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2018年6月19日(火)
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客貨混載バス運行から2年

2017/10/05
20171004-1admin-image-1507103615.jpg 宮崎交通(宮崎市)の路線バスを活用してヤマト運輸(東京)の荷物を運ぶ「客貨混載バス」が、本県で運行を始めて10月で2年となった。対象路線の拡大や新たな貨物の取り扱いなどサービスを拡充しつつ、過疎地域の路線維持や物流の効率化を目指す取り組みは全国から注目を集めている。

路線維持のモデル事例に


1月に西都ー西米良で運行を始めたクール宅急便対応の客貨混載バス。9月には香港への西米良サーモンの輸出も始まり、客貨混載の可能性がさらに広がる(宮崎交通提供)

1月に西都ー西米良で運行を始めたクール宅急便対応の客貨混載バス。9月には香港への西米良サーモンの輸出も始まり、客貨混載の可能性がさらに広がる(宮崎交通提供)

 宮崎交通(宮崎市)の路線バスを活用してヤマト運輸(東京)の荷物を運ぶ「客貨混載バス」が、本県で運行を始めて10月で2年となった。対象路線の拡大や新たな貨物の取り扱いなどサービスを拡充しつつ、過疎地域の路線維持や物流の効率化を目指す取り組みは全国から注目を集めている。

全国初の路線拡大


 宮崎交通とヤマト運輸の客貨混載バスは、岩手県内の取り組みに次ぐ全国2例目として2015年10月、西都-西米良線で運行をスタート。16年6月には全国で初めて路線を拡大し、延岡-高千穂、日向-諸塚にも広げた。

 同社が路線を拡大した背景には、沿線人口の減少による経営悪化がある。同社の路線バスのうち赤字路線は75%。山間部を走る路線についてはほとんどが赤字に陥っている。高速・貸切バスの収入や国や県などからの補助金を補てんしても解消はほど遠く、改廃の議論も上っているのが現実だ。

 この中でも客貨混載の3路線は1便あたりの平均乗客数が3~10人と少なく、路線の赤字額は上位に位置する。一方で沿線住民や自治体の路線維持への思いは強く、板挟みにあった宮崎交通がたどり着いた答えが、ヤマト運輸との連携だった。

取り扱い荷物量10%増


西米良村内の路線を走る宮崎交通とヤマト運輸の客貨混載バス(宮崎交通提供)

西米良村内の路線を走る宮崎交通とヤマト運輸の客貨混載バス(宮崎交通提供)

 出発地のバスセンターで座席を取り外して荷台を設置した専用バスに荷物を積み込む。西都-西米良線の場合、西米良村に近い西都市の東米良診療所が経由地、同村村所が到着地となる。それぞれの地点で待ち受けるヤマト運輸の地域担当ドライバーが荷物を受け取り、沿線からさらに奥地にある集落へと配送する仕組みとなっている。

 地域担当ドライバーが地域に長時間滞在するようになり、集荷時間は西米良、諸塚村と美郷町では2時間延長した。そして、高千穂町では午前9時15分までに預かった荷物については、当日中に県内全域への配送できるようになった。

 これにより、西米良村の15年度の取り扱い荷物量は前年度比約10%増となった。16年度は熊本地震の発生でわずかに数字を落としたが、同社宮崎主管支店営業企画課の矢野充係長は「利便性が高まったことで、他社便から利用を切り替える人や、鮮度の高い野菜を親戚に送るといった利用が増えた」と手応えを語る。

 宮崎交通にも荷物の個数に応じて手数料が入る仕組みで、沿線住民も含めて「三方よし」の取り組みとなっている。

生鮮食品の輸出も


 今年1月から西都-西米良線でクール宅急便の取り扱いを全国で初めて開始した。9月には海外輸出の第1弾として、同村の井戸内養魚場(濱砂清男社長)が養殖する「西米良サーモン」を客貨混載便を利用して香港に発送。陸、空路、そして現地での配送もヤマト運輸の現地法人が請け負うことで、これまでより半日から1日短縮できるようになった。

 宮崎交通乗合部の尾上勝政部長は「バスは時間がかかるというイメージを払拭(ふっしょく)し、バス便利用の生鮮品輸出のモデルケースにしたい」とさらなる利用拡大を意気込む。

 全国の注目も高くこれまでバス会社や自治体の視察約40件を受け入れた。このうち、昨年10月に九州産交バス(熊本市)、今年6月からは全但バス(兵庫県)がヤマト運輸と連携した客貨混載バスを導入した。

 今後の方針について尾上部長は「自治体から路線拡大の相談はあるが、ヤマトの協力なしにはできないことから要望にすぐに応えられないのが現状」と慎重。しかし、「大きな収益というわけではないが、路線を下支えするために必要な収益は得られている」と過疎路線の維持へ、効果を実感している。
              
(西村公美)

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