みやビズ

2018年5月22日(火)
上々企業

梶田種苗(宮崎市)

2017/09/05
20170904-admin-image-1504517242-top.jpg 宮崎市佐土原町の種苗店「梶田種苗」の3代目梶田與之助会長は、今では宮崎特産の高級食材と評価される「佐土原ナス」が絶滅寸前だった危機を救った立役者。その先見の明もあり、地元の農家から「町の種屋さん」として頼られている。農家の高齢化が進む中、最近では従来の品種と比べて短期間で栽培できる上に、収穫量も多い大根の種が人気だ。その種には会長の孫への愛情が詰まっていた。

先見の明と孫への愛情が光る種苗店


宮崎銀行西佐土原出張所向かいの梶田種苗本店

宮崎銀行西佐土原出張所向かいの梶田種苗本店

 宮崎市佐土原町の種苗店「梶田種苗」の3代目梶田與之助会長は、今では宮崎特産の高級食材と評価される「佐土原ナス」が絶滅寸前だった危機を救った立役者。その先見の明もあり、地元の農家から「町の種屋さん」として頼られている。農家の高齢化が進む中、最近では従来の品種と比べて短期間で栽培できる上に、収穫量も多い大根の種が人気だ。その種には会長の孫への愛情が詰まっていた。

▽奇跡のナス


 しっかりとした肉付きの佐土原ナスは、江戸時代に佐土原藩で盛んに栽培されていたため、その名が付いたという。薄い紫色をした長ナスで、同じような形にそろわない点が外見重視の消費者ニーズに合わず、1980年頃にいったん市場から姿を消した。しかし、梶田会長は佐土原ナスを後世に残そうと、宮崎県総合農業試験場に種を保存してもらう。会長のこのアイデアがなければ、佐土原ナスは絶滅していた可能性があるという。

 時は過ぎ2000年、試験場がこの種の発芽に取り組んで奇跡的に成功。その後は地元の農家が研究会を発足し、地元の野菜を残そうと栽培技術の向上に取り組んでいる。

▽海外で出会う


 そんな会長が外国で珍しい大根の種と出会う。早速持ち帰り、品種改良しながら栽培してみると、見た目は従来の青首大根とそっくりだが、早く育って身なりも良い。おでんや煮付けで食べてみるとさらにビックリ。味がとても良かった。

「竜助大根」の種袋

「竜助大根」の種袋

 独自に開発したこの大根に「竜助大根」と名付けた。「竜助」とは当時産まれたばかりの会長の孫。今では栽培期間が短い特性を生かして春にも植え付けできる「竜助2号大根」も商品化しており、栽培の効率化と収穫量の増加を同時に実現する品種として、地元の高齢農家から人気を集めている。

▽挑戦は続く


 農林水産省の集計によると、県内の農業就業人口は減少が続いている上、05年以降は65歳以上が過半数を占めるようになった。新規就農者数は近年増加しているものの、その多くは農業法人が受け皿となっており、個人農家を得意先とする当社の先行きは率直にいって不透明だ。

 しかし、4代目の梶田竜司社長は自社農園で繰り返す試験栽培の結果をもとに、そのノウハウを農家に還元するコンサルティング農業に取り組むなど、当社の実践的な栽培アドバイスが好評だ。「団塊の世代」がリタイア時期を迎え始めているが、第2の人生として農業を選ぶのなら、一度は当社を訪ねてほしい。いろんな話が聞けるはずだ。

梶田種苗株式会社
住所:宮崎市佐土原町上田島1590の1
電話:0985(74)0131
 「食育」の重要性が指摘される中、近隣の佐土原小学校や広瀬西小学校で独自に食育事業を展開した。校庭に植えた種から育った野菜を使って児童に料理を振る舞うという取り組みが評価され、日本種苗協会から感謝状を受けた。自分が育てた野菜は特別な味がしたことだろう。若い世代に農業の重要性を認識させているところにも敬意を表したい。
(帝国データバンク宮崎支店・忠平匡胤)

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