みやビズ

2019年6月25日(火)
上々企業

晨星興産

2014/04/11

異業種進出で成長模索

 新分野進出は今まで取り組んでいなかった分野に進出する行動であり、さまざまな面で先が見えない不安な要素が存在する。一般的には市場の動向や技術の情報に関して取り組んでみないと分からないことが多く、既存の事業に注力するよりも企業にとってはリスクの高い取り組みである。その一方、「変わらない」ことにより本業自体が衰退することを懸念するケースや、販売環境が厳しい現状下、リスクを「取り」に行かなければ事業の成長がないケースがあるため、企業にとって異業種進出は厳しい選択を強いられるといえよう。

四家小学校跡地を活用したアグリ事業部

四家小学校跡地を活用したアグリ事業部

 晨星興産(宮崎市、岸本正興社長)の本業は、シリコンウエハー製造に関わる、研磨、切断、加工業を行うほか、容器洗浄業務であり年商は20億円を超えていた。しかし、半導体市況の減退によって売り上げは半分以下に減少した。

 このため、サツマイモ茎葉から抽出したポリフェノール素材「ポリフェミン」を活用したアグリ事業部を立ち上げ、宮崎大学との共同研究契約を2010年に締結した。その後、(独)農業・食品産業技術総合研究機構と共同研究契約を締結。宮崎県都城市四家小学校跡地に誘致企業として進出し、公的認証であるHACCPや有機日本農林規格(JAS)を認定取得するなど、ハード面の充実を図ってきた。

ポリフェノール抽出の様子

ポリフェノール抽出の様子

 そのほか、冬にガの一種の幼虫に菌が寄生、その菌が幼虫の豊富な栄養分を吸収しながらゆっくりと成長し、夏になると草のように地面から生えるキノコの一種「冬虫夏草」の無農薬栽培および商品開発(かふん泥棒)にも乗りだした。

 しかし、販売自体は順調ではなかった。新規事業に進出し、設備等のハード面を充実したからといって、順調に売り上げを伸ばしていくことは厳しいのが現状だ。

 このためコンサルティング業者と契約を行い、ホームページの充実や通販サイトへの掲載を行い、地元温泉施設や道の駅でも販売するなど地道な努力を続けてきた。

 そしてようやく、ポリフェノールを製品化しやすいようにパウダー状に精製した新素材「ポリフェミンパウダー」の実用化に成功した。

受賞した「しぼう泥棒」

受賞した「しぼう泥棒」

 コーヒーダイエットブームが起こったのは記憶に新しいが、サツマイモの茎葉由来のポリフェノールにはクロロゲン酸に加え、ネオークロロゲン酸が含まれていることが判明。ネオークロロゲン酸は体内で活性酸素等と反応することでダイエットや血流改善などに効果があり、コーヒークロロゲン酸と比較して約2倍の反応を起こす力が証明された。

 今後、ダイエット健康食品だけではなく、抗酸化作用のあるアンチエイジング化粧品への素材提供なども期待されている。

 そのポリフェミンパウダーを商品化した「しぼう泥棒」は、2014年3月14日に開催された「第14回JAPANドラッグストアショー」にて、「新商品コレクション好感度投票 業界関係者投票部門 実行委員長賞」を受賞した。

表彰式の様子

表彰式の様子

 日本チェーンドラッグストア協会が主催する、ドラッグストアショーはアジア最大級のドラッグストア業界唯一の展示会であり、出展社数は346社、2日間で13万人を超える来場者を集めた。

 「サツマイモの茎葉由来のポリフェノールは商品実用化までに数々の苦労があった。受賞を機に販売実績を伸ばしたい」と、晨星興産(株)代表取締役社長の岸本正興氏は異業種進出の難しさをしみじみと語っていたが、リスクを「取る」戦略に今後も注目していきたい。

 
設立:1986年2月
資本金:1000万円
本社:宮崎市清武町木原58-13
TEL:0985(85)3700
URL:http://shinsei.pr.miten.jp/
 中小企業の多くはノウハウや人材が乏しいため、異業種への展開を検討できていないのが現状である。異業種進出は新しい就労形態を生み出し、独自のサービスを提供することによって一層の発展が期待できる。晨星興産(株)は旧四家小学校周辺の清掃を定期的に行うなど、雇用以外にも地域貢献している。異業種進出の取り組みは、これまでの事業と異なり苦労が絶えず、販売に苦戦しているものの、さらなるマーケティング強化や商品開発強化をすることによって、同社にとってチャンスはあるはずだ。
(帝国データバンク宮崎支店・小倉祐一)

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