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2020年1月26日(日)
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福岡(4)

2012/08/28

売り込み 大都市で誘客に尽力

 500万を超える人々が住む福岡県。九州を代表するこの都市には、九州各県や他地域からビジネスや観光で訪れる人が多い。同県は九州新幹線全線開通を機に、特に関西・中国地方からの誘客へ観光推進キャンペーンを実施して観光客増を図る。これに対して本県は、県や観光関係者らが福岡も重視。誘客のほか特産品PRなどへ地道な活動を続けながら「宮崎」の売り込みを展開している。

現地の目は関西方面に
福岡でも最多、年間1000万人以上が訪れる「キャナルシティ博多」。イベントスペースではさまざまな催しが行われている

福岡でも最多、年間1000万人以上が訪れる「キャナルシティ博多」。イベントスペースではさまざまな催しが行われている

 7月下旬の午後、福岡市のキャナルシティ博多。地下1階のイベントスペースで、うちわや横断幕を手にした中・高生とみられる若い女性が、運河に面したステージを取り囲んでいる。ステージに立っていた韓国の男性アイドルグループ「SHU-I」(シューアイ)に黄色い声援を送るなどしてイベントを満喫。吹き抜けのフロアからは、県外高校の運動部生徒の一団や関西弁を話す親子連れ、外国人らが、その様子を眺めていた。県外から約3266万人、県内からも6746万人、計1億12万人と九州最多の観光入り込みがある(2010年、福岡県調べ)。同県でも、キャナルシティは年間最多の1160万人が訪れる観光地でもある。

 「キャナルシティばかりでなく太宰府天満宮、門司港などに多くの人が訪れている」と福岡県国際経済観光課の中園賢二主査。近代的な商業施設以外にも歴史的建造物や自然に恵まれた風光明媚(めいび)なスポットなどの魅力を紹介する。入り込みについて「新幹線開業効果で鹿児島、熊本は増えていると聞くが、福岡にも関西方面から来る人が増加した」。その要因に関し、新幹線開通に併せ11年度から開始した観光推進キャンペーンを挙げる。

 キャンペーンは同県出身芸人の博多華丸・大吉をキャラクターに、インターネット上の仮想旅行社で福岡をPRするほか、実際に小川洋知事らと関西方面に“営業“に出向く。同県の観光キャンペーンは珍しいといい、「国内の多くの地域が内需拡大に努力する中、鹿児島や熊本に劣らないようアピールしようという姿勢の表れ」と中園主査。「鹿児島が目的地であったとしても、福岡で途中下車して1泊してもらう可能性が増える」と新幹線効果を期待した上で、宮崎を含めた南九州に対しては「誘客すべき対象であると思うが、限られた予算の中であれもこれもとはいかない。どうしてもターゲットを大消費地に絞らねばならない」と現状を説明する。

情報収集し旅行商品造成要請
JR博多駅に到着した九州新幹線「つばめ」。観光関係者は、全線開通した同新幹線利用者の宮崎への誘客にも知恵を絞っている

JR博多駅に到着した九州新幹線「つばめ」。観光関係者は、全線開通した同新幹線利用者の宮崎への誘客にも知恵を絞っている

 一方、宮崎から見れば福岡はアピールすべきエリアの一つ。「福岡は九州では一番大きなマーケット。誘客を図る活動は継続して行わなければならない」と県観光推進課の野間純利課長補佐。本県への県外からの入り込み客に占める割合は、鹿児島の39.8%に次いで福岡は2番目の16.1%(2009年、県調べ)。特にバスで来県した人のうち44.9%が福岡からと、バス利用の観光客が多い。高速道を使って熊本県から高千穂町に入るケースが目立ち、「この人たちに、いかに南下してもらうかだ」と課題を口にする。

