みやビズ

2018年12月12日(水)
紙面県内経済

ハエ幼虫でふん尿肥料に ムスカ(福岡市)

2018/02/14

 都農町に研究開発施設を置くムスカ(福岡市)は、特殊なイエバエの幼虫を使って家畜ふん尿を肥料にする循環システムを開発した。処理期間が1週間と短いのが最大の特長。肥料に加え、幼虫も魚や家畜の飼料として販売でき、畜産農家のふん尿処理費用の負担軽減が期待される。

 都農町に研究開発施設を置くムスカ(福岡市)は、特殊なイエバエの幼虫を使って家畜ふん尿を肥料にする循環システムを開発した。処理期間が1週間と短いのが最大の特長。肥料に加え、幼虫も魚や家畜の飼料として販売でき、畜産農家のふん尿処理費用の負担軽減が期待される。

 処理工程は、牛や豚のふん尿を大型トレーに敷き、その上にイエバエの卵を置く。トレーを積み上げて育成室に安置。ふ化した幼虫が窒素分を吸収することで低窒素有機肥料となり、これに加熱処理を施し、ペレット状に加工する。幼虫の出す消化酵素によって悪臭の原因菌が殺菌され、肥料は臭くない。

 処理中は切り返しなどの作業を伴わず、トレーを積み上げるため省スペース。通常は数カ月以上を要する堆肥化に比べ、大幅に時間短縮できるという。

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 幼虫は吸収した窒素分が体内でタンパク質に変化。一定量の幼虫は飼料の原料となる乾燥粉末に加工し、残りはさなぎに成長させ、これも飼料の原料に加工する。

 これまでに大学の単独研究や大学との共同研究によって、肥料は農作物の成長促進や収量の増加、糖度の上昇、病害虫発生の低減といった効果があることを確認。飼料も魚の餌となる魚粉に混ぜて養殖マダイに与えた結果、増体や発色の改善、免疫性やストレス耐性の向上、安全性などが認められている。

 魚粉は天然魚を原料としているため、イエバエ飼料の活用は海洋資源の保護、魚粉価格が高騰した場合の影響緩和につながるという。魚類用飼料として日本と中国で特許を取得し、米国やベトナムなどでも出願している。

 使用するイエバエは45年間にわたり品種改良を重ねた結果、ふん尿の処理能力に優れ、親バエの産卵能力が高いなどの特長を備える。都農町の施設でさらに能力を高める研究を続けている。

 今後は本県などを候補地として、1日100トンを処理できる大型の実証プラントを建設し、システムを実用化する計画だ。

 この技術は畜産や養殖といった第1次産業を支えるだけでなく、低コストで効率的に農水産物の収量を高めるほか、農薬や抗生物質などの使用を抑制できる可能性を持つ。

 宮崎市出身の串間充崇社長は「世界から飢餓を減らす一翼を担える技術であり、安心安全でおいしい食料を供給できる技術でもある。一日も早く国内外にプラントを広めたい」と力を込める。

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