みやビズ

2018年9月20日(木)
フォーカス

宮崎スタートアップバレー設立から半年(上)

2015/11/26
【フォーカス・宮崎スタートアップバレー設立から半年(上)】チャレンジしやすい環境を構築

 取り組み  チャレンジしやすい環境を構築

5月にあった設立会見に臨む宮崎スタートアップバレーの共同代表と顧問ら。自身の経験を交えたサポートを誓った

5月にあった設立会見に臨む宮崎スタートアップバレーの共同代表と顧問ら。自身の経験を交えたサポートを誓った

 地方創生の取り組みの一環として、行政や金融機関などによる創業支援の動きが活発化している。本県は小規模事業者の開業率が全国2位と高水準。そんな中「宮崎を世界一チャレンジしやすい街に」という目標を掲げ、創業や異業種参入などをさらに促そうと、ことし5月、民間団体「宮崎スタートアップバレー」(宮バレー)が設立された。イベントや相談会を重ね、さまざまなチャレンジの“芽”に向き合ってきた半年を検証する。

経験や人脈生かしサポート

 宮バレーは、アラタナ(宮崎市)取締役の土屋有さん=都城市出身、イラスト制作会社サーチフィールド(東京)取締役の齋藤隆太さん=宮崎市出身=など、ベンチャー企業や飲食店などの若手経営者6人で組織。半導体やIT関連産業が集積し、大企業を育てた米国のシリコンバレーになぞらえて名付けた。

 設立のきっかけは昨年末、東京であった地方創生ベンチャー会議に共同代表を務める土屋さんらが参加したこと。大都市圏や福岡、熊本県などには、経営者らによる創業サポート体制が整っていることを知り、自分たちも経営ノウハウを生かした宮バレーの立ち上げを決めた。創業だけでなく地域活性化につながるイベント開催なども、宮バレーが定義する「チャレンジ」。経営者としての経験や人脈などをフルに活用してサポートする。

 創業など新たな取り組みには資金獲得も必須。小規模の場合にはサーチフィールドが手がけるクラウドファンディング「FAAVO」を活用する。また、宮崎太陽キャピタルをはじめとする県内外のベンチャーキャピタルとも連携。多額の資金を要する事業についての相談があれば、宮バレーを通じてベンチャーキャピタルを相談者に紹介する。

 土屋さんらの経験を生かした相談会も定期的に開催。これまでに農業者や脱サラした人など約20人から相談があった。内容は「何かビジネスをしたい」「事業計画をチェックしてもらいたい」と幅広い。宮崎市が起業を目指す人に1年間無償で提供する「インキュベーションルーム」への入居などが相談会を経て実現した。 

プレゼンで思いを明確化

200人が参加した宮バレーin都城。プレゼンテーションではそれぞれが熱い思いを2分間にまとめて伝えた

200人が参加した宮バレーin都城。プレゼンテーションではそれぞれが熱い思いを2分間にまとめて伝えた

 9月には初の大型イベントとして「ミヤバレーin都城」を都城市で開催。ビジネスプランのプレゼンテーションには、飛び入り参加した秋田県の大学生など県内外から13組が登壇した。宮バレー共同代表や顧問のほかベンチャーキャピタルの担当者、一般参加者ら約200人が耳を傾けた。
 
 第1次産業の比率が高い土地柄を反映して、農業関係のビジネスプランが多く発表された。カボチャやピーマンなどを生産する「ひがしのもりファーム」(都城市)の東森薫さんは、高齢の野菜生産者にとって販路拡大や出荷が負担となっている地域の現状を紹介。それらの課題を解決するために、同社が直売所などとの橋渡し役を担うことや農家に出向いて出荷を代行することなどを提案した。「ゆくゆくは小規模農家でネットワーク化して事業化したい」と締めくくった。

プレゼンテーションの後には参加者が興味を持った発表者を囲んで質問やアドバイスした。「新たな視点をもらえた」と話す登壇者も

プレゼンテーションの後には参加者が興味を持った発表者を囲んで質問やアドバイスした。「新たな視点をもらえた」と話す登壇者も

 働く意欲のある「ママ目線」を生かして都城市をブランディングする計画を打ち出したのは、同市出身の大工蘭子さん。大阪でウェブサイトの企画制作やイベント運営などを手がける会社を起業したばかりの現役ママだ。デザインなど子育て中も在宅ワークが可能なスキルを学べるオンラインスクールの運営を提案。学んだスキルを生かしたデザインチームによる仕事の受注や、都城産の商品をママ目線で選んで販売するネットショップの立ち上げを目指すとして優秀賞に選ばれた。

 大工さんは「消費行動の決定権を握り、口コミによる情報拡散力を持つのは女性。その力を生かすことは女性活躍が叫ばれる今必要だし、何よりも都城を盛り上げていきたい」と実現へ意欲を見せ、同市で既に事業化の準備を始めた。

 土屋さんは「付加価値を生むだけの優位性や収益を上げるための工夫など、まだまだ磨くべきところはある。しかし、起業や新事業の展開など新しいことをやっていこうという思いを形にできる人がいることが分かった」と半年を振り返る。その上で「創業などの新たな一歩に踏みだそうとするチャレンジの芽が芽吹きやすいよう、畑を耕すことが私たちの使命」。創業がしやすい環境づくりなど息の長い支援の必要性を強調した。
(西村公美)

アクセスランキング

ピックアップ