みやビズ

2018年10月17日(水)
フォーカス

注目集めるクラフトビール

2017/11/02
20171101-1admin-image-1509521368.jpg クラフトビールの注目度が高まる中、本県メーカーの商品が国内外のコンテストで高評価を相次いで獲得した。今年上半期のビール類の出荷量は5年連続で過去最低を更新するなど、消費者の好みの多様化や安売り規制強化に伴う値上げで国内市場は低迷している。本県勢を含むメーカー各社は味や製法にこだわるなどして個性を磨き、存在感を高めようと試みている。

本県産が国内外で高評価


ワールド・ビア・アワード2017のスタウト&ポーター部門で最高賞に選ばれた、宮崎ひでじビールの「栗黒」

ワールド・ビア・アワード2017のスタウト&ポーター部門で最高賞に選ばれた、宮崎ひでじビールの「栗黒」

 クラフトビールの注目度が高まる中、本県メーカーの商品が国内外のコンテストで高評価を相次いで獲得した。今年上半期のビール類の出荷量は5年連続で過去最低を更新するなど、消費者の好みの多様化や安売り規制強化に伴う値上げで国内市場は低迷している。本県勢を含むメーカー各社は味や製法にこだわるなどして個性を磨き、存在感を高めようと試みている。
 

本場で世界一


 10月、宮崎ひでじビール(延岡市)は輸出用に開発した「栗黒(くりくろ)」が、英国であったワールド・ビア・アワード(WBA)2017のスタウト&ポーター部門で最高賞を受賞したと発表した。永野時彦社長は「本場の本当に味の分かる人たちに選ばれた。老舗のギネス社なども参加しており、この受賞は価値がある」と胸を張った。

 栗黒はローストした大麦と本県産のクリを副原料に仕込んだ黒ビール。コーヒーを思わせる香ばしい香りとクリの上品な香り、濃厚なコクが特徴だ。5年ほど前にクラフトビールが盛んな米国の酒類関連会社から輸出を持ちかけられて開発。現在は全米18州で流通している。

国内クラフトビール市場の成長を見据え「しっかりブランドづくりに取り組んでいる」と語る宮崎ひでじビールの永野時彦社長(右)

国内クラフトビール市場の成長を見据え「しっかりブランドづくりに取り組んでいる」と語る宮崎ひでじビールの永野時彦社長(右)

 国内にはクラフトビールメーカーが200以上ある。1990年代半ばにビール醸造免許の下限となる製造量が緩和され、地域おこしの一環で各地に醸造所が乱立。最初のブームが起きた。しかし、「どこも同じ種類ばかり造るなど商品に魅力がなく、ビール文化が根付かなかった」(永野社長)ため、その後は低迷期を迎える。

 近年のブームは、市場活性化へ大手メーカーがクラフトビールの個性に目を付けたことが背景にある。キリンビールは2014年、クラフトビール最大手のヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)と資本業務提携を締結。今年9月には国内3カ所目となる醸造所とレストランの併設施設を京都市内に開いた。

 世界のビール市場は日本同様に伸び悩んでいる。一方でクラフトビールは好調。特に米国ではそのシェアが全体の15%まで増えている。日本では2%ほどだが、永野社長は「将来は10~15%まで成長する」と強気。「その時に備えて、しっかりブランドづくりに取り組んでいる」と話す。

 

焼酎メーカーも


5種類の味が楽しめる霧島酒造の「KIRISHIMA BEER」

5種類の味が楽しめる霧島酒造の「KIRISHIMA BEER」

 9月、横浜市であったインターナショナル・ビアカップで、霧島酒造(都城市)の「KIRISHIMA BEER ピルスナー」が金賞に輝いた。審査員は「きれいで輝かしい色味」「爽やかな味わい」「麦芽とホップのバランスが良い」などと高く評価。6月に豪州で銀賞を獲得したスタウト(黒ビール)に続く国際的な品評会での入賞に、醸造担当の佐藤康徳さんは「16年の創業100周年を機に4月からビールの味わいを一新したばかり。商品づくりの方向性が間違ってなかった証しで、今後の励みになる」と喜んだ。

 日本一の本格焼酎メーカーがビール造りに参入したのは1998年。「黒霧島」が大ヒットする前で、地元での知名度も低かった。そこで自社の情報発信と「ここでしか味わえないものを提供しよう」と、焼酎生産に使う霧島裂罅(れっか)水でビール造りをスタート。レストラン併設の「霧の蔵ブルワリー」をオープンした。

「クラフトビールの魅力は多様性」と語る霧島酒造の佐藤康徳さん

「クラフトビールの魅力は多様性」と語る霧島酒造の佐藤康徳さん

 同ブランドには、すっきりとした味わいの「ピルスナー」、シャープな苦味の「ペールエール」、琥珀(こはく)色の「アンバー」、黒ビールの「スタウト」、フルーティーな「日向夏」の5種類がある。佐藤さんはクラフトビールの魅力を「多様性」と説いた上で、「色や味など自分好みのものを探す楽しみがある。その中でうちの商品を『これいいね』と思ってくれるとうれしい」と話した。

 雲海酒造(宮崎市)は本県初のクラフトビールとして96年発売した「綾の地ビール」を、約20年ぶりにリニューアル。今月1日から「雲海麦酒醸造所(うんかいビールじょうぞうしょ)」として発売する。
             
(久保野剛)

アクセスランキング

ピックアップ