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2018年4月23日(月)
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答えは現場にある

2017/06/21
 この本を手に取ったのは、ちょうど新八代駅から東京へ向かう新幹線の中で読むものを探していたときだった。キリンビールは明治安田生命保険と同じ三菱グループの一員。前任地が徳島営業支社で、「高知」というタイトルに親しみを感じた。

田村良純さん(明治安田生命保険宮崎支社長) 田村潤著「キリンビール高知支店の奇跡」(講談社+α新書)


たむら・よしずみ 1990年、明治生命保険(現明治安田生命保険)入社。大阪北支社京阪営業部、徳島営業支社などを経て2016年から現職。趣味はツーリングで愛車はカワサキGPZ900R。鹿児島大卒。49歳。福岡市出身。

たむら・よしずみ 1990年、明治生命保険(現明治安田生命保険)入社。大阪北支社京阪営業部、徳島営業支社などを経て2016年から現職。趣味はツーリングで愛車はカワサキGPZ900R。鹿児島大卒。49歳。福岡市出身。

キリンビール高知支店の奇跡

著 者:田村潤
出版社:講談社+α新書

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 この本を手に取ったのは、ちょうど新八代駅から東京へ向かう新幹線の中で読むものを探していたときだった。キリンビールは明治安田生命保険と同じ三菱グループの一員。前任地が徳島営業支社で、「高知」というタイトルに親しみを感じた。畑は違えど営業マン向けの内容で、何より著者とは同姓。興味を覚えた。

 著者はキリンビールの元副社長。キリンがアサヒビールの「スーパードライ」の波にのみ込まれつつあった1995年に支店長として高知へ赴任。その後は四国4県の地区本部長、東海地区本部長を経て、2007年からは代表取締役副社長兼営業本部長として全国の指揮を執り、09年にキリンビールのシェア首位奪回を実現した。これはその軌跡をまとめたものだ。

 例えば1996年に「飲食店やレストランに集中して営業をかける」という戦略をとる。飲食店などで飲まれているビールは市場全体の25%(残りは家庭)。本来なら大きな市場に注力するべきだが、営業力の効きやすい市場にターゲットを絞った。実はそれまで飲食店へ直接行くスタイルの営業をあまりやっておらず、酒を配達する酒販店へのセールスが中心だった。

 この営業の原点ともいえる取り組みが、後に大きな実を結ぶ。飲食店などでの評判が結果的に「家でもキリンを飲みたい」となり、シェア回復へつながる。発想の転換が生んだブレークスルー。大切なのは結果や数字で、私自身の経験からもプロセスにこだわりすぎると失敗することがあると思う。

 また、戦略を絞ったせいで本社から命じられた施策の実行がおろそかになった。その場合は、リーダーである著者が批判の矢面に立った。落ち込みつつも「信念を持ってやっていることだから」と耐えた。リーダーには時に社内向けの戦いが起きる。このエピソードも支社長という立場上、共感を覚えた。

 巻末では、著者が高知を去る際に支店のメンバーがまとめた「田村語録」というものを紹介している。その中に責任者のあるべき姿をこう記してある。

 「すべては自分の選択の結果である。何かのせい、誰かのせいにしない。常に自分が源。自分が当事者」

 業績が伸びない理由を人口が少ない、市場が小さいなど地域性や県民性のせいにしてはいけない。大地震などの天変地異は別だが、何ごとも自分次第で結果は変わる。だから物事を常に前向きに捉えることが大切-。

 会社のトップより、課長や班長など現場のリーダーとして働いている人たちにぜひ読んでほしい一冊だ。

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