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2019年8月26日(月)
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山内康信さん(ボールパークドットコム社長)

2015/01/14
【わたしの一冊】山内康信さんお勧めは、田中茂光著「人間力 島岡吉郎ストーリー」(フジテレビ出版)

田中茂光著「人間力 島岡吉郎ストーリー」(フジテレビ出版)

「人間力野球」の名物監督

やまうち・やすのぶ 宮崎大宮高-明大卒。損保会社勤務後、2002年に野球用品専門店「ボールパークドットコム」(宮崎市)を設立。宮崎市出身

やまうち・やすのぶ 宮崎大宮高-明大卒。損保会社勤務後、2002年に野球用品専門店「ボールパークドットコム」(宮崎市)を設立。宮崎市出身

人間力 明治大学野球部監督島岡吉郎ストーリー

田中茂光
出版社:フジテレビ出版

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 「人間力の磨き方」「企業が求める人間力」など、ビジネス書などを中心に最近は「人間力」という言葉をよく耳にする。私がこの言葉と出会ったのは、明治大学野球部に所属していた約30年前。当時の島岡吉郎監督がよく口にしていたもので、「誠(=全力)を尽くす」という意味だったと思う。

 島岡監督は精神面を重視した野球で明大野球部の基盤を作り上げた、東京六大学野球の名物監督だ。熱血漢で鉄拳制裁は日常茶飯事。この本にも登場するが、OBの星野仙一さん(前楽天監督)は早大に敗れた試合の夜、雨の中をパンツ一枚で「グラウンドの神様」に土下座させられたことがある。

 島岡監督は、試合が劣勢のときに甲高い声で「なんとかせえ」と言うのが口癖。選手にハッパを掛けるのだが、具体的ではない。監督は選手出身ではなく、応援団出身だったので、野球の技術的な指導はほとんどなし。その代わり精神論である。難局をどうにかして乗り切れ、打破しろという意味だ。それでわれわれも一生懸命考える。「守備陣形をどうする」「どうやって出塁し、得点につなげるか」という風に。とにかく逆境でのメンタルを鍛えあげられた。

 「なんとかせえ」は究極のマネジメントだと思う。会社をやっていると、自らを奮い立たせ、「なんとか事業を好転させたい」と思案する機会は非常に多い。とにかくなんとかしようと粘る、もがく、考える。そのためには普段の生活や練習(仕事)の中で培ってきた生きる力が大きなウエートを占める。島岡監督の考えでは「誠(全力)を尽くして、それらのことに臨んでいるかどうかが人間力の大きさ、強さにつながる」というわけだ。

 私が在学当時、島岡監督はもう70歳を超えていた。それでも選手と一緒に午前3時半集合、同4時練習開始、そのまま夕方までグラウンドに缶詰ということもよくあった。普通科高校の野球部出身で何の実績もないけれど、「日本一厳しい環境で大学野球をしたい」と明大に進学。肉体的、精神的にきつい思いをした4年間だったが、今も貴重な財産だ。

 監督は厳しいけれど、私が4年生の春のリーグ戦で足をケガしたとき、下宿先に見舞いに来てくれた優しい人でもあった。「ご苦労さん、ご苦労さん」と繰り返す言葉は、今でも耳に残っている。生涯現役を貫き77歳で亡くなった。私も見習って70歳を過ぎても働き続けたいと思う。
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オンリーワン@WEB  ボールパークドットコム(宮崎市)(2012年10月10日)

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