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2018年5月22日(火)
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高度IT人材獲得へ連携

2017/09/07

 バングラデシュの高度IT技術者を宮崎市内のIT企業にマッチングするプロジェクトが、今秋から本格化する。国際協力機構(JICA)、宮崎大、宮崎市、同市ICT企業連絡協議会の4団体による共同プロジェクト。日本での就労希望者受け入れによる途上国支援と、人材不足に悩む地方の課題解決を目指すもので、win-winの先進モデルを構築できるかに注目が集まっている。

バングラデシュから宮崎市へ


「宮崎-バングラデシュモデル」について理解を深めようと、7月には宮崎大で関係者や学生が集まりシンポジウムを開催。プロジェクトの仕組みや意義を確認した

「宮崎-バングラデシュモデル」について理解を深めようと、7月には宮崎大で関係者や学生が集まりシンポジウムを開催。プロジェクトの仕組みや意義を確認した

 バングラデシュの高度IT技術者を宮崎市内のIT企業にマッチングするプロジェクトが、今秋から本格化する。国際協力機構(JICA)、宮崎大、宮崎市、同市ICT企業連絡協議会の4団体による共同プロジェクト。日本での就労希望者受け入れによる途上国支援と、人材不足に悩む地方の課題解決を目指すもので、win-winの先進モデルを構築できるかに注目が集まっている。

途上国支援し、地方創生


 プロジェクトでは、JICAが11月に現地で教育プログラム「バングラデシュ ジャパン ITエンジニア トレーニング(B-JET)」を始める。日本での就労を希望するIT技術者に日本語やビジネスマナーを指導。年間90~120人を受け入れる。受講生は3カ月で講座を修了し、日本企業の紹介を受けられるようになる。

 宮崎大はB-JETに日本語教員を3人派遣し、宮崎市のIT企業からも専門家が講師などとして採用される見込み。市は来日した人材の採用経費や技術者の家賃の一部を補助し、受け入れを支援する。一連の取り組みは「宮崎-バングラデシュモデル」と名付けられ、JICAの入柿秀俊理事(57)は「途上国支援と日本の地方創生に貢献できるシステム。成功すれば日本の各地で応用できる」と意義を強調する。

需給調整の受け皿に


宮崎市の教育情報サービスが5月に採用したバングラデシュ国籍の2人。同社の荻野社長は2人の能力の高さと勤勉さを高く評価している

宮崎市の教育情報サービスが5月に採用したバングラデシュ国籍の2人。同社の荻野社長は2人の能力の高さと勤勉さを高く評価している

 日本の4割ほどの面積に約1億6000万人が暮らすバングラデシュ。2016年のGDP成長率(推計値)は7.1%、ここ10年平均でも約6%の高成長が続く。人口も右肩上がりで増加しており、50年には2億人に達する見込み。若者に人気のIT産業育成を国の重点施策に位置付けているが、企業の成長が追い付いていないのが現状。若者にとって魅力ある働き先が不足している。

 一方、少子高齢化で労働人口が減っている日本。IT業界は建設や介護などと並び人手不足が深刻とされる。特に地方は技術者の養成機関が少なく、プログラミングなどの知識を要する開発業務をこなせる人材が少ない。宮崎市内31社でつくる市ICT企業連絡協議会の常原愛会長(42)は「都市圏と競って即戦力を確保するのは難しい。条件さえ合えば、国籍を問わずすぐに採用したい企業もある」と話す。

都市圏との奪い合い必至


 すでに途上国から人材を受け入れている企業もある。同市の教育情報サービス(荻野次信社長)は14年、自社ソフトを使った教育事業が同国でのJICA案件化調査に選定。以来、現地政府や企業と親交を深め、今回のプロジェクトのきっかけをつくった。今年5月にはバングラデシュから若者2人を採用。荻野社長は「非常に優秀で、人間性も明るい。地方から世界を目指す企業として、日常に外国人がいることは活性化につながる」と外国人材活用のメリットを説く。

 B-JETは日本への就労を支援するものの、修了生の選択肢は宮崎市だけではない。IT技術者が慢性的に不足する日本において、貴重な人材が都市圏との奪い合いとなるのは必至。多くの人材確保へつなげるには、同市や地元企業が魅力ある就労、教育制度を提示しなければならない。JICAは「B-JETの運用に県内の関係機関が深く関わるアドバンテージをうまく活用し、産官学が一体となって情報を発信してほしい」としている。

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