みやビズ

2019年9月23日(月)
インサイド

2013年フェイスブック展望

2013/01/11

利用者増の流れ、企業も注目


 ここ数年、耳にする機会がぐんと増えた「フェイスブック」。2011年6月にスタートした弊社「みやビズ」でも、サイト内を検索すると関連記事は38件にのぼり、その多くは、県内の事業者がフェイスブックを通じて新たなビジネスチャンスをつかむ姿を伝えている。13年もこの流れは続くのか。フェイスブック内の企業ページ「フェイスブックページ」を開設する県内企業や専門家に、現状と運営のポイントを聞いた。

先行大手は「登録読者1万人台」目指す

フェニックス・シーガイアリゾートのフェイスブックページで展開する「スマイル時計」。さまざまな部署のスタッフが笑顔で登場する(同社提供)

フェニックス・シーガイアリゾートのフェイスブックページで展開する「スマイル時計」。さまざまな部署のスタッフが笑顔で登場する(同社提供)

 「新年明けましておめでとうございます。2013年もご愛顧の程よろしくお願いいたします」-。ホテルからの日向灘の眺望写真を付けた年賀状のような投稿に、138人が「いいね」を押し、1人が記事を「シェア」した。フェニックス・シーガイアリゾート(宮崎市、河本和彦社長)新年最初のフェイスブックページの一こまだ。

 11年3月に公式ページを開設した同社。同リゾート内で働くさまざまなスタッフが時刻を記した手書きのボードを持つ「シーガイア・スマイル時計」を始め、スタッフの写真を積極的に出すなどした結果、ページのファンであることを表明する「いいね」を押した人数が現在、関東や関西の有名ホテルに並ぶ4623人に。

 こうしたファンに恩返しをしたいと、フェイスブック利用者限定でプレゼント企画を実施。現在も「初夢いいね!プレゼント」と題して、宿泊券やゴルフコース利用券が当たる企画を実施中で、担当者は「今年1年も素晴らしいロケーションやさまざまなイベント、日々の小さなニュースなど多くの情報を発信したい。目標は7000いいね!」と意気込む。

 公式フェイスブックページを開設し、「いいね」が1000人単位に及ぶ県内企業や団体はほかに、「KIGURUMI.BIZ(きぐるみビズ)」(宮崎市、加納雄一社長)県のシンボルキャラクター「みやざき犬」、個人事業主では異彩を放つ「串焼きはるちゃん」(同市、黒木貞公社長)など。  11年6月に公式ページを開設したソラシドエア(宮崎市、高橋洋社長)も、各部署の社員が九州各地の特産品や観光地、仕事への思いなどを語るシリーズ「Mr&Msソラシド」を始め、自社の特色を打ち出した投稿が好評で、ページ登録者数は現在7813人。担当者によると「(いいねだけでなく)コメントを残してもらえる件数が増えた」と言い、「まだ1万人に達していないので今年はもっと多くの人に知ってもらいたい」と次を見据える。

メリットとデメリット

 現在、企業や自治体の注目を集める「フェイスブックページ」。魅力は、なんといっても登録が無料で、世界中に情報を発信することができ、フェイスブック未登録者も見ることができる点だ。

 さらに一定の「いいね」があれば、フェイスブックの登録情報を基に、いいねを押した人の性別や年代、居住地などの情報が分かる分析機能「インサイト」の利用が可能。この機能を使い、ターゲットを絞った有料広告を打つという展開も準備されている。

 一方で、ページを開設するにはフェイスブックの個人登録を済ませた管理者が必要だ。管理者は複数人設定できる。そのため公式ページを開設する場合、企業はこの管理者を社内に何人置くか、批判的なコメントや早朝深夜の書き込みに対し、どのような対処をするか、といった懸案事項を抱えることになる。

 例えば前述のフ社は、社内に約10人の管理者を置き、別途約50人の各部署担当者が情報収集をバックアップ。コメントなどに対する自社の見解をまとめた利用規約も公式ページに公開。万全の体制で臨む。

 だが、こうした企業はほんの一部だ。実質的な担当者は1人という企業も少なくない。

 負荷も確かにあるフェイスブックページ。明確な目的意識を持たない企業であれば、二の足を踏むのも当然だろう。
 
中山間地から海外まで登録者増の流れ

 では、この「いいね」を押してくる国内ユーザーは12年の1年間でどれだけ増えたのか。県内企業や自治体のフェイスブックページ開設を支援し、セミナー講師を務めることも多い宮崎市のIT会社「ウェブサイト」の柳本明子社長は「毎月100万人単位で増えていた」と振り返る。

 毎月のように県内各地でセミナー講師を務めるたび確認していたという国内フェイスブック登録者数は、同年2月初旬に677万人だったのが、同年12月中旬には2倍強の1677万人に。

