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2018年4月24日(火)
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生きる力をつくるスープ

2017/04/19
 そもそも「食べる」とは何だろう。料理研究家で随筆家の辰巳芳子さんは、著書「いのちの食卓」の中でこう書いている。「『食べる』ということは、呼吸と等しく、いのちの仕組みにくみこまれているものです。

谷口知子さん(魔女のくすり堂代表、ブレインフードアドバイザー) 辰巳芳子著「いのちの食卓」(マガジンハウス文庫)


たにぐち・ともこ 宮崎市高岡町出身。社会や家庭で輝く女性や家族の健康を見守る優しい白魔女でありたいという思いを込め、「ますだ薬店」から「魔女のくすり堂」にリネーム。2017年から代表。「ブレインフード」(脳機能改善食品)の普及に尽力するほか、小中高のPTAなどを対象に食の大切さを伝える講演活動も積極的に取り組む

たにぐち・ともこ 宮崎市高岡町出身。社会や家庭で輝く女性や家族の健康を見守る優しい白魔女でありたいという思いを込め、「ますだ薬店」から「魔女のくすり堂」にリネーム。2017年から代表。「ブレインフード」(脳機能改善食品)の普及に尽力するほか、小中高のPTAなどを対象に食の大切さを伝える講演活動も積極的に取り組む

いのちの食卓

著 者:辰巳芳子
出版社:マガジンハウス文庫

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 そもそも「食べる」とは何だろう。料理研究家で随筆家の辰巳芳子さんは、著書「いのちの食卓」の中でこう書いている。「『食べる』ということは、呼吸と等しく、いのちの仕組みにくみこまれているものです。(中略)だからそのことをよく思い定め、積極的に受け入れて、『食べる』ということをまっとうに生きていかなければならないのです」。食は命の根幹という考え方に共感している。

 脳障害を持つ長女を育てる上で、食は大きな壁だった。誤嚥(ごえん)は命にかかわるため、いかに上手にのみ込ませるかが大切。しかし、病院から指導を受けた刻み食にはどうしても慣れず、長女はよくむせていた。とろみ剤も使わず、もっと簡単に食べさせられないかと考えて思い当たったのが、みそ汁だった。

 日本人にとって親しみのあるみそ汁は、赤ちゃんからお年寄りまで、全ての年代の食べ方に合わせて素材や作り方を工夫できる点が素晴らしい。病人食や介護食としてもオールマイティーな力を持つ。辰巳さんはみそ汁やスープの持つ力についてこの本で分かりやすく説く。母に薦められ、初めて読んだのは長女が生まれる前。子育ての中でみそ汁の力に気付いたとき、スープに対して熱い情熱を持つ辰巳さんと思いが一致したようでうれしかった。

 長女の入院中、もう少し口から食べ物を入れられたら点滴が外せるというときは、紹介されている「玄米スープ」が切り札となった。スポーツドリンクなどは受け入れないのに、玄米スープはスッと飲む。体は本当に必要なものを分かっているのだと思った。

 私にエールを送ってくれる一冊でもある。晩ご飯のメニューを毎日考えるのは、子育てや仕事に追われるお母さんたちにとって大変なこと。「家族の人数分のレシピにこだわらなくていい」というアドバイスを読んで、大きな鍋にみそ汁をたっぷり作り、なくなるまで食べるようにした。途中、具材を足したり、味を変えたりすると飽きずに最後まで食べられる。ご飯を作る手間が減り、気持ちまで軽くなった。

 今は茶の間に置き、気が向けば広げて読み返す。食は生きる力をつくり、命をつなぐこと-。当たり前のことを当たり前と思わず、これからも「食べる」ということにまっとうに向き合っていきたいと思う。

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