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林業の未来図Ⅱ(下)

2013/09/10

 木材利用ポイント  消費者浸透へPR課題


 地域の木材を使って家を建てたり、リフォームしたりするとポイントがもらえる「木材利用ポイント事業」。住宅1戸につき、最大で60万ポイント(1ポイント1円相当)が与えられ、地域の農林水産物などと交換できる制度で、木材利用の底上げにつながると期待がかかる。日用品と違って購入の機会が限られる商品が対象のためPRの難しさにも直面しながら、業界関係者らは「産業振興の好機」と取り組みに力を入れる。

農林水産物などと交換
地域産材の利用拡大を目指す「木材消費ポイント事業」。消費者へのPRが課題となっている

地域産材の利用拡大を目指す「木材消費ポイント事業」。消費者へのPRが課題となっている

 同事業は、価格低迷にあえぐ国産材へ消費者の目を向けてもらい、利用を促すことを主目的として政府が決定した緊急経済対策の一つ。2013年4月1日に始まり、14年3月31日までに工事請負契約を締結した工事を対象とする時限措置で、予算額は約410億円に上る。

 スギ、ヒノキといった地域材を基準以上利用するなどの条件を満たすと、ポイントが与えられる仕組み。対象は(1)木造住宅の新築、増築、購入(1棟あたり30万ポイント)(2)住宅の床や内壁、外壁の木質化工事(合計上限30万ポイント)(3)木材製品および木質ペレットストーブ、薪(まき)ストーブの購入(1製品あたり価格の10%程度で上限10万ポイント)となっている。

 交換可能な商品は「地域の農林水産品」「農山漁村および森林における体験型旅行」などで、森林づくり事業への寄付や即時交換(木材を使用した工事代金に充当)もできる。カタログや林野庁ホームページ(HP)で紹介しており、同HPでは本県の商品として、宮崎牛関連商品や海産物セットなど約230件が掲載されている。

制度を知らない施主も
 住宅や木材の供給業者が同制度を事業に生かすためには国に登録する必要がある。県内では施工業者約600社、製材所など木材供給業者約240社が登録。“川上(生産)から川下(加工)まで”の流れを断ち切らず、エンドユーザーまで木材を届ける態勢を維持している。

 事業がデータベース化されている関係上、定められた事務手続きが課せられるため、事業所側の負担が強いられる課題もある。しかし、もっとも関係者らの頭を悩ませているのが、周知の難しさという。県木材協同組合連合会(横田欽一郎会長)の清次男事務局長は「(住宅の)施主さんの中にも知らない方が多い」と実情を説明する。

 住宅施工のアイ・ホーム(宮崎市佐土原町)の田村寛治社長は「まだまだ認知度は低い」と認識しながら、「施主から相談があったときには必ず木材利用ポイントのことを説明している」と制度の浸透を図っている。

 美郷町で薪ストーブの製造、販売などを手掛ける川口機工の川口裕之代表は、制度の効果を期待する一方で、「どうPRしていいか、分からない」と迷っている様子。事業者登録についても判断を見送っている状況だ。

制度延長を要望
「木材利用ポイント申請受付中」ののぼり。県木連などは制度延長を林野庁に要望している

「木材利用ポイント申請受付中」ののぼり。県木連などは制度延長を林野庁に要望している

 「木材価格に反映できていない」。県森林組合連合会(県森連)の黒木由典会長は、現状に歯がゆさを感じている。同ポイント制度に加えて、消費増税を見据えた新規住宅着工の増加傾向、円安の影響による外材の値上がりがありながら、国産材の価格好転までつながっていないからだ。

 12年6月、1立方メートル当たり6884円と過去最低を記録した県森連市場平均価格は、13年度になっても4月8717円、5月8165円、6月7869円、7月8269円。8月は9000円台を見込むものの、V字回復にはほど遠い状況だ。

 同ポイント制度の実施にあたっては、各関係団体ともに準備へ相当の労力を使ってきた。14年3月までの時限措置を延長してもらおうと、林野庁へ要望も続けている。県木連の清事務局長は「国の予算がどのくらい付くか分からないが、消費者へ広く浸透させるためにも2年目、3年目と続けてほしい」と、息の長い取り組みへ高めていきたい考えだ。

(経済部・鬼束功一)

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