを流し込んで現地製造することが多いが、その型枠の多くは「鋼製型枠」。夏はやけどするほど温度が上昇するため、型枠に塗装することで作業環境の改善にもつながった。

きっかけは本業の不振

 「ファームバリア」を開発した08年は、大手ゼネコンの倒産で本業の防水工事が苦戦していた時期と重なったが、宮崎商工会議所や中小企業診断士から支援を得て経営を立て直し、最初の経営革新計画の承認に至った。その後「宮崎中小企業大賞」「ニッポン新事業創出大賞」「野口賞産業振興奨励賞」を受賞、17年3月には宮崎県企業成長促進プラットフォームが認定する「成長期待企業」に選ばれるなど、新規事業が脚光を浴びている。しかし、村社社長はあくまで本業の防水工事が主たる軸であると言い切る。

 宮防は先代社長である村社勝氏が創業。今まで培った職人の技術力や、先代から築き上げてきた信用で成長した企業として、その初心は忘れてはならないと周囲に感謝する。これまでの実績だけでなく、新規事業に注目が集まって当社の知名度や社内の士気が上がったほか、防水工事では新規客からの引き合いが増えるなど、ブランド力が高まったのも事実。

 また、防水工事は春から夏にかけて仕事が少なくなりやすいが、新規事業はその時期の需要が大きく、年間を通して職人の業務量が平準化できるなど、本業との相乗効果が続いている。

「宮崎県の暑熱対策」を全国基準に

 最近では企業成長促進プラットフォームの支援を受けて複数の畜産業者と試験施工を繰り返し、家畜の増体率など豊富な実証データを蓄積できた。塗装の初期投資を何年で回収できるか、具体的な数字を挙げて説明できる防水工事会社は宮防以外にないだろう。

 裏付けのある提案営業が実を結び、現在では県外大手の畜産業者から受注した大口工事を進めており、今後はその畜産業者と連携し、新たに夏場の受胎率などのデータを確認していく方針だ。

 また、宮防の商品を使った上での実証データやコストパフォーマンスを織り交ぜた畜産暑熱対策マニュアルを作成中で、将来的には「宮崎県の暑熱対策」として標準化するとともに、全国の模範となるようアピールしたいと考えている。国内の代理店には海外と太いパイプを持っている会社もあるほか、海外企業から直接商談が寄せられるなど、宮崎から全国、海外へと活躍の場が広がりそうな宮防。周囲の支えに感謝する村社社長の強い思いが、この展開を引き寄せているのだろう。

【会社概要】
商号:株式会社宮防
住所:宮崎市田吉1886
代表者:村社 英秋氏
資本金:2000万円    
電話:0985(53)1008
設立:1971年10月
事業内容:防水工事・遮熱塗料販売
URL:http://www.miyabo.co.jp/
 「ファームバリア」の販売直後に口蹄疫が発生するアクシデントに見舞われながらも、しっかりとエビデンスを蓄積したことで説得力のある商品に成長した。宮崎の畜産品質を高めるためにも、畜産関係者は「ファームバリア」の導入を検討するべきだろう。
(帝国データバンク宮崎支店・忠平匡胤)

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