世界で見るフェイスブック

世界で見るフェイスブック

 県内分を見ると、12月中旬の登録者数は5万1580人で人口比5%程度だったが、潜在的ユーザー希望者も多いと見られ、年末年始を挟んだ1カ月間だけで登録者が6460人増加。このうち6000人強は宮崎市外だったため、「郡部や中山間地域で増えているのでは。今年も県内でさらに利用者が増えるだろう」と柳本社長は見込む。

 世界を見渡しても、先進国のヨーロッパや北米では登録者がすでに人口の過半数を超え、アジア16カ国だけを見ても、フェイスブック登録者の人口比が香港(57%)、台湾(56%)、シンガポール(55%)、マレーシア(45%)、トルコ(44%)の順で高く、日本は12位(14%)という。

 今後、翻訳機能強化も予想されることから「距離が遠くても一度会っておけばその後のやりとりが続くフェイスブックの利点が、ビジネス面でもさらに重要さを増すのでは」と話す。

後進中小も独自のアイデア模索

「コレクトストア」の常連客専用フェイスブックページ。購入後のアフターフォローができるほか、ほか常連客の購買意欲を高める効果も

「コレクトストア」の常連客専用フェイスブックページ。購入後のアフターフォローができるほか、ほか常連客の購買意欲を高める効果も

 こうした中、個人事業主を中心とした県内中小企業も、フェイスブックページを新たなチャンスととらえ、さまざまなアイデアで顧客との「絆」強化を図っている。

 宮崎市若草通りにある男性向けセレクトショップ「コレクトストア」(大山真之介社長)は、店のフェイスブックページとは別に、店舗マネージャーの個人登録ページを使い、常連客約50人との「クローズ」のやりとりを始めた。

 参加人数をあえて絞り、特定の人にのみ公開する設定で、商品購入後のアフターフォローや商品入荷情報を投稿したところ、ファッションという共通の趣味を持つ客同士がページを通じていつの間にか友人に。今では定期的に店のスタッフと客が集まりスポーツや飲み会を行うなど「当初予想しなかった展開」が進むという。売り上げも前年比180%と好調で、今後は対面販売とは別に進めるネットショップの顧客とも「フェイスブックを使い、デザイナーも交えた交流を深めたい」と、新たな顧客満足度向上の手法を模索する。

 宮崎市清武町の手打ち釜揚げうどん店「ふなや」(船ヶ山清史社長)は「フェイスブック割り」を12年6月から始めた。店に来た客が、注文した料理の写真を撮り、会計時に見せれば200円割り引く。自社のフェイスブックページでサービス開始を公開。利用者はまだ少ないが、写真を投稿した人の書き込みに、ほかのユーザーが店の場所を質問するなどを見るたびに広告効果を実感。また「投稿をお客さんに見せられると、『この店が好き』と言われているようでうれしい」と、フェイスブックが仕事へのモチベーションにつながっているとして顔をほころばせる。

 ほかにも宮崎市の老舗弁当仕出し店「小川屋」(上村泰弘社長)は毎朝、準備で慌ただしい中、その日の日替わり弁当の写真を撮影し、自社ページに投稿。製造業者でも都城市の精密印刷・部品加工業「サニー・シーリング」(冨吉博文社長)が社内の「ゆるキャラ」や「5S活動」を紹介するなど、幅広い業界で、フェイスブックページを使ったさまざまな情報発信の手法が試みられている。

毎日コツコツ、共感もたれる記事を

「いいね!」の数だけではなく、「話題にしている人」の数も安定して保つことが大事という(ウェブサイト提供)

「いいね!」の数だけではなく、「話題にしている人」の数も安定して保つことが大事という(ウェブサイト提供)

 こうしたフェイスブックページだが、ページ自体の「いいね」の数が多くても、実際には、定期的な情報提供を受け取ることを了承したはずのユーザーに、情報が届いていないといったことも起こるという。ユーザーが定期的に共感を示す記事を優先的に配信する「エッジランク」という仕組みのためだ。

 柳本社長によると、企業のフェイスブックページが情報発信ツールとして実際に活用できているかは、フェイスブックページ「いいね」右横にある「話題にしている人」の数で判断できるという。

 フェイスブックページの「いいね」の数に対し「話題にしている人」の数が1割を超えると、ツールとして良好な状態で、「話題にしている人」の数を増やすには、いかに共感を呼ぶ記事を、こつこつと、定期的に投稿するかが重要という。

 10人の固定ファンをつくることで、そのファンが100人、1000人と多くのファンを連れてくるというフェイスブックの世界は「やらせが通用しない世界」で、さらに「フェイスブックページを運営する社員自身が一番の自社のファンになること」が最も重要という。

 奥が深いようで、人と人のつながりが大切というビジネスの基本にも立ち返らされるフェイスブックページ。本物を見極めようとする消費者の流れを反映しているのかもしれない。
(インサイド取材班・塩月由香)

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