みやビズ

2019年6月16日(日)
上々企業

マスコ

2014/02/28

増税に負けない60%経営

 消費税が増税となる4月以降、どの業種も一時的な需要減を見込むが、中でも消費者が直接利用する小売店や飲食店は、この3%の上昇にひときわ苦戦するだろう。アベノミクスが賃金を押し上げるよりも先に、手出しを余儀なくされることを多くの消費者が嫌気し、心理的に節約志向を強めるためだ。

レトロな外観が印象的な「恵屋」加納店

レトロな外観が印象的な「恵屋」加納店

 しかし「備長炭炭火やきとり恵屋」をチェーン展開するマスコ(宮崎市、守谷健吉社長)に、その心配は無用かもしれない。直近5年連続増収という堅調な業績の背景には「60%経営」というアイデアがあった。

客単価1800円

 マスコは宮崎と鹿児島で合計22店舗の飲食店を展開し、そのうち17店舗は焼き鳥主体の「恵屋」「恵屋プラス」。宮崎で商売するなら、特産の鶏肉を気軽に何度でも楽しんでもらいたいという明確なコンセプトのもと、清武町加納に1号店を開店した。

 何度でも来てもらうには安くあるべきで、差別化も必要。だからレトロな店舗にするとともに、過度な装飾を控えて初期投資を抑え、その分価格に還元した。「こんな安いはずはない」。開店当初は何度もレジで客に聞かれた。

外部環境に迅速対応

 順調に店舗を拡大して9店舗目の出店後、鳥インフルエンザが発生。それまで鶏肉が提供できなくなるというリスクを認識したことはなかった。

 振り返れば、恵屋はほぼすべてのメニューが焼き鳥で、「魚が食べたい」という客の声もあった。事業リスクを分散するためにも「海鮮処・海恵(うみえ)」の開店に踏み切った。しかし、海鮮の店は鮮度の良い仕入れや板前の確保が難しい。何より注文を受けて料理を提供するまでの時間を短縮できず、クレームが相次いだ。

 それなら、料理提供の時間を短縮するために、客に肉を焼いてもらおうと考えた。新業態のホルモン店を1年間で5店舗開店し、ドミナント効果で一挙に普及させようとしたが、利益が出ないと判断して早期に撤退した。

60%でやる

 マスコの園田寛晃専務は「当初のコンセプトをしっかり守りつつ、新しいことにチャレンジしてきた。出すのも引くのも決断は早い。ポリシーは60%経営」という。

 その心は、客の声を取り入れるため、臨機応変に対応するため、今が100%と認識しないとのこと。逆に言えば、飽くなき向上心の探求だ。

 2011年11月に開店した宮崎駅構内の「炎の舞らくい」は、既存店舗と一線を画する。駅周辺の再開発を見越した集客力に期待して出店し、「恵屋」と異なるもてなしの接客スキルを磨いた結果、社内でトップの売上高を誇る店舗に成長した。

 同じく宮崎駅構内の「バルマル」、今年3月と4月に続けて開店する「とんかつらくい」も60%経営のたまもの。当初のコンセプトどおりにリピーターを得た「恵屋」を基盤に、向上心の探求は続く。


 
設立:1987年9月
資本金:1000万円
本社:宮崎市赤江字飛江田1253-1
TEL 0985(54)1118
URL http://www.masuko-net.com/
 これまでも県外から出店の話があったが、現状では本社の管理が行き届かなくなるので難しいと慎重だ。複数店舗を任せられる管理者の育成が当面の課題という。

 今回の増税についても、食材や仕入れ先、メニューなどを見直せるチャンスと受け止めている点も印象深い。外部環境の変化を率直に受け止める経営姿勢が、これまでの業績に現れているのだろう。

(帝国データバンク宮崎支店・忠平匡胤)

アクセスランキング

ピックアップ