みやビズ

2019年7月19日(金)
上々企業

SUNAO製薬

2014/05/09

ネット通販で埋もれない商品コンセプト

 健康食品や化粧品のOEM(相手先ブランドによる生産)企業である株式会社SUNAO製薬は、ネット通販でも躍進を遂げている。同社は「楽天市場」と「ぐるなび食市場」に「すなお食堂」という店名で通販サイトを開設、南九州の農畜産物を中心に販売しており、「ぐるなび食市場」からはリピート注文率を評価する「2013年上半期ぐるなび食市場特別賞金賞」を受賞。その背景には意外な展開があった。

SUNAO製薬が「すなお食堂」という店名で開設している通販サイト

SUNAO製薬が「すなお食堂」という店名で開設している通販サイト

 同社は11年1月設立の後発企業。広島出身の廣澤直也社長が宮崎大学を卒業後、サプリメントのOEM企業勤務を経て、同社を立ち上げた。「製薬」という社名にあるように、医薬部外品やサプリメントなどの商品開発が主力だが、廣澤社長は以前の勤務先で通販事業を担当していたこともあり、同年8月に通販サイトを開設した。

 以前の勤務先では、ラジオショッピングで宮崎牛や地鶏などメジャーな食材を販売。東国原前知事が起こした宮崎ブームの最盛期だったが、会社の方針はあくまでサプリメントが主体で通販は2番手。OEMは売れれば大きい一方、失敗すれば転売できないというハイリスク・ハイリターンの現実があり、業績安定には通販の強化が必要と感じていた。

 その原点は大学1年生で出会った日向夏ミカン。果皮内側の白い部分を食べる、しょうゆをかけるという斬新な食文化。広島ではたたきでしか食べないカツオを、刺し身で食べることにも驚いた。その感動を知ってもらえれば、宮崎の食は全国で売れると考えた。

 しかし、今の会社で通販サイトを立ち上げた時には、すでに宮崎ブームは下火。宮崎特産の「チキン南蛮」「肉巻きおにぎり」などメジャーな商品は多くの店舗が扱っていて差別化が難しい。販売が好調だった「安納芋」も取扱店舗が増え、今後の大きな伸びが期待できなくなった。ネット通販を始めて1年後、「このままでは埋もれる」と感じた。

 「今の時代は特化が必要」として生み出したコンセプトは、「宮崎の土地柄を生かした、美容と健康の改善につながる安心安全の食品」という製薬企業ならではのもの。商品選別だけではなく、売る仕掛けも考えた。安心安全のイメージにつながる田舎感を出すため、古民家の床のような木材を商品写真の背景に使い、商品の色合いを強調するとともに、サイトの統一感を出した。
 そのコンセプトで最初のヒット商品は意外にも「梅酢ごぼう」という漬物だった。一般的には需要が先細りしている漬物なのに、1日で723袋売れた。そのうち自然と「すなお食堂」からメジャーな食材がなくなった。

 今の一押し商品は「まるごと食べ茶」。五ケ瀬町の有機JAS認定茶葉を使った粉末茶で、茶殻が出ない利便性を兼ね備える。粉末茶は普通の茶葉と違ってかさばらず、運送コストの削減分を価格に還元する点もリピーター増加の理由だ。

 今年夏には有機食材に特化した通販サイト「九州オーガニックメイド」を立ち上げる。宮崎出身ではない廣澤社長が、地場の食材に驚いた感動を全国に広げる場はますます広がりそうだ。

 
設立:2011年1月
資本金:100万円
本社:宮崎市和知川原2-74
TEL0985(26)2210
http://www.sunao-seiyaku.com/
 楽天市場に出店する店舗数は、今や約4万2000。ネット通販は商圏の垣根を取り払えるが、巨大な店舗群では差別化を図りにくい。ただ同社のように「明確な商品コンセプト」による事業展開に転換できれば、おのずから差別化につながる。その重要性はネット通販でも、企業間取引でも同じだ。
 宮崎の良さを広島出身の社長に教えられた点も興味深い。宮崎は県外、あるいは世界からどのように見られているのか、そこにもビジネスチャンスがありそうだ。
(帝国データバンク宮崎支店・忠平匡胤)

アクセスランキング

ピックアップ