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2018年5月22日(火)
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己を戒める一冊

2017/08/16
菊池克賴さん(宮交ホールディングス社長)呂新吾著・守屋洋編訳「呻吟語(しんぎんご)」(徳間書店)

菊池克賴さん(宮交ホールディングス社長)
呂新吾著・守屋洋編訳「呻吟語(しんぎんご)」(徳間書店)


きくち・かつより 北九州大商学部卒業後、全日本空輸へ入社。同社上席執行役員東京支店長などをへて、2012年6月から現職。66歳。西都市出身

きくち・かつより 北九州大商学部卒業後、全日本空輸へ入社。同社上席執行役員東京支店長などをへて、2012年6月から現職。66歳。西都市出身

呻吟語

著 者:呂新吾 守屋洋/編訳
出版社:徳間書店

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 この本と出会ったのは、前職の全日本空輸で旅客サービス部長をしていた17年前。ある役員に薦められて手に取った。著者の呂新吾は中国・明代の人物。36歳で科挙に合格した遅咲きの官僚だ。政治腐敗が横行する中、筋の通った存在として活躍したが、国の乱れを憂いて改革を進言したことが疎まれ、官僚を辞した。

 呻吟とは、病気の際に出るうめき声のこと。病に侵されているときは「この苦しみを二度と味わいたくない」と思うが、時間がたつと忘れてしまう。この本には官僚として生きた30年間に体験した苦しみを繰り返さないよう、また、同じような苦しみをほかの人が味わわずに済むように記した、いわば自己啓発書だ。読み進むほど、自分に足りない点や「こういう人間になりたい」と思うことがちりばめられている。

 特に心に響いたのは「深沈厚重は第一等の資質」という言葉だ。どっしりと落ち着いて深みのある人物は一流で、その人物の存在感だけで場の乱れは収まる。会社を率いる者としてそのような人間になりたいと常々思っているが、なかなか近づけない。

 また、(1)好機と見たら断固決断(2)辛抱すべきときにはあくまで我慢に徹する(3)物事の処理は思慮深く沈着に(4)変化への対応は機敏に-、という仕事をする上で重要な四つのポイントを挙げている。社長室の本棚に置いてあるので、経営に関する大事な判断を下すときには本を開き、これらの言葉を読み直し、立ち止まって考えるようにしている。

 ほかにも好きな言葉や身につまされる言葉がたくさんある。宮交グループの中堅社員向け人材育成塾「青雲塾」で、機会があるたびに伝えている。人間としての品格やリーダーの資質など耳が痛いこともたくさん書かれているが、とても勉強になる。次世代を担う若い人にもぜひ読んでほしい一冊だ。

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