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特別企画 宮崎県「休廃業・解散」動向調査(2016年)

2017/02/21
2016年の全国の企業倒産件数(法的整理による倒産、負債1000万円以上)は8164件と7年連続で前年を下回り、00年(6734件)以降で2番目の低水準となった。背景には、建設投資拡大の恩恵を受けて「建設業」の倒産が8年連続で減少したほか、中小企業金融円滑化法の終了後も引き続き返済猶予を受けている企業が多い点が挙げられる。

2016年の「休廃業・解散」は「倒産」の10.75倍

〜宮崎県の「休廃業・解散」率は前年と同じ全国第2位〜


はじめに

 2016年の全国の企業倒産件数(法的整理による倒産、負債1000万円以上)は8164件と7年連続で前年を下回り、00年(6734件)以降で2番目の低水準となった。背景には、建設投資拡大の恩恵を受けて「建設業」の倒産が8年連続で減少したほか、中小企業金融円滑化法の終了後も引き続き返済猶予を受けている企業が多い点が挙げられる。

 一方で、中小・零細企業を中心に後継者問題や代表の高齢化が深刻化しており、倒産に至らないまでも事業継続を断念して「休廃業・解散」を選択したケースが、16年に全国で2万4957件(15年は2万3914件)と倒産件数の3.06倍となったことが判明した。

 帝国データバンク宮崎支店は、企業概要ファイル「COSMOS2」(146万社収録)から削除されたデータを収録したファイル(削除ファイル)を用いて、06〜16年の間に「休廃業・解散」に至った事業者(法人・個人含む)を集計。倒産件数との比較や、業種別、代表者年齢別、都道府県別に分析した全国調査をもとに、宮崎県内の「休廃業・解散」の傾向をまとめた。

 なお、本調査は16年2月15日に続いて4回目。

◇「休廃業」とは、企業活動を停止している状態を指す(官公庁等に「廃業届」を提出して企業活動を終えるケースを含む)。調査時点では当該企業の企業活動が停止していることを確認できているが、将来的な企業活動再開を否定するものではない
◇「解散」とは、企業が解散した場合を指す。主に、商業登記等で解散を確認
◇「休廃業・解散」は、企業活動停止が確認できた企業のうち、倒産(任意整理、法的整理)に分類されないケース

調査結果(要旨)

1.2016年(1〜12月)の県内の「休廃業・解散」は344件判明。前年(355件)を11件(3.1パーセント)下回った。前年を下回ったのは2年ぶり。この数は、同年の「倒産」件数の10.75倍。
2.業種別では、「建設業」が129件(構成比37.5パーセント)で最多。
3.代表者年齢別では、「60代」の割合が37.8パーセントで最多。「70代」「80歳以上」は件数が増加。
4.都道府県別の「休廃業・解散」率(「休廃業・解散」事業者数/事業者総数)は、「新潟県」に次いで「宮崎県」が全国で2番目に高い。全国第2位は前年と同様。
5.「休廃業・解散」した県内事業者の売上高合計は約210億円、従業員数合計は約1000人。

1.種類別-「休廃業」、「解散」ともに2年ぶりに前年を下回る


 16年(1〜12月)の「休廃業・解散」は344件。前年(355件)を11件(3.1パーセント)下回り、2年ぶりの減少となった。直近のピークはリーマン・ショックが発生した翌年、09年の404件。16年は減少したとはいえ、近年は増減を繰り返しながら増加基調にある。

 種類別にみると、「休廃業」(255件)が前年比6.3パーセント減、「解散」(89件)は同7.2パーセント増となり、「休廃業」が前年より減少した一方、「解散」は増加した。

 その結果、16年の「休廃業・解散」件数は同年の「倒産」件数の10.75倍におよび、統計を取り始めてから最高の倍率となった。「はじめに」で触れたように、全国の「休廃業・解散」件数は「倒産」の3.06倍で、全国的に見ても県内の「休廃業・解散」は「倒産」と比べて多い現状がうかがえる。

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2.業種別-「建設業」が全体の37.5パーセント


 業種別に「休廃業・解散」件数をみると、「建設業」が129件(構成比37.5パーセント)と全体の4割弱を占めた。以下「サービス業」の66件(同19.2パーセント)、「小売業」の58件(同16.9パーセント)と続いた。

 前年と比較すると、件数が増えたのは「小売業」「不動産業」「その他」の3業種、減ったのは「建設業」「サービス業」「卸売業」「製造業」の4業種、「運輸・通信業」は横ばいだった。

 最多の「建設業」は7件(5.1パーセント)減。もともと「建設業」は県内事業者の30パーセント近くを占めており、「休廃業・解散」件数が全体の多くを占めた点に違和感はない一方、建設需要拡大の恩恵を受けて「建設業」の16年の「倒産」は前年同数の7件にとどまっており、人手不足や事業先行き懸念などから「休廃業・解散」を選択したケースが多かった。

