みやビズ

2018年9月22日(土)
上々企業

矢野興業(宮崎市)

2017/11/21
 地元有力ゼネコンの矢野興業は、官民ともに施工実績が豊富で、売上高約30億円を計上する。6月には創業者の矢野文昭氏に代わり長男智久氏が社長に就任。業種を問わず、後継者不足が問題となる中、創業者の長男が社長を引き継ぐ流れは一般的だが、同社の事業承継には紆余(うよ)曲折があった。事業承継や展望について智久氏に聞いた。

「努力しただけ、報われる会社を目指して」


インタビューに答える矢野興業の矢野智久社長

インタビューに答える矢野興業の矢野智久社長

 地元有力ゼネコンの矢野興業は、官民ともに施工実績が豊富で、売上高約30億円を計上する。6月には創業者の矢野文昭氏に代わり長男智久氏が社長に就任。業種を問わず、後継者不足が問題となる中、創業者の長男が社長を引き継ぐ流れは一般的だが、同社の事業承継には紆余(うよ)曲折があった。事業承継や展望について智久氏に聞いた。

-後継者となる意識が芽生えたのはいつごろですか。

 学校を卒業後、政治の世界に関心があり、東京で国会議員の私設秘書を務めていました。仕事はとてもやりがいがあり、このまま秘書の仕事を続けようと思いましたが、10年前、事務所が解散して仕事がなくなってしまいました。それまで自分が後継者になるとは全く考えていませんでしたが、宮崎に帰ることにしました。

-当時の会社の状況は。

 一般競争入札が導入された時期で、公共工事を主力とする当社は大変厳しい状況でした。売上高が急激に落ち込んだだけではなく、取引先との関係や社内の雰囲気が悪くなっていました。そんな中で父は何とか事態を打開しようと、いろいろなアイデアを実行していましたが、意見の対立から衝突することも多々ありました。その時に会社をどう経営していくかという、後継者としての意識が芽生えたのでしょう。

-厳しい状況をどう立て直したか?

 最初から会社で働いていなかったせいか、客観的な視点で改善点を見つけられました。単純に「努力しただけ、報われる会社にしよう」と考えて、社員が工事などで稼いだ利益と、その社員の給料や経費を“見える化”して、社員1人ずつに伝えることで、会社に対する貢献度が分かるようにしました。
 
 この見える化は今も続けていて、社員のモチベーション向上につなげています。最近も建設業は人手不足といわれますが、当時の当社も離職率が高かったため、国際標準化機構(ISO)のマネジメントシステムを参考に独自の人事労務管理システムをつくり、頑張っている社員の努力を会社がしっかり認める仕組みを構築しました。

-これからどんな会社を目指す?

 「家族に無償の愛をささげる」と言いますが、そんな気持ちや思いやりが社員の間に生まれると、より会社が充実していくと思います。社員が仕事をする上で大事なものは、仕事のやりがいや給料などの待遇も大事でしょうが、まずは職場での良好な人間関係があってこそ、本領を発揮できるのではないでしょうか。私も含めて、社員同士がお互いを信頼し、思いやれる、そんな雰囲気をつくっていきます。

 今年から社員のアイデアを事業化する「YKプロジェクト」を立ち上げました。事業としての可能性があるアイデアは、提案者を責任者に据えて事業化を目指します。これも「努力しただけ、報われる会社」を目指した取り組みです。

矢野興業
住 所:宮崎市橘通西5の1の23
電 話:0985(31)1818
URL:http://www.yano-kougyou.co.jp/
 インタビューの最後に、事業承継の経験者としてこれから取り組もうとする経営者へのアドバイスをもらった。現在の経営者に対して「重要な事柄を独りで決めてしまうような社長なら、必ず誰かと相談してほしい。事業承継に必要なことはたくさんある。『明日から社長をやれ』といきなり後継者に伝えても、うまくはいかない」。

 後継者候補に対しては「周りは想像以上に自分を見ていて、評価している。普段から一生懸命努力をしていると、自然と周りが味方になってくれる。助けてくれる」。

 2016年に「休廃業・倒産」した県内事業者は344社。その直近の合計売上高は約210億円、従業員数合計は約1000人におよぶ。事業承継は宮崎経済の維持と発展につながるはずだ。
(帝国データバンク宮崎支店・忠平匡胤)

アクセスランキング

ピックアップ