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2018年5月21日(月)
フォーカス

福岡ブランド牛「博多和牛」

2017/02/16

知名度アップ目指し全共へ


 宮崎牛や佐賀牛、鹿児島黒牛など全国有数のブランド牛を輩出している九州。この畜産王国にあって新たにブランド化を目指しているのが福岡の「博多和牛」。福岡の飲食店や小売店で目にする機会も増えている。今年は5年に1度開かれる和牛品評会「第11回全国和牛能力共進会(全共、9月)宮城大会」への出場も予定しており、生産者も知名度アップへ意欲を燃やしている。

ほかの銘柄牛から地元産に転換


博多和牛の一頭買いをしている福岡市の焼肉ヌルボン・大名キッチンで提供している博多和牛

博多和牛の一頭買いをしている福岡市の焼肉ヌルボン・大名キッチンで提供している博多和牛

 福岡市中央区大名の「焼肉ヌルボン・大名キッチン」に入ると、正面に「博多和牛一頭買」と刻まれた大きな看板が掲げられている。同店は飲食店を手掛ける綱屋(福岡市)が福岡県内を中心に展開する「焼肉ヌルボン」のグループ店。同社は博多和牛を一頭買いして、7店舗でさまざまな部位を食べ放題で提供する「博多和牛一頭コース」(5000円)をメニューに設けている。

 九州の他産地の牛肉を扱っていた同社が、博多和牛を扱い始めたのは2009年7月。新店舗オープンの節目に、ほかの店舗も合わせてメニューをリニューアルして、博多和牛に切り替えた。「その頃から博多和牛も生産方法や品質が安定して扱えるようになった」と同社取締役統括管理部の村上正明部長。流通ルートも確保でき、現在は年間15~17頭を買い付けて、客の好みの多様化に合わせて、バラエティーに富んだ部位を準備して提供している。

 博多和牛の特徴を「赤身にしっかり味があり、脂身があっさりしているので年齢が高い人にも勧めやすい」と説明する村上部長。ブームも手伝って肉料理を提供する店が増える中、同店周辺の天神エリアで博多和牛を前面に出している店はそう多くはないだけに、地元産和牛で他店と差別化を図る狙いもある。

県民の認知度を5割に


肉用牛の生産を約50年手掛けている堀田会長。博多和牛のブランド化に意欲をみせる

肉用牛の生産を約50年手掛けている堀田会長。博多和牛のブランド化に意欲をみせる

 博多和牛の歴史はまだ浅い。もともと酪農が主流だった福岡で、福岡県肉用牛生産者の会が発足したのが03年。会の中で黒毛和牛生産者らを中心に和牛ブランド化の機運が高まり、05年に「博多和牛」の商標を登録した。

 登録されている生産者が県内で12カ月以上肥育した黒毛、あか毛和種で、日本食肉格付協会が定める3等級以上の肉を「博多和牛」として出荷。現在、45戸が約6000頭を飼育し、昨年は3374頭を出荷。生産者やJA、福岡食肉市場などでつくる博多和牛販売促進協議会で指定店を登録し、主に県内のスーパーや百貨店、精肉店など135店で販売。一部を広島や関西などの県外、ベトナム、タイなどの海外にも出している。

 福岡県内では先行して佐賀牛や長崎和牛なども広く流通。食肉市場での博多和牛の取引価格はこれらと比べると現在、キロ当たり100円前後安くなっている。各地の銘柄牛を加工、販売するJA全農ミートフーズ九州支社(福岡県大宰府市)は「佐賀牛などに比べると、まだ全国的な認知度は低い。県内でも知らない人がいる」と話す。県が実施したアンケート調査でも博多和牛を知っている県民は3割程度で、県畜産課は「5割ぐらいまでは増やしたい」と話す。
 

博多和牛の飼料に使われている福岡県産の稲わら

博多和牛の飼料に使われている福岡県産の稲わら

 同協議会では知名度を高めるために飲食店や小売店でのフェアや販路拡大のPRなどを毎年実施。並行して生産現場も肉質向上に取り組んでいる。博多和牛は主な飼料に県産稲わらを使用しているほか、「ビールかすや米を飼料に混ぜて与えるなど、肉質を研究している」と福岡県肉用牛生産者の会の堀田和秀会長。若手後継者も多く、情報交換や勉強会を開いており、今では4等級以上が約9割を占めるようになってきた、という。

 12年に長崎で開催された全共の前回大会を見学して刺激を受け、機運が高まったという生産者たち。現在、9月の大会に向けて10戸の農家が候補牛24頭を育てている。堀田会長は「全共に出て日本一になれば知名度も上がる。ブランド力をつけてほかの銘柄牛に追い付きたい」と意気込んでいる。
(福岡支社・高森千絵)

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