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2018年10月23日(火)
紙面県内経済

人手不足時代を生きる 第1部(5)高齢者

2017/12/05

経験が豊かな即戦力

仕事を終えた乗務員に声をかける平和タクシーの得平庄一さん(中央)

経験が豊かな即戦力

 「朝は6時に出勤。普通の人には少し早いけど、夕方まで働いて夜は9時に寝る。健康管理にはちょうどいいよ」。宮崎市の平和タクシーで働く得平庄一さんは79歳。従業員の中で最高齢だが、管理職としてタクシー乗務員の出退勤管理や教育、クレーム処理、採用面接、営業活動などフルタイムで働く。

 山元良一社長(43)は「人当たりが良く、タクシー業界の事情にも詳しい。年長者ならではの声掛けができるから、乗務員も彼の話に耳を傾ける。会社に欠かせない存在」と全幅の信頼を寄せる。

 従業員48人のうち、65~69歳は25人。平均年齢は66・7歳だ。人手不足を理由に、それまでは募集していなかった60歳以上に限って採用を積極的に展開。過去3年間で未経験者を含む14人が入社した。山元社長は「シニアは社会人としての経験があり、若手のような教育コストがかからない。真面目な性格の人が多い」と狙いを語る。

 少子化で若者の数が減る中、労働市場で高齢者の存在感が増している。宮崎労働局によると、2017年の本県の常用労働者数(31人以上の規模企業)は16万2195人。その15%に当たる2万4933人が60歳以上。09年の1万2397人から倍増している。65歳以上は1万675人で09年の3倍以上だ。

 「そもそもタクシー会社には中高年の雇用の受け皿という側面があった」と山元社長。08年のリーマンショック以降の不景気では定期的に入社希望者がいた。それが景気回復もあって減り始め、気が付くと社員の高齢化が進行。健康不安による退職者も増えて人手不足に陥った。

 そこで元気な60歳以上のシニアに注目。人命に関わる業務なだけに最優先で健康管理に取り組んだ。従業員ごとに疾病の有無や既往症、治療・通院歴などを一覧化した「健康情報管理表」を作成。管理職が内容を随時更新して健康状態を把握し、状況が芳しくない人には個別に面談して精密検査や治療を勧めている。

 これまでも健康であれば希望者全員を継続雇用していたが、国が新たな助成金制度を創設したのを機に今年4月、定年を60歳から66歳へ引き上げた。午前中だけの乗務を認めるなど柔軟な勤務シフトを導入。健康面で個人差が生じやすい高齢者が働きやすい環境を整え、定着率を高めた。

 「周りに迷惑をかけ始めたら身を引くが、可能な限り働き続けたい」と得平さん。宮崎労働局の黒木豊満高齢者対策担当官は「新たな人脈や技術の獲得のほか、高齢者が講師となって若手を教育したり、面倒見が良いので職場の雰囲気が改善したりした企業も多い。高齢者雇用のメリットは人手の確保という面だけではない」と話す。
=第1部おわり=

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