みやビズ

2018年6月24日(日)
食のロングセラー

高千穂峡つゆ(ヤマエ食品工業)

2017/07/05
 水と原料にこだわり九州No.1 そうめん、ざるそば、冷やしうどん…この季節、冷蔵庫にこの1本を常備している家庭も多いのでは。ヤマエ食品工業(都城市)の「高千穂峡つゆ」は1991年の発売以来、着実に売り上げを伸ばし、ストレートタイプのつゆとしては9年連続で九州ナンバーワン(※)の人気を誇る。

水と原料にこだわり九州No.1


良質な水や原料へのこだわりなどで差別化を図り、大きな支持を得ている「高千穂峡つゆ」。4種類がラインアップされている

良質な水や原料へのこだわりなどで差別化を図り、大きな支持を得ている「高千穂峡つゆ」。4種類がラインアップされている

 そうめん、ざるそば、冷やしうどん…この季節、冷蔵庫にこの1本を常備している家庭も多いのでは。ヤマエ食品工業(都城市)の「高千穂峡つゆ」は1991年の発売以来、着実に売り上げを伸ばし、ストレートタイプのつゆとしては9年連続で九州ナンバーワン(※)の人気を誇る。

 人気の秘密を探ると、発売当時の差別化戦略にたどり着く。当時もつゆ商品を製造していたが、「ぱっとしなかった」という同社。そこで、まず目を付けたのが、自社で使っていた霧島盆地の良質な天然水だった。当時の市場は主要メーカーの濃縮タイプが主流だったが、「天然水で濃縮タイプを作っても、つゆを薄めるご家庭の水がおいしくなければもったいない」と考え、水で割る必要がないストレートタイプで勝負することにした。

 次にこだわったのが原料。かつお節、シイタケ、焼きアゴなどは九州産が基本。これを丁寧に仕込む。エキスを使った商品とは、香りが断然違うという。蜂蜜を使用しているのも特徴。砂糖とのブレンドで食欲をそそる「さっぱりとした甘さ」を実現している。

 当然、原料にこだわれば価格も上がる。当時の希望小売価格は500ミリリットル入りで357円(現在367円)。主要メーカーの濃縮タイプより100円ほど高かった。しかも、濃縮タイプは薄めれば2倍の量になる。予想通り、バイヤーからは「高い」という反応。しかし、「モノが良ければ売れる」という読みがあった。良さを理解してもらうために、スーパーなどでの試食に相当な予算を投入。これが奏功し、価格相応の付加価値を消費者に認めてもらうことができた。

 最初に「かつお味うまくち」「かつお味あまくち」「しいたけ味」の3種類を九州内で発売した。食文化を意識し、甘口しょうゆを好む県西、県南地区、鹿児島県向けに「あまくち」を用意したことも消費浸透につながった。余談だが、都城市での一番人気は当初は「あまくち」だったが、現在は「うまくち」。日南市では一貫して「あまくち」が最も売れている。

 県外の販路は中部地区まで拡大しており、県内外の売上比率は県外が圧倒的に高い。関西、中部地区では、珍しさから「しいたけ味」を仕入れる店が多く、また、ここ数年は2007年に発売した「あごだし」が伸びているという。

 出荷量は発売当初の年間2~3万本から同150万本に成長。同社売上高の10%近くを占めるまでになり、企画部の中村正一課長は「ずっと右肩上がりで伸びている。驚きの商品です」と目を細める。

 どうしても夏場のイメージが強い商品だけに通年での販売が課題。瓶の首に掛けるネッカーで天つゆやカツ丼、魚の煮付けなど幅広い活用法を提案しており、少しずつ成果が出始めているそうだ。

 それはそうと、都城市のメーカーでありながら、なぜ商品名が高千穂町の「高千穂峡」なのか。「涼しげなイメージがあるから」というのが答えだが、それなら都城市には「関之尾の滝」がある。しかし、発売時、同社商品には既に「関之尾つゆ」が存在し、地元に浸透していたのだとか。このため、県内外での知名度も高い高千穂峡を商品名に用いたわけだが、今ではその名にふさわしく全国区の商品に近づいている。
(小川祐司)

 ※2006~13年はTOPPAN POSデータ調べ、14年はKSP-POSデータ調べ、15、16年は自社調べ(KSP-POSデータに基づく)。全年とも、つゆの需要が大きい上半期の実績。

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