みやビズ

2019年5月23日(木)
紙面県内経済

エネルギー新時代~産業化への挑戦(6)

2011/11/19
■太陽光市場の可能性 畜舎対象軽量パネル

宮防が取り扱う「プルーフソーラー」。発電効率やコストなどの課題もあるが、軽量で曲面設置もできるなどメリットもある

宮防が取り扱う「プルーフソーラー」。発電効率やコストなどの課題もあるが、軽量で曲面設置もできるなどメリットもある

 現在、爆発的に普及が進んでいる太陽光発電システムの耐用年数は一般的に十数年とされる。将来的には太陽電池の大量廃棄も予測され、リサイクルビジネスが今後、重要になる。環境分析やリサイクルに関するコンサルタント業務を手掛ける西日本環境技研(小林市、平山公夫社長)などの産学官グループは本年度から、太陽電池パネルからレアメタルを回収する事業の可能性調査に乗り出している。

 グループは同社をコア企業に、県工業技術センターや宮崎大などで6月に発足。国内の太陽電池製造メーカーもアドバイザーとして参加し、県産業支援財団の「環境リサイクル技術開発促進対策事業」の採択を受ける。平山社長は「資源枯渇の観点からもリサイクルは重要。県内には多くの研究シーズがあり、これを活用できれば事業化につながる」と経緯を明かす。

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 循環型社会の構築が重視される中、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)も、太陽電池製造メーカーなどと共同で、太陽光発電システムのリサイクル・リユース処理技術などの研究開発に取り組む。

 西日本環境技研などのレアメタルの回収法は、パネルを酸溶解してレアメタルを含む溶液を抽出。この溶液を、イオン交換樹脂で吸着させるイオン交換といったさまざまな手法を用いながら、コストや採算性などを検証する。「研究は始まったばかりだが、新たな回収法で一定の成果も見えてきた」と平山社長。この成果を基に来年度以降、事業化にも挑戦する。

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 太陽光パネルの新たな設置場所を開拓する動きもある。総合防水工事業の宮防(宮崎市、村社勝社長)は、自社の屋根の遮熱施工と太陽光パネル設置を組み合わせた事業を計画する。ターゲットは本県主力産業である畜産業だ。

 宮防が取り扱うのは、国内大手の防水材メーカーが開発した防水一体型の「プルーフソーラー」と呼ばれる製品。アモルファスシリコン太陽電池で厚さは約3ミリ、重量は1平方メートル当たり約4キロ。軽量で曲面にも設置可能で、同社の村社英秋専務は「畜舎は一般的にスレート屋根で、屋根材の弱さの課題もあるが、軽量なら荷重の問題もクリアできる。遮熱と太陽電池を組み合わせることで、新たな市場も見いだせる」と指摘する。

 課題は発電効率とコスト。現在のアモルファスシリコン太陽電池は、一般的なシリコン太陽電池と比べ発電効率は低く、価格も1・5~2倍という。設置を促すにはコスト削減が不可欠になる。

 現在、ステンレス建具を製造するメタル・テクノ(都城市、椎屋幸雄社長)と共同で設置に使用する専用金具の製造を進めており、村社専務は「遮熱塗装で畜舎の温度を下げ、発電した電気で畜舎内の冷房やファンを動かす仕組み。本格販売は数年先になると思うが、モニター施工などを募りながら、次世代型の畜舎モデルを提案したい」と、新たなモデル構築を目指す。

【メモ】
アモルファスシリコン太陽電池 一般的な結晶シリコン系太陽電池に比べ、シリコン原料の使用量が少ない太陽電池。結晶系に比べ変換効率は劣るが、量産が可能なほか、軽量でしなやかな太陽電池モジュールも造ることもできる。

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