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2019年8月26日(月)
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草田哲也さん(アサヒビール宮崎支社長)

2014/11/26
【わたしの一冊】草田哲也さんお勧めは、川又一英著「ヒゲのウヰスキー誕生す」(新潮文庫)

川又一英著「ヒゲのウヰスキー誕生す」(新潮文庫)

日本で初めてウイスキーをつくった男

くさだ・てつや 1990年、アサヒビール入社。秘書室、広報部、吹田支店長などを経て、2014年9月から現職。大阪府河内長野市出身。47歳。

くさだ・てつや 1990年、アサヒビール入社。秘書室、広報部、吹田支店長などを経て、2014年9月から現職。大阪府河内長野市出身。47歳。

ヒゲのウヰスキー誕生す (新潮文庫)

川又 一英
出版社:新潮社

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 この本はNHK朝ドラ「マッサン」の主人公である男性の半世紀を描いたものだ。男性は竹鶴政孝で、ニッカウヰスキーの創業者。日本で初めてのウイスキーを造るという思いを胸にスコットランドに渡り、スコッチウイスキー造りの技術を学んで帰国。生涯の伴侶であるリタさんと共に幾多の困難を乗り越えながら夢を実現する。国産ウイスキーの父と呼ばれる竹鶴さんは「ブラックニッカ」「余市」といったヒット商品を世に出す。

 アサヒビールとニッカウヰスキーの関係は60年前にさかのぼる。ニッカは1954(昭和29)年、アサヒビールのグループに入る。ビール、ウイスキーをそれぞれ販売していたが、2001年にアサヒが総合酒類企業を目指してニッカを完全子会社にする。商品開発は共同で行い、製造はニッカ、販売はアサヒと役割を分担した。ただ、アサヒの社員はニッカのことをよく知らない。そこで手渡されたのが、この本だった。

 今回、「マッサン」がスタートするにあたり、読み直してみて四つのことを再認識させられた。まずベンチャー企業の精神、次に愛と絆の大切さ、そして中高年齢者への勇気、最後にアサヒビール社員としての使命-だ。

 ベンチャー企業の精神で言えば、本の4割はスコットランドに行き日本に帰ってくるまでの話。清酒会社の後継ぎとして生まれながらも、そのレールに乗らず自分で道を切り開いていく竹鶴さん。今とは違い情報もない時代。諦めず、夢に向かって挑戦し続け、妥協しない。たくましさを感じた。

 愛妻のリタさんは61(昭和36)年に64歳で亡くなった。竹鶴さんは心の隅に悔恨の思いがあった。「なぜ自分と結婚したのか」。日本に来なければ故郷のスコットランドで幸せな人生を送っていたかもしれない。スコットランドを訪ね、答えが分かった気がした。日本初のウイスキーを造る自分に賭けたのではないかと。愛だったのだろう。

 アサヒビールの社員として、日本人として竹鶴さんを誇りに思う。数々の有名な賞を受け、ニッカのウイスキーを世界に認めさせた。この功績は大きい。加えて竹鶴さんの何事に対しても「尽くす」ことの大事さを後輩に伝えていきたい。それは仕事であったり、人や家族であったりする。アサヒビールのDNAにしたいものだ。

 中高年齢者への勇気では、40歳でニッカウヰスキーの前身である大日本果汁(北海道余市町)を設立した。40歳にしてだ。やる気があればできる。2014年はニッカウヰスキーの創業80周年であるとともに、竹鶴さんの生誕120周年。かつて竹鶴さんのゆかりの地を訪ね回ったこともあり、NHKの朝ドラを毎朝見て感慨にふけている。
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