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2018年8月15日(水)
フォーカス

県内ドローン事情(下)

2015/07/09
【フォーカス・県内ドローン事情(下)】リスク管理 企業で導入に温度差

 リスク管理  企業で導入に温度差

 無人小型飛行機「ドローン」を生かすには解決すべき課題が多い。県内ではドローンの空撮事業に参入する会社もある一方、墜落事故などのリスクを懸念して導入を見送る企業もある。劇的に技術革新が進む中で法規制の立ち遅れが目立ち、導入については企業の温度差は大きい。

担い手不足対策に

旭建設空撮事業部が撮影した椎葉村での工事施工画像。立体的に撮影することで状況が確認しやすくなる(同社提供)

旭建設空撮事業部が撮影した椎葉村での工事施工画像。立体的に撮影することで状況が確認しやすくなる(同社提供)

 「普及拡大が予想される分野。いち早く参入することでノウハウを蓄積したい」。こう説明するのは旭建設(日向市)の黒木繁人社長。ドローン事業に先駆けて参入するアドバンテージを重視する。4月から空撮事業部を新設し、土木工事現場の進捗(しんちょく)状況や災害現場の把握などの撮影委託を狙う。

 同社は事業化に先駆け、昨年11月に社内に先端技術の活用を目指す部署「ガレージひゅうが」を立ち上げ、ドローン1台を購入。操縦技術や安全性の確保も力を入れた。無人航空機の産業振興を目指す日本UAS産業振興協議会(東京)と県マルチコプター協会(宮崎市)に加入、社員9人に操縦技術の習得や安全講習を受させた。

 まずは自社の工事現場での完成写真撮影などで技術を高め、外注も受けることにしたという。料金は1フライト5万円から。しかし、狙いはさらにその先にもある。黒木社長は「建設業界が直面する担い手不足や職人の高齢化を解決する糸口になる」と語る。

 中山間地が大半を占め、災害の多い県北地区では土砂崩れで道路が寸断され孤立するケースが多い。こうした場所での一次情報を獲得する上でもドローンへの期待は大きい。同社はすでに2機目のドローンを購入しており、幅広い分野での需要を取り込む考えだ。

安易な運用に懸念

県工業技術センター屋上の太陽光発電パネル(ラジコン広場ブランズ・ホビー撮影)

県工業技術センター屋上の太陽光発電パネル(ラジコン広場ブランズ・ホビー撮影)

 県工業技術センター(宮崎市)はセンター屋上に設置する太陽光発電システムの発電量低下を調べるため昨年、試験的に上空からドローンによる赤外線撮影を行った。熱画像を解析し、異常発熱点を確認。結果的に水蒸気侵入が原因と思われる電極腐食などの不具合を突き止めた。

 県内は太陽光発電システムの普及率が全国的に高く、企業による大規模発電システムも多い。それだけにこうした空撮による効率的な管理方法への期待も高い。だが、同センターのシステムを空撮したラジコン広場ブランズ・ホビー(延岡市)の島崎一さん(62)は「商用化はまだ難しい」と慎重だ。

 熱画像の撮影機材の解像度がまだ低く、「10年以上前のデジタルカメラのレベル。商用レベルにはなっていない」(島崎さん)という。そして法整備や運用基準、墜落事故などによる人的、物的被害、それにともなう賠償問題など、商用化のハードルは高い。島崎さんは「基本的には手動で操作できる技術がないと不測の事態に対応できない。太陽光発電のパネルに墜落して損傷させたら大変な賠償額が発生する」と安易な運用を懸念する。

県工業技術センター屋上の太陽光発電パネル。赤外線画像で解析すると異常発熱部分が白い点で確認できる(ラジコン広場ブランズ・ホビー提供)

県工業技術センター屋上の太陽光発電パネル。赤外線画像で解析すると異常発熱部分が白い点で確認できる(ラジコン広場ブランズ・ホビー提供)

 県内で有数の太陽光発電システムの販売、施工実績を持つ米良電機産業の米良充典社長も「法整備もされていないドローンの導入は時期尚早」と話す。同社にとって施工後の管理やメンテナンスは今後の収益事業ともなるが、米良社長は「効率性を追い、安全性が確保されていない技術を導入するのはリスクが高い。ガイドラインや安全基準が明確になるまでは、監視カメラと人間の目で点検する」と話した。

 県外では鹿児島県垂水市がドローンの機体所有会社と災害時の使用協定を結ぶなど、危険現場での活用を想定した動きも出始めた。県内では“様子見”とする自治体や企業が多い。劇的に進む技術と法整備の遅れという端境期にあるドローン分野。現時点での導入には高いリスク管理が求められそうだ。
(経済部・巣山貴行)

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