みやビズ

2018年4月24日(火)
上々企業

特別企画 フードビジネスでトップ目指す宮崎県

2017/03/21

魅力的な商品や取り組みが次々登場


 宮崎県は古事記や日本書紀に記載のある「日向神話」をはじめ、天岩戸神社や天孫降臨といった神話と伝承のふるさととしてこれまで知られてきた。しかし、近年は全国和牛能力共進会で2連覇を果たした「宮崎牛」、完熟マンゴー「太陽のたまご」、宮崎県発祥の鶏肉料理「チキン南蛮」など、魅力的な食の宝庫としても注目されている。

 現在、宮崎県ではフードビジネス推進課を設置。「みやざきフードビジネス振興構想」を策定するなどして企業を後押ししており、魅力を県内外に広めている。

 中でも、他社との差別化を図りつつ、県外や海外への販路拡大を視野に入れて取り組んでいる企業を取材した。
 

お弁当の総菜から生まれたヒット商品「ゴボチ」


デイリーマームが国産原料と無添加にこだわって作っている「ゴボチ」のプレーン味(左)とブラックペッパー味

デイリーマームが国産原料と無添加にこだわって作っている「ゴボチ」のプレーン味(左)とブラックペッパー味

 デイリーマーム(宮崎市)が製造するのは、南九州産のゴボウを使用し、無添加の調味料で味付けをしたゴボウのチップス「ゴボチ」。県食品開発センターとの共同研究により味付けや保存性向上などに改良を重ね、商品化されたのが2011年11月。宮崎空港でのお土産品として、また県内外の生協や食料品店で売れ行きは好調で、こだわり続けたかいもあり、13年度優良ふるさと食品中央コンクール国産農林産品利用部門で最高賞にあたる農林水産大臣賞を受賞したほか、経済産業省の「はばたく中小企業・小規模事業者」の1社に選定されるなど高い評価を得ている。

老舗乳業メーカーが作る甘酒「百白糀」


百白糀プレーン(左)とショウガ

百白糀プレーン(左)とショウガ

 白水舎乳業(宮崎市)が製造するのは、牛乳で作った甘酒「百白糀(ひゃくびゃくこうじ)」。10年4月に発生し、同年8月に終息した口蹄疫で疲弊した酪農家を応援したいという思いが開発のきっかけだった。飲む点滴と呼ばれる甘酒は米糀と水でできていることから、完全栄養食品である牛乳と米糀を発酵させて甘酒を造れば、よりよい商品ができるのではないか。試行錯誤を重ねた結果、低温殺菌の県産生乳と国産米糀を発酵させることで牛乳の100倍の遊離アミノ酸が含まれる商品が誕生した。

 同商品は、美容・健康業界の企業が集まる展示会「ダイエット&ビューティーフェア2015」で、地域資源を活用した、地方の魅力ある美容アイテムとして、第1回ジャパンメイドビューティアワードで最優秀賞となる金賞を獲得、海外で甘酒が注目されている流れに乗っていきたいとしている。

ジャパンキャビアをスタンダードに


宮崎キャビア1983

宮崎キャビア1983

 ジャパンキャビア(宮崎市)は、キャビアの製造販売を手掛けているが、チョウザメの研究自体は県水産試験場および内水面支場が1983(昭和58)年から開始、91年に人工孵(ふ)化、2004年に全国で初めてシロチョウザメの完全養殖(稚魚から成魚、産卵、孵化)に成功した歴史を有する。

 当社が販売を手掛けている「宮崎キャビア1983」と、外国産キャビアとの大きな違いは、現在一般に流通されているキャビアの大半が保存期間を長くするために低温殺菌処理や高塩分処理されているが、当社が取り扱っているキャビアは岩塩のみで薄く味付けされていること、非加熱処理であることからキャビア本来の味が楽しめる。また、同社株主である養殖業者が県内15カ所で養殖しているシロチョウザメは、外国産の魚卵を孵化させたものではない完全な国内産である点、本格熟成といった工程を経ていることから深い味わいが得られる点が高く評価されており、16年5月に開催された伊勢志摩サミットで食材として取り上げられた。

 現在新工場を稼働させたことにより国内での通年販売が可能となり、安定供給が実現。今月8日には、宮崎ブーゲンビリア空港からの直行便で香港に初輸出した。国産キャビアの輸出は国内で初めて。

さらなる展開が期待される注目食材と企業


 くしまアオイファーム(串間市)は、サツマイモの生産、加工、流通全てを担っており、減農薬やトレーサビリティー、小ぶりでも甘みの強いサツマイモを5品種取り揃えて通年にわたって生産している。既に香港、台湾、シンガポール、マレーシア、タイ向けに出荷しているが、今後はベトナムにおいて現地法人と合弁会社を設立、現地生産も視野に入れて海外生産を進めている。

 また、道本食品(宮崎市)は老舗のたくあん製造業者で、県産干し大根を丸ごと一本漬け込んだたくあん、贈答用や備蓄食として重宝されている「たくあんの缶詰」などを製造、16年9月には食品安全マネジメントシステムの国際規格ISO22000の認証を取得、海外の販路拡大と20年の東京五輪・パラリンピックに向けて安全性へのさらなる充実を図る。
 

戦略が拡大の鍵


 紹介した食材と企業だけでなく、宮崎県産の麦と麦芽を使ったビールを製造する企業、鶏の砂肝や豚足などを使った食品を提供する企業、切り干し大根や納豆などを製造する企業などさまざまあり、紹介した企業はごく一部である。

 各社とも地元で生産された農産物や水産物をその地域で消費する地産地消活動だけでなく、県外や海外へ展開するにあたり、生産体制をどう整備していくか、商品のブランド力をどう高めていくか、多様化する消費者のライフスタイルや嗜好(しこう)にマッチした商品開発などの戦略が今後の鍵となろう。
 (帝国データバンク宮崎支店・宮本幸一)

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