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2018年12月15日(土)
フォーカス

宮崎スタートアップバレー設立から半年(下)

2015/12/03
【フォーカス・宮崎スタートアップバレー設立から半年(下)】細やかなサポートで成長を後押し

 挑戦  細やかなサポートで成長を後押し

宮崎フェニックス大学を設立した渡邊さん。設立の原点になった、活動内容や展開を盛り込んだパワーポイントには思い入れがある

宮崎フェニックス大学を設立した渡邊さん。設立の原点になった、活動内容や展開を盛り込んだパワーポイントには思い入れがある

 事業計画策定の支援や資金調達-。県内で創業や異業種参入、イベント開催などに挑戦する人たちを応援する宮崎スタートアップバレー(宮バレー)。そのサポートは細やかで、幅広い。支援を受けて新たな一歩を踏み出した女性の例や、宮バレーが支援強化へ考える次の展開を紹介する。

地域知る学びの場を提供

 宮崎市の会社員渡邊未知翔(みちか)さん=28=は7月、「宮崎フェニックス大学」を設立した。学校教育法に定める大学ではなく生涯学習を推進する団体で、まち全体が大学の「キャンパス」。県内の地域資源を活用した学びの場を提供し、地域活性化につなげるのが目的だ。趣旨に共感した人を講師に招いて1回完結の公開講座を開催。趣味を同じくする参加者同士による「部活動」もある。

 渡邊さんは札幌市出身。2014年4月、パートナーの転勤で本県に移住した。看護師や雑貨店経営の仕事に就いていたが、「今までとは違うことに挑戦したい」と人材育成を手がけるインタークロス(宮崎市)の職業訓練講座でウェブデザインを学んだ。

 フェニックス大学設立は講座の修了制作がきっかけ。ウェブサイトの制作などが課題として与えられ、ふと思いついたのが公開講座で生涯学習を推進する地元の「札幌オオドオリ大学」だった。受講経験があり「宮崎ではどんなことができるだろう」と考え、本県開催を仮定したパワーポイントを作って発表したところ、反応は上々。移住で自らのライフスタイルを見つめ直している時でもあり、「地域と関わりが持てることをしよう」と実行を決めた。

 しかし、どういう風に動き出せばいいか分からない。次の一歩を踏み出せないでいた時に宮バレーの存在を知り、共同代表の土屋有さん(アラタナ取締役)に相談。講座を開く日から逆算して予定を組むことや、受講生のターゲットの定め方など事細かにアドバイス。開催場所も土屋さんの人脈を駆使してすぐに借りた。「経験がない中、物事をスムーズに進める段取りを教えてもらった」と振り返る。

 自転車の乗り方や古民家再生など、これまでに6回の講座を開催。フェイスブックなどで募ると参加者が少しずつ増えてきた。より密度の濃い活動をするためにNPO法人化も視野に入れている。「無理のないペースで続けたい。内容を詰めていこうとしたら資金調達や綿密な事業計画も必要。宮バレーにまだまだサポートしてもらいたい」と話す。

成功伝える場づくりも急務

 「漠然とした内容でスタートしても、なんとかやってこられた。創業をためらっている人に、私の例が『それならできそう』と思ってもらえればいい」と渡邊さん。土屋さんは「2カ月という短期間に仕事と両立しながら大学設立にこぎつけ、一定の成果を上げている」と評価する。

 そんな渡邊さんや宮バレー共同代表らの経験や成功事例を伝えていく場も今後は必要といえる。土屋さんは「資金繰りに窮し、思ったほど事業がうまくいかなかった苦労を重ねて今がある。そんな生々しい体験を積極的に話すことで、次の世代が育ち、起業家としての覚悟も芽生えるはず」と説く。

 宮バレーは県外の団体との連携も深めていく。共同代表らが各県のスタートアップ団体のイベントで本県での取り組みを紹介し、他県で新たなチャレンジの芽を生み出す枠組みづくりをサポートする。福岡県の団体とは連携に向けた協議を進めており、寄せられた相談事例の共有や福岡の創業事情などの情報を収集していく。宮バレーの運営に生かすだけでなく「県外で何かやりたいと思っている人に生きた情報を届け、次につなげてほしい」と土屋さん。

 人口減少で地域経済の先細りが懸念される中、これらの新たな挑戦は地域活性化の原動力となる。「2020年までに100のチャレンジを生む」という目標を掲げた宮バレー。事業の大小にかかわらず、少しずつチャレンジが芽吹き始めた。(西村公美)

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