みやビズ

2019年7月17日(水)
上々企業

ワン・ステップ(宮崎市)

2014/10/21
常時対応できるぬいぐるみは7種類

競合しない分野に活路を見いだす

 イベント会場でよく見かけるエア遊具、いわゆる「ふわふわ」を中心に数多くのイベント遊具の賃貸や販売を手掛けるワン・ステップ(宮崎市、山元洋幸社長)は、「オリジナルキャラクターぬいぐるみ製作キットのレンタル・販売」というテーマで、ことし6月に県の経営革新計画の承認を受けた。その背景には「競合しない分野に活路を見いだす」という同社の緻密な経営戦略が垣間見えた。

常時対応できるぬいぐるみは7種類

常時対応できるぬいぐるみは7種類

 山元社長は大阪府出身。宮崎大学大学院在学中に励んだ就職活動でさまざまな企業の面接を受けたが、サラリーマンになるイメージが浮かばなかった。また、在学中に父が倒れたことで「教育を受けさせてもらった自分が、自分のためだけに働いていいのか」と自問するようになり、雇用を創出したいという思いも高まって、中心市街地活性化事業「アゲインチャレンジショップ」で土産用マグネットを販売する店舗を立ち上げた。

 その後、知人の依頼で販売したバッテリーカーが好評となり、それがイベント遊具事業に発展するが、当初は同じ頃に始めた、電動車いす賃貸の売上高の方が多かった。しかし、介護保険制度の先行きを予見し、大手企業との競合に勝ち目はないと見切りを付けた。

 イベント遊具の需要は季節変動が大きいものの、得意先のニーズをつかんでオリジナル遊具を開発し、全国に販路を広げて軌道に乗せた。現在のイベント遊具は約300種類におよび、中には人気テレビ番組やご当地キャラクターをモチーフとしたエア遊具もある。

 今から3年前、アメリカ・オーランドの遊具展示会を訪れた山元社長は、手作業でぬいぐるみの綿を詰めて、オリジナルのぬいぐるみを作るという機械を見つけた。海外には手作りぬいぐるみの専門店もあると聞いたが、日本ではなじみがないと直感して事業化を決めた。

ペダルを踏んで綿を詰め込む

ペダルを踏んで綿を詰め込む

 イルカやパンダなど、子どもが喜びそうなぬいぐるみの生地をそろえ、エア遊具などとともにイベント会場に持ち込んだ。自分だけのぬいぐるみを作るプロセスが楽しいと評価され、ことし4月には近畿地方のレジャー施設に機械を販売できた。

 転機になったのは、ボートレース振興会から競艇場のイベントでキャラクターをぬいぐるみにしたい、という依頼。その時、企業イメージに合うぬいぐるみの生地を小ロットで作れば、その企業の販促品として活用できる、とひらめいた。

 ブランディングや知名度アップに欠かせない販促品だが、独自に作れば多額の経費がかかる。ただ、低コストでできるものは何か物足りないはず。生地は千個1ロットで60万円程度。機械のレンタル料は1日2万5千円。企業の費用対効果に対応できて、独自色がある販促品づくり、しかも来場者は自分だけの一品を作る楽しみを感じられる。これは「競合しない分野」になると力を込める。

 イベント遊具の販路は全国に広がり、ことし3月には首都圏や東海圏に近い浜松市に拠点を開設したが、遠方の客とは電話やメールのやりとりで、互いの顔が見えない。だからこそ他社がやらないような、すき間の商品に特化しないと戦えない、という山元社長の考えは起業したときから一貫している。

 
設立:2002年6月
本社:宮崎市清武町今泉甲4625-1
資本金:1000万円
TEL:0985(64)5399
http://onestep-miyazaki.com/
 実は現在のぬいぐるみ製作キットは同社自作品。山元社長が展示会で出会った機械は統一規格がなく、故障時の対応部品がなかったため「結局、自分で作りました」と笑う。

 これまでに住宅展示場や自動車販売店など、家族連れをターゲットとしたい企業が利用した。このキット以外にも工作体験型のイベント品を多数取りそろえ、事業の柱として突き詰める方針だ。社名のように1歩ずつ、と社長は控えめだが、大きな飛躍の可能性を秘めたビジネスモデルである。
(帝国データバンク宮崎支店・忠平匡胤)

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