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働く女子たちの今(2)

2013/03/12

 個人開業  得意分野や職歴生かす


 自分が本当にやりたいことを仕事にしたい―。そう考え、企業の一社員としてではなく、“起業”の道を選ぶ女性も最近は増えてきている。得意分野や職歴などを生かし、県内でも美容や食、健康など生活に密着した分野などを中心に創業を志す女性が目立ってきた。「子供のころからの夢」「人生をステップアップするため」など起業の理由はさまざま。個人開業が大半で、集客や事業拡大などにそれぞれ課題を抱えながらも、試行錯誤を繰り返して事業継続へ努力を続けている。

実家の甘藷使い菓子製造
「cafe&dolce木の実」の店内。手前に販売スペース、奥にはゆったりとくつろげるカフェスペースが設けられている

「cafe&dolce木の実」の店内。手前に販売スペース、奥にはゆったりとくつろげるカフェスペースが設けられている

 県内で最も企業が集積する宮崎市。宮崎商工会議所のまとめでは、創業に関する相談者数は2011年度が96人で、このうち3分の1の31人が女性で、09年度の15人(総相談者数51人)から倍増している。創業者も11年度総数の39人中、12人を女性が占め、こちらも09年度の7人(総数25人)から増えている。

 創業分野は美容、雑貨販売、飲食、ITデザイナー、子育て支援などが多いという。同商議所は「自分の得意分野や過去の職歴を生かして事業をやっていきたいという女性が増えているようだ」と説明する。

 甘藷(かんしょ)産地として有名な串間市大束地区。畑が広がる一角に甘藷を使った菓子など提供する店「dolce&cafe木の実」がある。オーナーは地元出身の世良田真由さん(33)。「小さいころから料理が好きで、その分野で何かしたいと考えていた」という。宮崎市の調理専門学校を卒業し、実家の甘藷生産を手伝いながら、07年、実家の倉庫を改装して菓子製造を始めた。

実家の甘藷を使った菓子を製造、販売し、カフェでも提供している世良田さん

実家の甘藷を使った菓子を製造、販売し、カフェでも提供している世良田さん

 その目玉商品として実家の規格外の甘藷を使った菓子を製造し、道の駅や朝市などのイベントで販売。数カ月後には知人の紹介で、県内資本スーパーの3店舗に商品を並べてもらえるまでになったという。

 菓子を自宅まで買いに来る客が増えたことから、08年に自宅隣に小さなカフェスペースをオープン。11年10月、家族に資金援助してもらい、実家の所有地に店を移転新築した。店内では菓子の販売に加え、飲食スペース(13席)でランチ提供も始めるなど、収益源となる事業も広げてきた。 

 ただ、「人に任せることができない」という菓子製造は、全て世良田さん1人で担当。娘1人を持つ母親でもあるため「忙しすぎて、心身とも疲れて休んでしまったことがある」という。ランチ提供に手間が掛かり菓子製造の時間が取れなかったり、ランチをしばらくやめると客が減ったりという悩みもあり、現在は今後の事業選別などを模索している状況だ。

 試行錯誤する世良田さんだが、試験的に実家の甘藷畑で栽培作業を体験してもらうオーナー制度も始めている。「少しでもこの地域を知ってもらい、店にも来てもらう機会につながれば」と話している。

次のステージに進むため
温泉施設「かかしの里ゆぽっぽ」内にある坂元さんの店。温泉利用者らが立ち寄っていく

温泉施設「かかしの里ゆぽっぽ」内にある坂元さんの店。温泉利用者らが立ち寄っていく

 9年目を迎えた都城市でのチャレンジショップでも、女性の旺盛な創業意欲がうかがえる。中心市街地の空き店舗対策や、創業希望者支援などを目的に都城商工会議所が実施し、店舗を格安の家賃で提供して創業を後押ししてきた。同商議所によると、チャレンジショップ卒業生25人のうち、起業したのは8人。このうち6人が女性で、ブライダルサロン、雑貨販売、ネイルアート、ボディーケアなどの業態で独立開業した。

 同市山田町の温泉施設「かかしの里ゆぽっぽ」にタイ古式マッサージの店を開いている坂元ゆかりさん(36)=三股町蓼池=もその一人。チャレンジショップで約2年間、商売の経験を積んで独立した。

 鹿児島市に本社があり、本県などでも店舗展開するスーパーに約15年勤務したという坂元さん。従業員のシフト管理や県内での新店舗オープンを担当するなど、中間管理職として責任ある仕事を任されていたものの、09年11月に退社。「40歳の自分をイメージした時に仕事をしていたいと思ったが、それまでの仕事にはやり遂げたという思いがあり、そろそろ切り替え時期」と次のステージに進む決断をしたという。

 体調を崩した際に足を運んだ同市内のマッサージサロンで勧められた教室に通ってマッサージを学ぶ中で、接客の楽しさも再認識し創業を決意。退社半年後の10年4月には同商議所が募集するチャレンジショップに入店した。
 
ニーズに応えるためにスキルアップ
マッサージをする坂元さん。客のニーズに応えられるメニューを提供するため、技術の勉強などに余念がない

マッサージをする坂元さん。客のニーズに応えられるメニューを提供するため、技術の勉強などに余念がない

 チャレンジショップは1店舗約10平方メートルで、家賃は月額1万円。坂元さんは「創業者の先輩から『最初は無理な投資はしない方がいい』と教えられた」と、失敗できる環境で足慣らしをするよう勧められたという。商議所を通じて経営コンサルタントなどから無料で相談を受けられるというサポート体制も大きかった。

 「リンパトレナージュ」というオイルを使ったマッサージから始めたが、2年目はアロマコーディネーターやヘッドマッサージなども勉強。「自信を付けたい」と1カ月間休みをもらい、タイにマッサージ留学して技術の幅を広げるなど研さんを続けた。一方でイベントを企画したり、地元商店街の活動などにも参加したりして人脈を広げ、次第にリピーター客を獲得。チャレンジショップを卒業する時点で来店者のリストは約300人に達したという。

 次のステップを考えていた時に、現在入店している温泉施設の施設長から声を掛けられた。現在はタイ古式マッサージを中心に、温熱療法やヘッドスパなど4種類のメニューを提供。温泉施設利用者を中心に平日は1日3~5人、休日には15~20人が利用するという。路面店とは違い男性客が7割と多いのも温泉施設内店舗の特徴で、「いろんな店を試す女性と違い、男性は繰り返し来てくれる確率が高い」。

 店を継続していくためには「お客さんのニーズに合った商品を提供することが必要」と話す坂元さん。商議所が行うセミナーや県外、海外にも足を運んで情報を仕入れるなど、技術のレベルアップに余念がない。「1人でできることには限界がある。人を雇ってもう一つ店を持ちたい」と早くも次のステージに照準を定めている。 

(経済部・高森千絵)
=次回は3月19日掲載=

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