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2018年10月21日(日)
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海外展開(4)

2012/10/23

行政などの支援 商談会参加や現地の情報提供


 国内市場が縮小する中で、海外に目を向け始めている県内企業。だが、市場の状況や商習慣が違う海外でのビジネス展開を自社単独で取り組むには、企業にとっては負担も大きい。そんな企業のニーズに呼応するように、行政や業界団体、金融機関なども海外へのビジネス展開に対する支援体制を強化し始めている。「まずは現地の市場調査から」と、それらの支援事業を活用し、最初の一歩を踏み出す企業も少なくない。

 2012年8月下旬から9月初めにかけて、シンガポール中心部に位置する百貨店・伊勢丹スコッツ店で開かれたのが「宮崎フェア2012」。フェアを主催したのは宮崎市内を中心に加工品などを扱う企業でつくる宮崎物産協会(会長・岡崎富明Okazaki Food会長、95社)。県内から22社・団体が食品や農産物をPRし、12日間の売り上げは目標に掲げていた2000万円を上回った。

宮崎物産協会がシンガポールで開いた宮崎フェア

宮崎物産協会がシンガポールで開いた宮崎フェア(同協会提供)

 宮崎市や同協会によると、同国で本県単独による物産展は初めてという。海外の展示会などに積極的に参加し、同百貨店でのフェアに出展経験を持つ同協会の坂本益造副会長(味のくらや代表)がかじ取り役となり、協会の予算を確保し、宮崎市にも協力を要請。伊勢丹側にもフェア開催を交渉して実現させた。

 同協会としても海外での物産展参加は初めてだったが、海外展開に関心を持ちながらも単独での出展には躊躇(ちゅうちょ)していた会員企業にとっては、絶好の機会となった。旅費などの自己負担もある中で、現地の事情に精通した坂本副会長のサポートもあり多くの会員が参加に手を挙げて参加し、それぞれ手応えを感じたようだ。

 現地新聞への広告など広告宣伝費として150万円を支出した宮崎市の商業労政課も、「参加した会員企業も『勉強になった』と前向きな意見が多かった。来年以降も開催できれば」と期待を寄せる。「将来的にもっと貿易の自由化が進んでいくと推測される。今後、販路としてアジア圏も視野に入れておいてほしい」と海外展開の重要性を口にする坂本副会長は、5年程度は継続していきたい意向だ。「海外を知ることは新商品開発のきっかけにもなる。向こうでの販売活動がどう定着していくかは各企業の努力次第だが、その足掛かりをつくれたらいい」と海外での本県フェア開催の継続に意欲をみせている。


戦略策定し経済交流活発化
 県でもこれまで本県企業に対し、海外のフェアや展示会への出展サポートなどを行ってきた。海外で初めてフェアを開催したのは1999年の台湾。2003年からは香港でもスタートし、その後、香港は見本市への参加に切り替えたほか、シンガポールでは09年から伊勢丹の2店舗で開催される「九州フェア」に参加している。

 アジア市場開拓に向けた積極的な取り組みを推進するため県は12年3月、本年度から5カ年の「みやざき東アジア経済交流戦略」を策定。県産品の輸出や観光交流の促進などを掲げ、具体的な事業を展開している。

 11月にはシンガポールでの見本市にも初参加する。1~3日に開かれる食品、飲料などの見本市「Oishii JAPAN」(TSO MP インターナショナル主催)には、県内から道本食品(宮崎市田野町)、南日本酪農(都城市)など4企業が出展する。県商業支援課は「シンガポールでのフェアでは23日間で約1500万円を売り上げ、好調だった」と同国の市場の可能性に期待する。同国の在留邦人は2万6032人おり、日系企業も1008社(外務省まとめ、11年11月現在)と日本食自体のマーケットが大きく、さらに自由貿易国の同国は地理的にも東南アジアのハブ的存在であることから、海外進出を狙う企業などから重要な場所と位置付けられているという。

県が焼酎メーカー対象に上海からバイヤーを招き7月に宮崎市で開催した商談会(県商業支援課提供)

県が焼酎メーカー対象に上海からバイヤーを招き7月に宮崎市で開催した商談会(県商業支援課提供)

 このほか海外に出向いての商談会や、海外からバイヤーを呼ぶ商談会も毎年開催。12年7月には中国・上海からバイヤーを招き焼酎メーカー対象の商談会を開いた。これを受けて11月から4カ月間、県の事業として県内の焼酎メーカー6社の12銘柄を上海の中華料理店に置いてもらう試みも行う。

 一方、海外展開を視野に入れる企業に対し、現地の生の情報を提供するなどの役割を果たしているのが県の海外事務所だ。現地や周辺国の情報収集をはじめ、県内企業の貿易支援や工場進出への情報提供、現地を県内関係者が訪問する際の連絡調整などを行っている。

 現在、事務所を置いているのは中国・上海。02年に海外交流駐在員(現地採用)1人からスタートし、事務所とした05年以降も県職員を派遣し続けており、11年からは宮崎銀行の派遣行員1人も加わって現在4人体制。このほか台湾にも海外交流駐在員1人を配置している。

 同課によると、上海事務所への業務依頼件数は11年度が1737件(前年度比388件増)と増加傾向にあり、「12年度からは事務所を上海市の政府機関近くに移転し、機能性を高めた」(同課)という。
 

金融機関も取り組み強化
宮崎銀行が県物産振興センターと共同で県内企業を支援した「香港フード・エキスポ2012」

宮崎銀行が県物産振興センターと共同で県内企業を支援した「香港フード・エキスポ2012」

 金融機関も企業の海外展開への支援を行っている。宮崎銀行(小池光一頭取)は、かつて取引先企業による海外視察団を派遣していたものの、一時中断。2年前に外国為替業務室を立ち上げたのを機に、取引企業のニーズを受けて海外の見本市や商談会への参加支援を再開。11年8月に香港、12年3月には台湾、同年8月にも香港の見本市や商談会に出展する取引企業のマッチングサポートなどを行ってきた。

 企業が求める海外での販路は10年ほど前まで米国、欧州が多かったが、最近はアジアに照準が定めている企業が大半。同室の上田泰弘室長は「国内の景気低迷やリーマンショックの影響などもあり、4、5年前から海外を意識した企業の動きが活発化した」と説明。海外展開を狙う企業向けのセミナーも年2回程度開催し、「今後も企業への情報提供として続けていきたい」という。

 取引先企業の海外進出支援として宮崎太陽銀行(川崎新一頭取)も12年9月、海外にネットワークを持つ東京海上日動火災保険(東京)と業務協力協定を締結した。海外39の国・地域に拠点を持つ同社のネットワークを活用して海外でのビジネス展開を計画する県内企業に対し、現地情報やリスクマネジメントの助言や解決への手助けを行う。同行営業統括部は「海外展開を考えているが、どこに聞けばいいか分からない-という入り口部分や、事前調査の段階からでも相談してもらいたい」としている。

=次回は10月30日掲載=
(経済部・高森千絵)

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