 次いで多い「サービス業」は5件(7.0パーセント)減。「小売業」とともに高水準で推移しており、特に消費税増税以降の個人消費の低迷や多様化などを背景に、事業継続を断念する動きが続いている。

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3.代表者年齢別-「60代」以上で全体の7割を占める


 「休廃業・解散」した事業者の代表者を年齢別にみると、「60代」が121件(構成比37.8パーセント)で最多。次いで「70代」の81件(同25.3パーセント)となった。過去10年間の推移を見ると、いずれの年も「60代」の割合が最多となった。

 帝国データバンクが17年1月に発表した「特別企画:2017年全国社長分析」によれば、全国の社長の平均年齢は過去最高の59.3歳(16年1月調査では59.2歳)となり、代表者の平均年齢は年々上昇している。ちなみに同調査によれば、県内の社長の平均年齢はやはり過去最高の59.1歳で、1990年時点と比べて6.1歳上昇している。

 2017年にはいわゆる「団塊の世代」が70代になり、今回の調査でも事業者全体に占める70代代表者の比率が増加した。今後はこれまで構成比が最多だった「60代」に代わり、「70代」が増加していく可能性がある。

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4.都道府県別-宮崎県の「休廃業・解散」率は全国で2番目の高さ


 都道府県別にみると「休廃業・解散」が最も多かったのは、「東京都」の2745件。以下、「北海道」(1448件)、「愛知県」(1245件)、「大阪府」(1211件)と続いた。企業数が多い都市圏では「休廃業・解散」が多い傾向にあるが、これらの地域では新設企業も多く、新陳代謝が進む。

 事業者総数に対する「休廃業・解散」事業者数の割合を示す「休廃業・解散」率を都道府県別に見ると、「宮崎県」は前年と同じ全国第2位。最も「休廃業・解散」率が高い「新潟県」は「休廃業・解散」件数が前年比23.2パーセント増と大幅に増加した一方、「宮崎県」は「休廃業・解散」件数が前年より減少しながらも「休廃業・解散」率が全国で2番目に高い状況にあり、企業の設立や事業者の開業など「起業」につながる取り組みが求められている。

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5.まとめ

〜中小企業経営者は適切な事業承継を〜

 16年の全国の企業倒産件数が7年連続で前年を下回った一方で、「休廃業・解散」を選択した全国の事業者は前年より増加した。県内の「休廃業・解散」件数は前年より減少したものの、同年の「倒産」件数の10.75倍におよび、統計を取り始めてから最高の倍率となったほか、「休廃業・解散」率は前年と同じ全国第2位で、事業者総数に占める「休廃業・解散」件数の割合が引き続き高い状況にあることが判明した。

 「休廃業・解散」件数は「建設業」「サービス業」「小売業」の順に多く、この傾向は全国でも宮崎県でも同様である。いずれも人手不足が顕在化している業種である上、個人消費の多様化など需要の変化に対応できない中小企業が従来の業態から脱却できず、先行きを懸念して事業継続を断念するケースが散見される。

 16年に「休廃業・倒産」した県内事業者344社の直近売上高合計は約210億円、従業員数合計は約1000人におよぶことも判明した。たとえ事業者ごとの規模は小さくても、その合計数字はひとつの大企業の売上高がなくなったほどのインパクトがある。また、従業員の職が失われた意味も大きい。「休廃業・解散」率で触れたように、大都市圏であれば新設企業が多く、事業者の新陳代謝が活発で、次の職を早期に確保できる可能性があるが、県内で次の職を確保できない場合に人材が県外へ流出しかねず、さらなる人口減少につながる恐れがある。その意味でも、企業の設立や事業者の開業など「起業」によって「休廃業・解散」率を引き下げるとともに、県内経済を牽引する企業が「休廃業・解散」に遭遇した従業員の受け皿になってほしい。

 後継者問題や事業承継問題も県内経済にとって大きな課題である。後継者不在の事業者はもちろん、事業先行きが厳しい業種では後継者候補がいたとしても代表者が継がせないという事業者もある。時代の流れに対応できない事業者や、規模格差の優劣が際立つ業種の零細事業者が生き残るのは難しく、この傾向は今後も続く見通しである。

 17年にはいわゆる「団塊の世代」が70代になり、団塊世代の経営者は事業承継の決断を迫られる。事業承継の問題として会社株式の相続税は避けられない。未上場企業や赤字企業でも、株主である代表者や親族が高額な相続税を払えず、解散に至るケースも出ている。特に家族経営の中小企業は、相続税を巡って内紛に発展したり、相続税納税資金を会社から借り入れるなど、その後の経営に影響を及ぼす可能性があり、中小企業経営者は今すぐにでも適切な事業承継の準備に取り組んでほしい。
(帝国データバンク宮崎支店・忠平匡胤)

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