 12年2月下旬、福岡市の繁華街にある「天神イムズ」の地下2階をメーン会場に開かれた「みやざきweeeek2012」は、宮崎の魅力を発信しようというイベントだった。同weeeekは東京など首都圏で08年度から行われており、福岡では大阪と同じ10年度から開いている。その土地土地の企業とタイアップし宮崎の魅力をアピールする試みで、会場には古事記編さん1300年を知らせ、宮崎を訪れる動機付けにしようという記念パネルも。協賛企業には西鉄旅行やJTBなど旅行会社も名を連ねて「スピリチュアル」をテーマに宮崎への旅行プランを打ち出すなどした。

 イベントのほか天神のビルに入る県福岡事務所も、観光面での誘客に努める。本県市町村の首長や観光担当者らが福岡に来た際は一緒に旅行会社などを訪ね、日南市ならジャカランダ、高千穂町であればパワースポットを素材にしたバスツアーなどの商品造成を呼び掛けるなどしている。観光分野を担う企画広報担当の川﨑智子課長は「西側は新幹線効果があるが、これを使い鹿児島に入り、宮崎から出るような商品などがあってもいい。旅行会社からは特にどのようなものが求められているかを聞くようにしている」と活動の一端を紹介する。

魅力ある商品開発不可欠
イオン筑紫野店(筑紫野市)で4月に開かれた「情熱!みやざきフェア」。河野知事らが本県の観光地、物産などをアピールした(県福岡事務所提供)

イオン筑紫野店(筑紫野市)で4月に開かれた「情熱!みやざきフェア」。河野知事らが本県の観光地、物産などをアピールした(県福岡事務所提供)

 売り込みは観光面ばかりでない。みやざきweeeekでは県産スギを用いた家具や小物などを展示。4月には岩田屋本店(福岡市)で「みやざきうめっちゃがグルメ」、イオン九州(同)の各店舗では「情熱!みやざきフェア」を開催して特産物もアピール。同フェアのメーン会場となったイオン筑紫野店(筑紫野市)には河野知事やマスコット「みやざき犬」がトップセールスしたほか、売り場ではキュウリなどを販売。さらに5月下旬には、福岡市のイオン香椎浜店で「さいと物産・観光フェア」も開きスイートコーンや完熟マンゴー、中型カラーピーマンなどを発信した。

 同weeeekなどを展開する県みやざきアピール課は「前知事の時は九州他県に比べても発信力があったが、今は認知度が元に戻っている」。観光、物産両面から宮崎を発信する動きが不可欠として、「宮崎にゆかりのある人にアピールをお願いしている『みやざき大使』が、首都圏ばかりでなく福岡にもいる。そういった人たちとも連携したい」との考えだ。また、観光面での誘客に関し福岡事務所の川﨑課長は「目的地として宮崎単独では厳しい面もあり、温泉が豊富な鹿児島などとのセットの売り方が必要かもしれない」と話す。

 福岡に居住経験がある宮崎・青島パームビーチホテル(宮崎市)広報宣伝課の青山栄作課長は「福岡は多くのものがあるので、わざわざ外に出る必要はないと考える人も少なくなく、旅行させようという動機付けが必要だ」と指摘する。同ホテルはプロ野球の春季キャンプや青島太平洋マラソンの際、また夏のサーフィン利用で福岡からの宿泊客が多く、重視する地方の一つだという。旅行雑誌などでPRしている実績も踏まえ、「福岡に対してばかりでなく、全国の人に『宮崎には○○○があるよね』と言われるようなものを生み出していくことが必要だろう」とも。宮崎牛や地鶏など以外に全国に通用する資源の発掘、開発が宮崎のアピール力になるとの認識を示している。

×    ×
 天神周辺を歩くと多くのビジネスマンや家族連れ、外国からの旅行者の姿があった。この人々に宮崎へ足を運ばせ、宮崎の特産物を消費してもらうには、確かにさまざまな努力と知恵が必要だろうとも思う。日本航空グループは10月から、宮崎-福岡線を1日1往復増便し1日10往復体制にするという。他2社を合わせ同15往復になり、商用や旅行での利便性が増すことになる。宮崎から福岡へ、また福岡から宮崎へと行き来する人が増えることで人的、物的な交流の促進が図られる-と期待したい。
=終わり=
(経済部・鳥越真也)

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