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2018年4月23日(月)
紙面県内経済

みやざき経済Eye 県工業技術センター新技術

2018/03/30

油中でナノ粒子量産 食品、医薬品へ応用期待 県工業技術センター(宮崎市佐土原町)は極めて小さなナノ粒子を油の中で効率的に製造する世界初の技術を開発し、特許を出願している。有効成分をナノ粒子にすることで、さまざまな活用が可能となる。オイル系の化粧品が人気となる中、福岡市の化粧品メーカーがこの技術に着目。既に製品化にこぎ着けた。食品や医薬品での活用も想定され、同センターでは「将来的に非常に有望な技術」として、県内企業に活用を呼び掛けている。

ヒアルロン酸を溶かした水相を油相に加え、かき混ぜた乳液(左)とナノ粒子分散油。ヒアルロン酸が油に溶けたような透明度だ(県工業技術センター提供)

油中でナノ粒子量産 食品、医薬品へ応用期待

 県工業技術センター(宮崎市佐土原町)は極めて小さなナノ粒子を油の中で効率的に製造する世界初の技術を開発し、特許を出願している。有効成分をナノ粒子にすることで、さまざまな活用が可能となる。オイル系の化粧品が人気となる中、福岡市の化粧品メーカーがこの技術に着目。既に製品化にこぎ着けた。食品や医薬品での活用も想定され、同センターでは「将来的に非常に有望な技術」として、県内企業に活用を呼び掛けている。

 互いに混じり合わない性質の2液の片方を、もう片方の中に均一に分散させ、その状態を安定させるエマルション(分散系溶液)の研究から生まれた技術。油と界面活性剤による「油相」に、有効成分を水に溶かした「水相」を加えた後、かき混ぜる。すると、有効成分を含んだ微細な水の玉(液滴)が油の中に分散した状態(乳液)となる。この乳液を加温、減圧すると、水だけが蒸発。油の中に有効成分のナノ粒子が分散された状態(ナノ粒子分散油)が生まれる。

 この手法は実は一般的だ。ただ、従来は緩やかに水を蒸発させていくが、新技術では強く減圧して沸騰によって一気に蒸発させる。緩やかな蒸発では水滴と同じ数の粒子しか作れないが、沸騰では無数の粒子を作れる上に粒子のサイズが小さい。

 「これまで1、2日かかっていた作業が30分でできる」(同センター)というほどに効率性が高く、大量生産に道を開いた。しかも、直径30ナノメートル(ナノは10億分の1)以上であれば、粒子の大きさをある程度そろえることもできる(インフルエンザウイルスでも100ナノメートル)。有効成分を高濃度にすることも可能だ。

 また、さまざまな有効成分や油を使うことができ、汎用(はんよう)性が高い。有効成分の種類に応じ、どの油と界面活性剤を使うのかという組み合わせが重要であり、そうしたノウハウを同センターでは蓄積している。

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 ナノ粒子分散油はある程度透明だが、これを水に近い透明度にまで高める技術も開発。これは製品化において高い付加価値となるため、特許を出願している。

 実用化に向けて複数の企業と共同研究を進め、一部で製品化している。保湿成分として知られるヒアルロン酸を含んだ美容オイルもその一つ。ヒアルロン酸は水に溶かした状態では肌に浸透しにくい上、粘度が高すぎて実用性が低い。一方、油は肌への浸透性が高く、塗ったらすっと広がるため、吸収効果が高く、使いやすいといった利点がある。

 水に溶ければ、無機物や有機物を問わず、ほとんどの物質に使える技術。スキンケア用品以外にも、塗る湿布薬やサプリメント、塗料、光学素材など幅広い分野での応用が想定される。

 同センター材料開発部の濵山真吾主任技師は「実験の失敗から偶然生まれた現象を再現するため、実証実験を何百回と繰り返して確立した技術。ぜひ県内企業に役立ててほしい。県内で浸透した後に全国、そして世界へと広がってくれたらいい」と話す。

 問い合わせは同センター(電話)0985(74)4311。

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