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ソラシドエア決算

2016/06/02
ソラシドエア決算 「復活組の攻勢強く」

復活組の攻勢強く

過去最高収入を計上した2016年3月期を発表するソラシドエアの髙橋洋社長。17年3月期は大手、中堅航空会社との競争や熊本地震が影響を及ぼしそうだ

過去最高収入を計上した2016年3月期を発表するソラシドエアの髙橋洋社長。17年3月期は大手、中堅航空会社との競争や熊本地震が影響を及ぼしそうだ

 2016年3月期決算で過去最高益を更新し、9期連続黒字を計上したソラシドエア(宮崎市)。好業績の裏側では民事再生手続きを終了した中堅航空会社のスカイマークや復権を狙う日本航空(JAL)がじわじわと競争を仕掛けている。さらに4月に発生した熊本地震は九州の観光業を直撃。ソラシドエアは業績予想すら立てられない難局に立たされており、今後どのような事業展開で乗り切るか、注目されている。

新規2路線で21億円増

 16年3月期決算は、売上高に当たる営業収入は過去最高の380億5500万円(前期比6.8%増)を計上した。これに伴い、営業収入から燃料費や人件費などのコストを差し引いた営業利益も過去最高の20億1200万円(86.9%増)となった。

営業業績
 営業収入が24億3100万円増となった要因は、15年3月28日に就航した那覇-中部、那覇-石垣線が大きく貢献。同社の髙橋洋社長は「新規2路線(6便)で約21億円の収益増となった」と新規路線効果の大きさを説明する。

 那覇-中部の搭乗率は71.8%で、同社の全路線平均の62.3%を9.5ポイント上回る高水準だ。石垣は59.6%だったものの、髙橋社長は「同じ航空会社のチケットでそのまま石垣島まで飛べるという広告効果は大きかった」と話す。

 那覇路線の搭乗率は既存の宮崎が73.6%(前期69.4%)、全日本空輸(ANA)が減便した鹿児島では81.2%(66.5%)と沖縄観光の人気の高さをそのまま反映する結果となった。同社が那覇を第2の拠点と位置付けて路線拡大した経営判断が実ったと言える。

価格競争再び

 しかし、那覇-神戸は大幅減の49.6%(63.6%)と、全路線で最も低い搭乗率に終わった。なぜここまで搭乗率を落としたのか。その理由は低調だった羽田-鹿児島50.1%(54.9%)とも共通する。

路線別実績
 ソラシドエアはこの2路線の不調の要因として、3月に民事再生手続きが終了したスカイマークや、2010年の経営破綻から復活した日本航空(JAL)の存在を挙げる。

 神戸空港を管理する神戸市空港事業部によると、16年3月期のスカイマークの那覇線搭乗率は69.2%(63.3%)、旅客数は前期比9.2%も伸ばした。一方ソラシドエアの同路線の旅客数は21.9%減少した。またスカイマーク、JALと競合する羽田-鹿児島ではソラシドエアは搭乗率4.8ポイント減、旅客数8.3ポイント減と苦戦する。

 髙橋社長は「スカイマークは会社としての存続性に心配がなくなった。キャッシュを得るために価格面でかなり割安な料金を投入して競争を仕掛けている」と背景を説明する。JALについても「再建中に他社にシェアを奪われた意識は強いだろう。格安航空会社(LCC)やスカイマークより一番気になるのは資本の一番大きいJAL」と指摘。つまり、復権を懸けた両社の価格競争により搭乗客を奪われた形だ。

 両社の攻勢にソラシドエアはどう対応するのか。採算性を無視した価格競争が加速したことで、国内の航空業界では安全性やサービスが低下したという反省もある。髙橋社長は「価格は下げず品質で勝負する。サービスの質、機体の新しさでも他社に負けない。採算度外視の低価格路線は長くは続けられないだろう」との決意だ。しかし、神戸線はコードシェアでANAの営業力が頼りとなる中、今後も辛抱の戦いが強いられそうだ。

震災復興で存在感示せるか

 経営環境の厳しさは価格競争ばかりではない。今年4月の熊本地震はゴールデンウイークの九州の観光市場を直撃。九州を本拠地とする同社も客数を落とす結果となった。

 4月28日~5月8日の羽田-九州5路線の旅客数は前年同期比97.8%。被災の大きかった羽田-熊本は80%、羽田-大分は85%だった。熊本、大分以外では帰省目的の搭乗客が増える現象が起こり、羽田-宮崎は104.1%となった。

 しかし、ホテルや宿泊施設のキャンセルは相次いでおり、足元の観光需要は低迷したままだ。同社の九州5路線は特に観光路線の色合いが濃いため、同社は「夏休み、秋、冬と同じ動きが続けば相当厳しい」と胸の内を明かす。2017年3月期の業績予想についても、観光動向が読めないため公表を見送っている状況だ。

 同社は就航地5県と連携し、首都圏での情報発信を働き掛ける予定だ。髙橋社長は「人の動きを絶やしてはいけない。九州に来てもらうための具体的なツールを関係者と考えて行動しなければならない」と話す。

 九州の空を支えるインフラとして震災復興で果たす役割は大きい。大手、中堅航空会社との競争や観光振興で、同社がどこまで存在感を示すことができるか。正念場となっている。
(巣山貴行)

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